NF亭ショウタです。
「メタバースで旅行」という文化が、誕生しています。
とうぜん、旅行会社が参入しており、これからの発展は確実です。
「メタバース空間での旅行ツアー」は、これから超巨大な市場となっていくでしょう。
この記事では、
- メタバース旅行ツアー運営のメリット・デメリット
- 可能な戦略
- 世界の旅行市場が激変
…について、解説していきます。
メタバース旅行ツアーとは?
その名のとおり、メタバース空間で体験できる旅行ツアーです。
自分がその観光地にいるような臨場感を味わえますし、他の参加者とリアルタイムで会話したりできます。
VRヘッドセットや、スマホ・タブレット・PCなどで体験することができます。
コロナ影響で移動が制限されて以降、注目度が上がった「オンラインツアー」のメタバース版と言えます。
国内の大手旅行会社も参加しており、これからの飛躍的な発展が期待できる市場です。
メタバースツアーの例
360動画をメタバースで視聴「どこでもドアTrip」
世界中の観光地の360度動画を、メタバース空間で見れるサービスです。
360度撮影できるカメラで撮られた映像が、メタバース空間に投影されます。
参加者は、ぷよぷよ みたいなアバターでメタバース空間に参加します。
サービス内容は、下記の2つに大別されます。
- 「ガイドミートアップ 」コース➡1ツアー/500円〜1500円ほど
現地にいるガイドが、リアルタイムで案内してくれます。
実施する日時などは固定されます。
いろいろな人達が参加しており、とうぜん会話も可能です。
料金は、1ツアーごとの決済になります。
- 「セカぶら」コース➡月額/高画質3000円or通常画質980円
いつでも好きな日時に、1人または知り合いと参加できるサービスです。
ガイドは いません。
もちろん、会話もできます。
料金は、サブスク決済です。
画像引用:公式サイト
VRゴーグルがない人には一週間の無料貸出を行うなど、敷居を低くしようとする企業努力がうかがえます。
メタバースでのバスツアー「メタバス」
香川県のバス会社である琴平バスでは、メタバス(メタバースでのバスツアー)を2022年1月頃から始めています。
この「メタバス」は、四国地方の情報を発信する ご当地VTuberがツアーガイドをつとめるオンライン バスツアーです。
以前は、琴平バスの社員がツアーガイドをしていましたが、VTuberを起用することによって新規層の集客・情報拡散を狙っています。
⬇また、参加者には「バーチャルの姿での参加」を推奨しており、バーチャルの世界観を重要視しているのが うかがえます。
参加者の皆様もVTube StudioやAnimaze等のソフトを使用して、バーチャルの姿でご参加ください!
VTuberとご自身のバーチャル姿で写真撮影可能です!
※バーチャル姿での参加は必須ではありませんが、バーチャルの姿でない方はカメラオフでのご参加にご協力をお願いいたします。
引用:KOTOBUS
参加するためのデバイスがZOOMなので、正直 「メタバース」と呼べるのかは意見が分かれそうな気がします。
しかし、これからバージョンアップされていくでしょう。
補足
⬇琴平バスは、2020年5月にZOOMで参加するオンラインバスツアー(おそらく世界初)を始めて注目され、メディアで情報拡散されました。
(この後、オンラインバスツアーを始めるバス会社が、日本中から複数の事例が生まれています。)
ANAバーチャルトラベル プラットフォーム「SKY WHALE」
大手航空会社ANAホールディングス株式会社が、2021年5月にANA NEO株式会社を設立して、バーチャルトラベル プラットフォーム「SKY WHALE」の開発を進めています。
VRヘッドセット、スマートフォン、PC、タブレットなど多様な端末から利用可能な、バーチャル旅のプラットフォームです。
SKY WHALEは、「Skyパーク」「Skyモール」「Skyビレッジ」の3つのサービスで構成されます。
1つずつ解説します。
- Skyパーク
世界の多種多様な都市や絶景スポットが、3D CGで再現されています。
最大8人で同時にメタバース空間での旅行をすることが可能です。
現実世界での旅行への集客導線の役割もあります。
また、大手旅行クチコミサイトTripadvisorなどの協力も計画されています。
- Skyモール
空港でのショッピングをメタバース空間で体験できます。
ANAが選んだ商品を購入することができます。
海外の国への商品販売(つまり実物は海外郵送)も行われます。
- Skyビレッジ
未来の街をイメージしたメタバースです。
教育・医療・行政など、日常生活の利便性を向上させるインフラ整備が予定されています。
国内外から後援・協力されている
SKY WHALEは、国内外の政府観光局や関連団体からの後援・協力がされています。
画像引用:ANA公式サイト
