NF亭ショウタです。
交渉というものに関して、多くの人は無知です。
意見を主張しあうときも、片方の主張が全部通り、もう片方は我慢する・・・
みたいな状況に慣れてしまっていて、交渉というより、ただただプレッシャーをかけあうだけです。
特に、
日本で雇われ労働者として生きる人は「立場が上の者の意見がすべて通ってしまう」という状況を、何度も目の当たりにするので、交渉というものを知る機会などないでしょう。
しかし、これからはメタバース空間での交渉が普及していき、経済圏が生まれていきます。
この記事では、
- 交渉術の概要
- メタバース交渉のメリット・デメリット
- 生まれる経済圏&未来予測
…を、解説していきます。
交渉とは?
交渉とは、利害関係が生じている状況で行う対話・取引です。
目的は、「双方が許容できる点を導き出し、それに合意する」ことです。
「交渉術」と「交渉学」があるが、区別せず解説
体系化された交渉スキルには「交渉術」と「交渉学」があり、若干ニュアンスの違いがありますが、
双方を比較すると、
- 交渉術➡自分が得をするための技術。主観的。
- 交渉学➡学術的に分析する学問。客観的。
…と、言われています。
交渉への心構えとしては、
交渉術は「自分本位 気味」であるのに対し、交渉学は「双方の最重要視するモノの違いを見つけて、交換する」といえます。
交渉学の方が わかりづらいと思うので、具体例を挙げてみます。
製造業で、発注者と受注者の間で 部品の取引単価で揉めて交渉になった場合は、
交渉学では
- 「発注者➡単価を重要視」
- 「受注者➡利益を重要視」
という差分により、
「大量発注により、製造コストを下げて利益を出すことが可能。
なので、大量発注してくれたら、その単価で受注しますよ。 」
…という提案で、よりwin-winの関係にしていく交渉を重視した学問です。
しかし、
そう都合の良い状況ばかりではないですし、この記事において さほど重要な要素でもないので、区別せず扱い”交渉術”と表記していきます。
交渉の原則
「交渉の原則」は色々ありますが、それらをまとめて極限までシンプルに表現すると
- 相手に「勝った・得した」と思わせる
- 対立を避ける
…と言えます。
それぞれ解説します。
相手に「勝った・得した」と思わせる
仮に、交渉相手をコテンパンに負かして自分の要求をすべて押し通してしまったら
「あのヤロウに言いくるめられた!ちくしょう!」
「許さない!いつか復讐してやる!」
…と、恨みを買うことになります。
これを避けるために、交渉相手には「勝った・得した」と思ってもらうことが大切です。
そのための1つの常套手段としては、「本来の要求よりも、高い要求をする」というのが重要です。
あらかじめ、明らかに高い要求を出しておけば、それを本来の要求に近づけていくだけで”譲歩”したと思わせることができます。
「こちらが譲歩してるのだから、そちらも譲歩すべきでは?」
…と、こちらの本来の要求に近づけていくことができるのです。
そして、譲歩した総量が大きければ
「当初の要求を、あれだけ引き下げさせた!勝った!得した!」
…と思わせることができ、恨みを買うことはなくなります。
恨みを買うと、その業界内で悪評を立てられたりするリスクも上がりますので、恨みを買わない交渉は非常に重要なのです。
「対立」を避ける
交渉といえば、対立するイメージが強いですが、これは可能な限り避けるべきです。
対立を避けるための例え話で、よく使われるのは「1つのオレンジで争う姉妹」です。
…姉も妹も、どうしてもオレンジが必要であり、意見が対立しています。
しかし、双方の目的を聞いてみると、
- 姉の目的=”オレンジの中身”を食べたい
- 妹の目的=”オレンジの皮”でマーマレードを作りたい
…と、オレンジを求める目的が違います。
なので、
姉は”オレンジの中身”を受け取り、妹は”オレンジの皮”を受けとることで、円満解決 めでたしめでたし・・・というストーリーです。
つまり、
- お互いの目的がぶつかっているように見えても、突き詰めていくと目的が違っており ぶつからずに解決可能
…ということです。
しかし、これは理想論だと、個人的に思います。
こんな都合の良い場面ばかりではありません。
現実では、片方が得をしたら、もう片方が損をする「トレードオフの関係」の場面も多いでしょう。
また、対立を避けるためのもう1つの例を挙げると、
存在しない高次権威(立場が上位の者)をでっちあげ、そこに決定権があると嘘をつくことです。
