NF亭ショウタです。
離島の地方創生の手段として、メタバース化が有効です。
すでに、前例となるプロジェクトが存在します。
この現実世界でもメタバースでも、離島の経済圏を活性化することが可能になるのです。
この記事では、
- 離島メタバースの概要
- 可能な戦略:NFT販売・DAO化
- 未来予測:離島メタバース連盟ができる可能性
…を、解説していきます。
離島メタバースとは
その名の通り、離島をメタバース化したものです。
日本には離島が6,852個存在し、そのうち人が住んでいる有人島は416個ほどです。
とうぜん、住人がいる島では経済圏が存在します。
島内の住民同士での経済はもちろん、島外からの観光客が島で使ってくれるお金は、大きな収益源となります。
なので、観光客を増加させるための手段として、離島のメタバース化が有効な戦略となりえます。
世界中どこからでもアクセスできるメタバースは、これから一般普及していくのは確実なので、
- メタバース内での新たな経済圏の確立
- メタバース➡物理的な現実世界…への集客
…などが可能になります。
詳しく、解説していきます。
具体事例:男木島メタバース
2022年11月、香川県高松市の離島である男木島のメタバース化を目的とする「TENGUN Ogijimaプロジェクト」が発表されました。
男木島の人口は160人ほどであり、さらに約6割が高齢者です。
しかも人口は減少しています。
なので、地域外から愛着や関心を持って多様に関わってくれる「関係人口」の増加を目指しているのです。
TENGUN Ogijimaプロジェクトは、男木島をメタバース化して没入感の高い体験を可能にして、魅力を知ってもらい、島民との交流を促進するのです。
そして、愛着を持ってもらい 関心を持って関わってくれる人を増やし、様々な課題解決を目指します。
そして2022年11月、男木島のメタバース化が発表されました。
離島地域では、物流や介護、教育などの制約が問題となっており、その解決策としてテクノロジー活用が求められています。
なので今後は、現地関係者と具体的なビジネスモデルを検証して、その早期実現を目指すとのことです。
離島メタバースは、日本国の資源を守る有望な手段
日本の領海には、資源が存在します。
- 石油
- 天然ガス
- メタンハイドレート
- 海底熱水鉱床
…など、多種多様の資源があるのです。
特に近年は、日本の領海に膨大な資源が眠っている可能性が高まっています。
⬇近い将来、日本が世界トップクラスの資源大国になるかもしれないのです。
また、魚などの海洋生物も豊富に採れるため、重要な水産資源の漁場でもあるのです。
したがって、領海を守るために離島の存在の重要性が高まっているといえるでしょう。
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メリット
観光客の増加
メタバースをキッカケに離島を知ってもらい、魅力を感じてもらえたら実際に旅行客として来てくれる可能性が上がります。
離島でお金を使ってくれて離島の経済が潤いますし、SNSでの拡散にもつながります。
これから、メタバースを利用する人は増えていくでしょうから、国内はもちろん、海外からの観光客の増加も期待できます。
小さい島なら、全土をメタバース化可能
実在都市のメタバース(パラリアル)は、すでに存在します。
⬇参考記事
しかし、これらは全土ではなく”陸地の極々一部”です
しかし、小さい離島なら全土をメタバース化することも可能です。
「世界初!実在する島の全土をメタバース化!!」
…などと宣伝すれば、注目されやすくなります。
一定の需要がある
「離島 雑誌」で検索すると、様々な専門誌が出てきます。
つまり、わざわざお金を払ってまで離島の情報を知りたい熱量の高い人が、一定数いることを意味します。
そのような人たちに離島メタバースを体験してもらい興味を持たれれば、実際に離島に訪れてくれる可能性が上がります。
また、離島専門誌のwebサイトに広告をテスト出稿しても良いでしょう。