また、多くの大手企業が、事業パートナーとなっています。
さらに、ANA NEO株式会社は、2022年4月に
- 京都市
- 株式会社トーセ(京都市に本社があるゲーム開発企業)
…と、連携協定の締結を発表しました。
つまり、京都市を重点的にメタバース化していくことは、必定といえます。
オンライン旅行の市場
遠く離れた国の観光地を疑似体験(旅費・時間を大幅節約)
2021年の調査では、オンラインツアー参加経験者は、4ヶ月で1.74倍に増加しています。
つまり、急速に市場が拡大しているのです。
もちろん、「コロナによる渡航制限が終われば、市場自体が終わる」という否定的な意見もあります。
しかし、
何日間も飛行機を乗り継がないといけないような遠く離れた国の名所でも、旅費も時間も大幅に節約して疑似体験できる
…というのは大きすぎるメリットです。
コロナの影響が一時的であれ、オンライン旅行という市場が定着して一般普及すれば、コロナ影響がなくなったあとも、市場は存続していくでしょう。
特に、
メタバースに実在都市を作るプロジェクトは急激に増えているので、その影響でメタバースでのオンライン旅行の市場も定着、拡大していく可能性が高いのです。
「旅の予習」目的
実際の現地に行く前の「予習」としてのオンラインツアーの需要もあります。
オンラインツアー参加者への調査では、その56.4%が「将来の旅行の情報収集(旅の予習)」という回答結果が得られました。
つまり、
- どの観光地へ行くのか?
- その観光地内で、どう行動するのか?
…などを想定する材料としての需要が大きいのです。
⬇この図で言うと、「プレ旅マエ」「旅マエ」に該当します。
画像引用:BIPROGY
ツアーガイドに直接リアルタイムで質問できるメリットなども、大きいでしょう。
メタバースツアー運営:メリット
時間・場所の利便性
リアルの旅行に行くには、まとまった時間が必要ですし、あまりに遠い観光地には行くのは大変です。
荷造りなど、準備にもかなりの手間がかかります。
しかし、メタバースツアーは わずかな時間があれば参加できますし、地球の裏でのツアーにも 移動の手間なく参加できます。
ツアーガイド(アイドルの場合)を物理的に守る手間が不要
リアルのバスツアーでは、アイドルがガイドをするケースもあります。
すると、アイドルとファンが距離が近くなります。
しかし、
参加者の中に危険人物がいたら、アイドルに危害が及ぶ可能性があるので、アイドルを守るための備えが必須となります。
しかし、オンラインツアーなら、この手間が不要です。
(暴言への対処など、精神的には守る必要がありますが。)
食事・宿の手配が不要
ネット上で実施するツアーなので、食事や宿が不要です。
ゴールデンウィークや夏休みなど 旅行のオンシーズンであっても、手配する手間がかからないのです。
もちろん、必要なものは参加者へ郵送すれば良いので、現地の郷土料理などを味わってもらうことは可能です。
メタバースツアー運営:デメリット
(現時点では)メタバース観光ツアーと言い難い
現時点のメタバースツアーと呼ばれるものは、
「観光地を体感できるメタバース」というより、「360度 動画を他の参加者と観るメタバース」と言った方が正確です。
多くの人がメタバースツアーと聞くと、「実在の観光地をメタバース上に再現した空間で、自由に行動できる没入型の体験ツアー」…と思うでしょう。
⬇こんな風に
画像引用:MoguLive
しかし、現時点でのメタバースツアーは、360度動画を見ながら他の参加者と会話できる…という感じなのが実情です。
ですが、参入企業がマーケットの反応を見ながら、メタバースツアーの在り方を それぞれが模索していくと思われるので、複数の派生形が生まれていくでしょう。
オンラインだけで満足したら、来てくれない
メタバースツアーに限ったデメリットではありませんが、「VRで観光地を体験して満足した場合、現地にきてくれない」という事態が起こりえます。
オンラインツアーをする目的の1つが、「現地の活性化」「現地への集客」である場合、デメリットになります。
しかし、「現地への集客など知ったことではない」と割り切るなら、デメリットにはなりません。
「触覚・嗅覚」で現地を感じることができない
人間には五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)が備わっています。
そして、このうち”視覚”と”聴覚”はオンラインツアーでも感じることはできます。
”味覚”を使うのは飲食の時なので、現地の料理や特産品を郵送すれば、まあまあカバーできると言えるでしょう。
しかし、
現地の物に触れる”触覚”や、観光地の食欲をそそられる商店街のニオイなどを楽しむ”嗅覚”は感じることは できません。
また、人間が記憶を忘れる順番による研究では、
- 忘れやすい「聴覚→視覚→触覚→味覚→嗅覚」忘れにくい