つまり、
「自分に意思決定権はない。
だから、あなたの要求を 意思決定権がある上層部(そんなモン無いけどね)に承認してもらうため、一緒に頑張りましょう!」
…と言って、交渉相手の味方であるかのように装うのです。
狡猾ですが、強力な手法です。
…2つ挙げた例のようにすれば、自分と相手の間に対立ムードを出すことなく、交渉を進めることができます。
しかし、相手が難色を示したり、意図を見破られたら、効力は激減してしまいます。
・・・交渉スキルに大きな差が無い場合、「対立を避ける」というのは、
「私と対立するなら、あなたに多大なるデメリットを与えますよ。」
…というプレッシャーを背景に対話するから可能になるのです。
強いプレッシャーがあるなら、相手は可能な限り対立を避けようとします。
(しかし、プレッシャーを背景にした抑止力が働いているので、本質的には対立していますが…。)
交渉過程の3段階
交渉の過程は、3つの段階に大別されます。
第1段階:予備交渉
交渉で議題とする範囲・争点を明確に設定します。
お互いの目的を確認し、「どこを議論していくのか」を明確化します。
また、相手との連絡手段を確認します。
そして、水面下で相手の状況などを調査して、交渉に有利な材料を用意するなどの準備を進めます。
第2段階:本交渉
双方の見解の違いを洗い出すために、意見を交換します。
そして、意見対立するポイントで代替案を提案して、合意に持っていくことを目指します。
とうぜん、お互いが譲れないポイントがぶつかって お互いが納得する妥協点が見つからない場合は、交渉は難航して、決裂することもあります。
もし、譲り合うポイントや妥協点が見つかった場合は、合意内容を詳しく具体化していきます。
第3段階:成約交渉
合意した内容を文章化していきます。
そして、文書に調印(ハンコ押す)することで、交渉成立となります。
交渉において重要なポイント
- 自分の本心を正直に主張
- 相手の意図を正確に知る
- 戦いではなく、問題解決
- 可能な限り多くの妥協案を出す
- 恨みが残るので、安易に譲歩しない
- 関与者が増えると利害関係が複雑化するので、関与人数を減らす
…などが、交渉における重要ポイントとされています。
それぞれを深く解説すると、本題から逸れるので 解説しませんが、本質を突き詰めると
「本心で話し合い、遺恨を残さない」
「関与者は少人数にして、利害関係をシンプル化」
「お互い妥協できる落としどころを、協力して見つける」
…という具合です。
敵意を剥き出しにして敵対するよりも、お互いに歩み寄った方が、合理的なのです。
・・・しかし、
そのように片方が妥協して歩み寄ろうとしても、もう片方が自分の意見をすべて押し通そうと歩み寄ろうとしない場合もあるので、上手くいかないこともあるでしょう。
メタバースでの交渉が普及していく
今後は、メタバースの普及に伴い、メタバースでの交渉も普及していくでしょう。
わざわざ一か所に集まるコストがなくなるので、交渉相手との時間も合わせやすいので、よく多くの交渉が可能になります。
すると、取引交渉の回数も自然と増えていき、より良い条件を提示できる企業に発注が流れやすくなります。
「昔からの付き合いだから」というような惰性で発注を継続するよりも、より良い条件の受注者を見つけようとする発注者が増えるでしょう。
また、取引交渉ではなく、トラブル解決のための交渉にもメタバースが活用される可能性も高いです。
仕事がなく食えない弁護士も多いといわれていますが、バカ高い弁護士費用を下げたうえで、メタバースでの交渉請け負いもすれば、もっと気軽に弁護士に依頼できるような風潮が生まれるでしょう。
メリット
アバターで和やかな雰囲気を演出
アバターも、自由に選ぶことができます。
現実世界の顔を忠実に再現したリアル志向アバターも、もちろん可能です。
更に、アニメ志向アバターなら、お互い緊張がほぐれて、会話もスムーズに進めやすくなるでしょう。
交渉が停滞して険悪なムードになりそうなとき、アバターの話をすることにより柔和なムードにしやすいですし、会話が途切れることも少なくなります。
カンペ見れる➡脳のリソースの浪費防止
交渉中も、様々な資料が必要になることもあります。
相手に見られたらマズイ資料なども、とうぜんあるでしょう。
しかし、メタバースならば、自分にしか見えないように表示することも可能です。