スマホ・PCからアクセス可能で、煩雑なアカウント登録を しなくても利用可能にすれば、「メタバースのことは、よくわからない」という人にもメタバースを体験してもらえて、その後もリピーター化するチャンスになります。
シリーズ化すれば、リピートされやすい
離島は、独特の魅力があります。
なので、複数の離島から構成される自治体の場合、それらの複数の離島をメタバース化すれば それらを回遊してくれる可能性が上がります。
一例として、沖縄県竹富町などの 複数の離島をメタバース化した場合、それらを回遊してくれやすくなり、リピーター化してくれやすくなります。
⬇沖縄県竹富町は、複数の島から構成される自治体
竹富町の離島メタバースをシリーズ化していき、相互に往来できるようにすれば、それらの1つでも強い興味を持ってくれたなら、現地に旅行してくれるチャンスにもつながります。
”離島振興法”の存在
離島は、日本の領海を維持するため手厚く保護されており、離島振興法というモノが存在します。
離島振興法は、
- 領海及び排他的経済水域等の保全
- 海上交通の安全の確保
- 海洋資源の開発及び利用
- 海洋環境の保全
- 領域警備及び安全保障
引用:内閣府サイト
…を目的としています。
もちろん、日本の領海であることを国外に示すには、無人島であるよりも 日本人の住民がいる有人島であるほうが有利と思われます。
日本人の住民が住み続けるためには、高齢化・人口減少に歯止めをかけることが必要です。
その手段として、メタバース開発・運営が有効と認識されれば、離島振興法によってメタバース化の予算などが積極的に出されるようになる可能性があるのです。
デメリット
忠実に作らねば ならない(自由度低い)
パラリアル(実在都市メタバース)の場合、実際の都市そのもののレイアウトではなく、アレンジを加えられていることが多いです。
例えば、パラリアルトーキョーの場合は、東京都の名所を実際以上に密集させています。
東京都にある名所を集結させて、東京都の魅力をアピールしているのです。
これは、「現実世界の東京都の名所は、こんなに密集していない」…という共通認識が前提としてあるからこそ、パラリアルであろうと魅力を感じてもらいやすいレイアウトに改良することが可能なのです。
しかし、離島のメタバース化の場合、実際の離島に忠実に作らねばなりません。
「現実世界の●●島の名所は、こんなに密集していない」という、共通認識がないからです。
なので、レイアウト変更してしまうと、
「離島メタバースで魅力を感じたから来たのに、実際の離島は全然違う!ダマされた!!」
…という印象を抱かれかねません。
つまり、離島メタバースは、名所を一か所に集めにくいのです。
比較的大きい離島の場合、島内に点在する名所を一か所に集める…という必要性が出てきますが、その場合は 実際の島に比べてレイアウト変更されている旨を、明確に伝えるべきでしょう。
高齢者が多いと、テクノロジーへの理解が困難
小さい離島の島民は、高齢者が多い傾向が強いです。
なので、メタバースというテクノロジーを理解してもらうのが、若い世代に比べて難しいでしょう。
もちろん、ヘッドセットやPCを実際に使用してもらえば、言葉で説明するよりも 体感的にわかりやすいでしょう。
しかし、高齢者が多い島民が、そのテクノロジーをどのように活用するか…などのアイデアを出すことは困難と思われます。
なので、外部から技術者・専門家を招き、長期的・継続的に依頼し続けることが必要になるでしょう。
家などの肖像権の問題
実在の離島を忠実に再現しようとすると、注意が必要なのが一般住宅などの建物です。
法律的には、建物に肖像権は認められず、自由に使ってよいことになっています。
一般住宅など、ごく一般的な建造物については著作権を気にする必要はありません。
引用元:impress
しかし、なんの事前説明もなく自分の家がメタバースに投影されていたら、悪いイメージを抱く住人もいるでしょう。
島内でのその後の人間関係を考えると、事前にメタバース化についての説明会などをして、メタバース化とその有益性について理解してもらう…というのが必要になるでしょう。
特に、離島内に神社などの名所がある場合は、宗教的な視点もありますので、神主さんなどに説明・相談することも必要となるでしょう。