…という研究結果があります。
つまり、メタバースツアーで体験できる”視覚”と”聴覚”は、忘れられやすいということです。
したがって、リアルツアーと比較するとメタバースツアーは人間の記憶に残りにくく、「あのメタバースツアーを、また体験したい!」と思われにくくなるかもしれません。
(しかし、いずれは味覚と嗅覚もVRでも再現されるでしょう。)
現地の人とのコミュニケーションが無い
メタバースツアーなので、現地の人とのコミュニケーションという体験価値を得られません。
しかし、
ツアーガイドが現地でリアルタイム撮影した映像を観る場合、タブレットなどを通して会話をしてもらうことくらいは一応できるでしょう。
また、
アバターで参加する場合は、「えっ?このアニメキャラ喋れるの?なんで?」などという会話などが高確率で発生し、ややメンドクサイかもしれません。
体験価値の臨場感が低い
現地の伝統工芸品を作ったりなどの体験が不可能です。
映像や現地の情報は知ることはできても、実際の体験に参加することができません。
しかし、VRゲーム的に再現することは、できそうです。
(採算が合うか否かは、別問題ですが。)
VR酔い
メタバースツアーは、現地の映像を観てまわるので、酔う恐れもあります。
無料ではなく、お金を払って参加するのですから、VR酔いを起こされた場合、ツアー自体の満足度の低下に繋がります。
しかし、VR酔いが起こらない歩行型デバイスも開発されているのでドンドン高性能化・低価格化が進み普及するでしょう。
⬇動画で見る
”現地ガイドの移動にリンクしたメタバース空間移動”ではVR酔い は発生しやすいですが、
”参加者の歩行にリンクしたメタバース空間移動”では、酔いは起こりにくいでしょう。
可能な戦略
現地優待NFT配布
現地の店舗などと提携して、優待を受けれるNFTを参加者にプレゼントします。
もちろん、
メタバースを利用していても「NFTってなに?」という人もいるでしょうから、従来のQRコードクーポンでのプレゼントを併用してもよいでしょう。
現地のみで使える「デジタル地域通貨」を配布
「デジタル地域通貨=特定の地域でのみ使える仮想通貨」を発行している前例は、ルーラコインが存在します。
なので、デジタル地域通貨を発行して、それをツアー参加者に まとまった金額を配布すれば、現地に来てくれやすくなるでしょう。
また、デジタル地域通貨を発行するブロックチェーン技術も時間もない・・・という場合は、単にQRコード クーポンなどを発行してもよいでしょう。
パラリアル(実在都市メタバース)へ誘導
パラリアルは、すでに複数の実例が存在しており、これからも増え続けます。
⬇渋谷のパラリアル
そしてとうぜん、実在する観光地のメタバースも増えていきます。
そこへの集客手段として、メタバースツアーを活用するのです。
ツアーの段階での利益よりも、現地への集客を重視するわけですから、ツアー参加者の母数がある程度はないと意味がありません。
なので、
ツアーを開催するには ある程度の知名度や集客力のあるインフルエンサーにツアーガイドを依頼するか、宣伝してもらう必要があります。
とうぜん、ある程度 近隣の地域を拠点に活動する ご当地アイドルなどに依頼する方が、現地への集客の可能性も高まります。
郷土料理のセット郵送➡リピーター化
あらかじめ、その地域の郷土料理を郵送しておきます。
ツアー前に食べておいてもらうのです。
そして、メタバースツアーの時に、ツアーガイドであるアイドルと郷土料理についての感想を楽しく話す・・・という場を設けます。
そのような会話の場を設けると告げておくことによって、郷土料理に対して肯定的な感想を述べるために、その長所を探して意識してもらいやすくなります。
結果、郷土料理そのものの評価が確実に上がるでしょう。
(※アイドルをツアーガイドにする場合のみ。ファンはアイドルと会話したいから肯定的な意見を考える。
どこの誰だかも知らないツアーガイド相手だと、「面倒くさい」と思われるかも。)
そして、さらにアイドルがオススメの食べ方やアレンジ法を教えると、それを実践してみたくなり、また食べたくなります。
すると、参加者がツアー終了後に、郷土料理への通販サイト(クーポン入りチラシなどを同封しとく)へアクセス、購入してくれやすくなります。
アニメ・マンガの聖地オンラインツアー
アニメ・マンガでは、そのストーリーの舞台となった場所が”聖地”と呼ばれます。
その聖地をめぐるツアーなどをすれば、その作品を好きな人たちは、他の参加者とその作品について語り合いたいため、参加してくれやすいです。
資金に余裕があるなら、その作品の声優にツアーガイドを依頼しても良いでしょう。
- ツアー参加者
- その作品の関係者
- メタバース関連メディア
- アニメ・マンガ関連メディア
…などが、積極的に情報拡散してくれる可能性が高いです。
ツアーのアーカイブを販売