常に複数のウィンドウを開き、疑問点はすぐに調べたり確認しながら交渉を進められます。
「この資料は持っていくべき?いや、かさばるから要らんかな・・・?」
…などと、悩むこともなく、すべての資料を持っていき、必要な資料をその都度 表示すればよいのです。
つまりカンペを好きなだけ見れるので、内容を覚えておくために記憶する必要も さほどなくなり、脳のリソースを交渉に集中させることが可能になります。
ボイスチェンジャーも使用可能
現実世界での面識がない相手なら、ボイスチェンジャーも自由に使えます。
男性なら低い声で威厳を出したり、女性なら可愛いアニメ声で警戒心を解きほぐしたり・・・といった戦術も可能になります。
デメリット
ハッキングのリスク
メタバースはとうぜんネット上に存在するので、ハッキングのリスクがあります。
なので、有名企業同士の交渉内容などは、ハッキングされ情報流出する可能性も考慮すべきでしょう。
重要度が高い会議であればあるほど、危機管理が必要になります。
なので、当事者にしかわからない”隠語”を決めておくか、またはメタバースを使わずに現実世界で交渉する・・・などの対策が必要です。
翻訳機能が実装されても、信用に足らない
いずれは、メタバースで同時翻訳機能が設定されて、海外の人とのコミュニケーションもフツーにできるようになります。
しかし、
翻訳機能は日常会話を想定しているものなので、交渉という場においては「見解の違い」「解釈の違い」が、ガンガン生まれてしまうでしょう。
海外の人との交渉において、翻訳機能は信用性が万全とは いえないでしょう。
生まれる経済圏
メタバースで交渉術を教える
交渉は、自分の権利を守るために必須のスキルです。
特に、日本人の労働者は、交渉する機会などなく 上司との対話でもプレッシャーをかけられて押し切られる・・・ということも多いでしょう。
(日本人の場合、主張の正当性うんぬんでなく、立場が強い方が横暴に意見を主張し、立場が弱いほうが我慢する・・・というのが多い印象です。
しかし、交渉術を身に着けて労働者たちが結束すれば、立場が上の者に対しても意見を主張できるようになります。)
その交渉術を、メタバースで教えるのです。
本やYouTubeで交渉術を学ぶのも良いですが、メタバースなら講師から学び、実際に生徒同士で交渉の練習をしてみる・・・ということも可能になります。
学ぶというのは、知識のインプットだけでなく、(模擬的であっても)実践というアウトプットも必須となります。
そのアウトプットの場として、メタバースが適しているのです。
メタバース交渉の代理人
日常生活を送る中で、トラブルは身近なところに潜んでいます。
予期せぬトラブルに巻き込まれ、納得のいかない請求をされることもあるでしょう。
しかし、「対応する時間がない」「そもそも、どう対応すればよいかまったくわからない」という人もいるでしょう。
そんなときに、示談交渉などを引き受けてくれるメタバース交渉人の需要が生まれます。
交渉コンペティション(競技会)
大学対抗で行われている、交渉・仲裁スキルを競い合う大会です。
これを、メタバース上でやることが可能です。
そして、入賞者にNFTを発行することができます。
そのNFTに、なんらかの有益な特典を付ければ、それなりの価格が付き転売されるでしょう
(あらかじめ設定したロイヤリティが、発行者に利益として入ります。)
事件現場でなく、遠方からネゴシエート
いずれは、事件を起こした犯人グループの代表者とも、メタバースで交渉するケースも増えていくでしょう。
その時に、人質救出の交渉人として高いスキルを持つ者が、わざわざ現場に出向かなくても交渉することが可能になります。
つまり、事件発生から時間を置かず、スムーズに人質救出の交渉に入れるのです。
(反面、時間を稼ぎたい場合は、それがしにくくなるわけですが。)
未来予測
「メタバース交渉術」が研究されていく
メタバースでの交渉は、従来の現実世界での交渉とは、大きく異なるポイントがあります。
アバター・交渉の場を、自由に設定できるということです。
アバターは、(前述したとおり)リアル志向アバターとアニメ志向アバターがありますが、
その選択は自由ですし、リアル志向アバターであっても、(現実世界での面識がない相手ならば)本人の顔をそのまま反映させる必要もありません。
強面な外見で適度に威圧したり、気弱な外見で油断させたりと、自由に戦略を選べるのです。
そして、
- どんなアバターが、交渉の際 有利に働くのか?