可能な戦略
名産・名所のNFT販売
その離島の名産品・名所をモチーフにしたNFTを販売します。
その離島出身のイラストレーター・画家などがいたら、その人にイラスト制作を依頼しても良いでしょう。
⬇参考記事
そして NFT保有者は、NFTの相場価格を上げるために その離島の魅力を能動的に情報拡散するなど、”味方”として行動してくれやすくなります。
DAO化
前項で解説したNFTを”デジタル村民の証”として位置付けたうえで、DAOを作ります。
DAO内で意見を募り、地方創生の戦略を考えて、NFT保有者による投票を行って、採決・実行していくのです。
⬇DAOのシステムについてはこちら
すでにこのシステムを採用してメタバース開発をしている前例として、新潟県 山古志村があります。
⬇山古志村の自治体が、名産品の錦鯉NFTを販売したうえで、そのNFTを”デジタル村民の証”として様々な権利を付与しています。
メタバース開発もしており、Discord内では様々なアイデアが議論されています。
画像引用:NHK
⬇そして、NFT保有者による投票が行われて、実行される戦略が決定されます。
自治体とNFT保有者が、共に地方創生を考えて協力しているのです。
参加者は、自らアイデアを考えることによって より熱量が上がりますし、多くのアイデアを出してくれるので多くの人の知見が集まります。
自治体だけでは考えつかないような戦略も、ドンドン思いつくのです。
DAOは、このような運営が可能になるので、有力な選択肢として考えておくべきでしょう。
ふるさと納税
離島がある自治体に ふるさと納税をしてくれた人に、離島メタバース上での権利やNFTなどをリターン品としてプレゼントします。
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⬇また、有名VTuberなどとコラボして、メタバース上でのライブなどをリターン品にすることも可能です。
税収アップにつながります。
渡航手段をアフィリエイト
メタバースをキッカケに、実際に訪れてくれる人もいるでしょう。
その人たちを対象に、航空券やフェリーなどの渡航手段を紹介して、成約時にアフィリエイト報酬(中間マージン)を得る契約を結ぶことで、利益を得ることができます。
閑散期には、航空券やフェリー運営企業も空席を埋めたいですし、地方自治体と上手くコネを作りたいでしょうから、応じてくれやすいでしょう。
鳥や猫として行動
通常の人間型アバターだけでなく、鳥や猫など、動物で島内で行動できるようにすると、差別化を図れます。
⬇すでに、ハトや猫として行動できるメタバースは存在します。
これらと同じように、自由に島内を飛んで高い視点から離島全体を見れたり、狭い路地裏で猫同士 自由に交流したりと、一風変わった楽しみ方ができるようにすれば、差別化につながります。
移住検討者向け:漁業などの職業体験
「離島への移住に興味あるけど、どんな仕事をするの?不安…。」
…と考える人もいるでしょう。
たぶん、漁業などがイメージされると思われます。
なので、メタバースで職業体験ができるようになれば、前もって簡易的に体験できるようになるので、不安が軽減されます。
「移住して仕事してみたけど、イメージと全然違う!帰りたい!!」
…という、残念な結果になる確率を減らせるでしょう。
ユーチューバー運営
その離島のリアルな実情を発信するユーチューバーを運営します。
もし、移住検討者がいたら、良い側面だけではなく悪い側面も発信することで より真剣に移住を検討してくれるようになります。
⬇一例:青ヶ島ユーチューバーの動画
悪い側面を見せて断念する人は、仮に良い側面だけを見せて移住させたとしても、いずれ去っていきます。
それならば、最初からリアルな実情を発信して ふるいに掛けた方が、お互いにとって良いでしょう。
Vtuber運営
その離島の魅力を紹介するVTuberを運営します。
VTuber運営は、初期費用十万円ほどから始めることができます。
もちろん、ただ紹介するだけではなく、現時点で その離島に興味がない人にも楽しんでもらえるような工夫が必要です。