メタバースの映像も、いずれはアーカイブとして保存できるようになるでしょう。
つまり、
終了したツアーの映像を編集して格安で販売したり、または体験版として無料体験してもらうこともできます。
ヘッドセットを装着して、ツアーを追体験できる・・・ということです。
もちろん、編集時には他の参加者の声をOFFにしたほうが、よりツアーガイドの言葉に集中してもらいやすいでしょう。
(自分の会話がアーカイブとして永久に残ることが、イヤな参加者もいる。)
未来予測
巨大市場「危険地帯ツアー」
いずれは、人間が行くことが困難な場所へのメタバース ツアーが実行されるでしょう。
ドローンなどに乗っているような映像を体感できるメタバースを作り、危険地帯や入り組んだ洞窟や深海など、生身の人間の侵入が困難な場所を案内するツアーをするのです。
ドローンは小型化・高性能化が進んでいますので、リアルタイムでメタバースと連携する技術も 搭載されていくでしょう。
もちろん、過酷な状況であるほど故障が高確率で起こるので、ドローンを複数用意しておくべきです。
また、小型潜水艦などで海中遺跡や深海などを巡るツアーをしても良いでしょう。
適切なニッチ化
これから、メタバースツアーはドンドン増えていくでしょう。
もし、コロナによる渡航制限が完全に解除されたとしても、その利便性は保たれます。
運営側、参加者側の双方に大きなメリットがあるので、旅行業界での1ジャンルとして定着するでしょう。
とうぜん、供給が増えていき競争が激化します。
なので、特定の層に強く訴求するようなニッチな企画が重要になります。
たとえば、前述した「アニメ・マンガの聖地」のツアーも、これから供給が増えていくでしょう。
したがって、
メジャーな人気作品は多くの企業が狙うので避けて、ある程度マイナーな作品の聖地を狙って供給することで、少なくても濃い需要を独占しやすくなります。
マーケットの需要と供給を見極めて、適切にニッチ化していくことが重要になるでしょう。
メタバースツアー×ご当地VTuberの可能性
差別化を図る1つの戦略としては、VTuberのツアーガイド起用です。
たとえば、
旅行会社大手のHISでは、VTuberがツアーガイドをするオンラインツアー(メタバースではない)が複数販売されました。
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— クレア先生 (@Claire_sensei) August 1, 2021
これを、メタバースで実施すればよいのです。
その観光地に興味がなかったとしても、VTuber自体のファンは参加してくれやすいです。
前述したとおり「VTuber×メタバースツアー」の前例があります。
(繰り返しになりますが。)香川県のバス会社 琴平バスがVTuberがツアーガイドをするメタバースでのバスツアー「メタバス」を開始しました。
今までに複数回実施されており、今後も複数のツアーが計画されているようです。
普段からその地域の情報をエンタメ化して発信している”ご当地VTuber”は、登録者は少ない傾向にありますが、
その地域に興味を持つ視聴者が視ているので、”少数でも濃いファン”を有しています。
なので、このような「お金を払ってでも参加したい」と思ってもらう必要がある企画には、ご当地VTuberが適しているといえるでしょう。
また、
「アニメ・マンガの聖地のメタバースツアーを、ご当地VTuberがガイドする」
…というコンセプトのツアーも、有望と言えるでしょう。
世界の旅行市場が激変する
今現在、メタバースでの同時通訳機能は あまり普及していませんし、あったとしても数秒間のタイムラグがあるといわれています。
しかし近い将来、
タイムラグなしの同時通訳機能が普及すれば、言語の壁がなくなるので日本人が世界中のメタバースツアーに参加するようになります。
同時に、世界中の人が日本のメタバースツアーに参加するようになるでしょう。
(日本文化は世界的に人気。)
同時翻訳機能で、言語の壁がなくなると同時に、旅行市場の壁もなくなります。
世界中の旅行者をターゲットにできると同時に、世界中の旅行会社がライバルになるのです。
また、
⬇日本より海外の方がNFT市場は盛んなので、「現地の文化NFT」や「アニメ・マンガ作品とのコラボver. 限定NFT」などを販売すれば、海外投資家にも買われやすくなるでしょう。
日本の娯楽コンテンツであるアニメ・マンガ・VTuberは、世界的に人気があるので、これらを戦略に組み込めば、世界市場を狙いやすいです。
世界に誇る日本のコンテンツとメタバースツアーと組み合わせは、極めて有望な戦略と言えるでしょう。
これから、世界の旅行市場がどのように激変していくのか・・・!?
とても、興味深いですね。
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