- どんなデザインのメタバースを、交渉の場として採用すべきか?
…といった具合に、メタバース交渉の詳細なデータが増えていくとともに、それらが研究されていき合理的なノウハウが確立されていきます。
「メタバース交渉術」は、1つのジャンルとして確立していき、ドンドン進化していくでしょう。
メタバース交渉人専門のクラウドソーシング?
- クラウドワークス
- ランサーズ
…などのクラウドソーシング サイトで、メタバース交渉人が仕事として成立する日も来るでしょう。
やはり、メタバース上とはいえ、相手と対話する・・・というのは緊張感があり、それを敬遠する人も多いでしょう。
なので、メタバース交渉人をクラウドソーシングで依頼できるというのは、リピーターにはつながりにくいかもしれませんが、確実に需要はあります。
そして、クラウドソーシングサイトも、「イラスト専門」「声優専門」など、ニッチジャンルに特化しているものも多数存在します。
なので、いずれは「メタバース交渉人 専門」のクラウドソーシングサイトも誕生する可能性は高いです。
もちろん、大企業からの依頼はそんなに来ないと思われますが、日常生活で起こったメンドくさいトラブルの処理を代行する・・・というのは、単発的な仕事でも需要はあります。
実績・実力を積めば、そのうち高額での依頼をもらいやすくなるでしょう。
「交渉術」を使うと、”同志・仲間”になれない?
最後に、重要な注意点を上げます。
極めて個人的な意見ですが、
交渉術と呼ばれるモノは、”同志・仲間”には使わない方が良いでしょう。
また、これから同志・仲間にしたいと思う相手にも使うべきではありません。
長期的に密接に関わって、志を共有していく仲間ですから、とうぜん活動を共にする場面も多く出てきます。
しかし、交渉術を使うと、回数を重ねるごとにそれが相手に伝わり「油断ならない相手だ。」と思われます。
長期的であっても、ビジネスライクな付き合いと割り切るなら、「油断ならない相手だ。」と思われるのは、舐められないためには有効ではあります。
あちらもビジネスですから、舐めた相手には自分に有利な要求をドンドン呑ませようとします。
その抑止力として、「油断ならない」という印象を与えるのは有効です。
しかし、同志・仲間が相手なら、使えば使うほど、徐々に見え透いてシラケてしまうのです。
そうなると、志うんぬんではなく、メリット・デメリットで判断しあう実利的な関係性に留まってしまい、情が介在しないので同志・仲間にはなりえないのです。
職場の上司や同僚などに交渉術を多用するのも、仲間・同志になりたいと思わない場合のみにすべきでしょう。
交渉術と呼ばれるモノを行使することは、極論 お互いにナイフを喉元に突きつけあいながら、表面的な笑顔で対話をしているようなものです。
そこに”志の共有”などなく、実利的なメリットがなくなったら、路傍の石として扱われてしまいます。
なので、交渉術というものは、扱いに気を付けなければならないのです。
しかし、自分の権利を守るためには、必要不可欠な存在でもあります。
特に、日本人の多くは交渉術を教わる機会などなく、自分で能動的に学ぶしかありません。
(義務教育にいれないのは、国民が知恵をつけると政府が困るから。)
これからは、特定の国、特定の企業にとどまることなく、活動する生き方が増えていきます。
そこで、自己防衛手段として、交渉術というスキルが必要になり、そのスキルを持たない人からメタバース交渉人の需要が増すのです。
web3.0時代が到来すれば、様々な職業が生まれます。
いまから、メタバース交渉人を目指してスキルを磨いておく努力をするのも、有望な投資かもしれません。
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