⬇その離島の名所紹介はもちろん、こんなノリで「離島あるある」などをしても良い。
日本語が海外言語へ自動翻訳される”字幕機能”も活用することで、海外層の視聴者にもアプローチすることが可能になります。
また、NFT保有者投票でVTuberの運営戦略を決定しても良いでしょう。
⬇参考記事
映像作品をメタバース内で撮影OKにする
これからは、メタバース内でミュージックビデオなどの映像作品を撮影する流れが起きます。
なので、離島メタバース内での撮影を許可することによって、
「あのミュージックビデオのロケ地は、●●島メタバースなのか!見に行ってみよう!」
…と、色々な人に離島メタバースを知ってもらえるキッカケが増えていきます。
⬇参考記事
未来予測
「離島メタバース界」というニッチ市場が形成
いずれは、離島を有する自治体・企業がメタバース業界に参入して、離島メタバースは増えていくでしょう。
⬇将来的には、メタバースを創れるAIも開発されるでしょうから、飛躍的な増加が予想されます。
離島メタバースがたくさん増えていけば、「離島メタバース界」のようなニッチな市場が形成されていきます。
自治体の垣根を超えて 離島メタバース同士で相互送客をするなど、共に協力し合い離島メタバース界というニッチ市場の存在感を高めていこうとする取り組みなどが行われるでしょう。
地方創生を目的とする取り組みは、協力しあう傾向が強いです。
- 地方物産展
- ご当地VTuber界
- ゆるキャラ界
…など、地方創生は お互いが集まってコラボ企画などをした方が、現時点でその業界に興味がない人からも注目を集めやすいからです。
また、どこかの地方に興味がある人たちは、他の地方にも興味を持ってくれやすいので、可処分時間(個人が自由に使える時間)を地方創生イベントに多く使ってくれるようになるのです。
なので、離島メタバースの認知度拡大のための活動においても、コラボが活発化していくでしょう。
「離島メタバース連盟」ができる可能性
すでにメタバース界には、星の数ほどのメタバースが存在します。
しかし現状、その多くがイベント時以外は閑散としています。
イベント時以外は、リピーターになってくれにくいのが、難点と言えます。
離島メタバースも、「一回行ったら もういいや」で終わってしまっては、もったいなさすぎます。
離島に独特の魅力を感じて、離島に興味を持つ層は、とうぜん1つの離島だけでなく、様々な離島へ旅をしてくれやすいです。
それは、メタバースにおいても同様でしょう。
なので、離島メタバース同士での相互送客が重要となってきます。
すでに、ご当地VTuber界においては”コラボ企画”というカタチで相互送客が頻繁に行われています。
それを、いずれ形成されるであろう”離島メタバース界”でも実行されていくでしょう。
そして、離島メタバース運営は、自治体が絡むケースが多くなると思われますので、「正式な連盟」が作られると思われます。
現実とメタバースが連動する、XR企画
⬇XRスタンプラリーなどの連動企画も可能になります。
メタバース・現実世界それぞれで、複数の離島を周るスタンプラリーを実施するのです。
スタンプラリーのクリア報酬として、限定NFTプレゼントなどを用意すると参加者も増えます。
チェックポイント通過判定は、
- GPS
- QRコードを撮影
- 音響透かし
…などで可能です。
離島メタバース連盟に加入している離島同士で、このようなイベントを行ってプレスリリースを打てば、注目度が上がります。
また、(前述した)DAO化を、離島メタバース連盟の運営戦略に取り入れるのも良いでしょう。
自治体なので、完全なDAO化(全体の運営権を放棄する)は難しいでしょうが、一部DAO化(全体の運営権は放棄せず、部分的に投票で決める)は有望な選択肢となりえるでしょう。
これからは、日本国内はもちろん、海外旅行者が日本に来る総数も増加傾向ですから、離島メタバースは有効な戦略となりえるでしょう。
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