NF亭ショウタです。
幻肢(存在しない身体部位)にも、ファントムセンスが存在します。
すでに、開発セラピストも存在するのです。
幻肢ファントムセンスが普及すれば、メタバースの可能性がさらに広がるでしょう。
この記事では、
- 幻肢ファントムセンスの概要
- 可能な運営戦略
- 未来予測:多種多様の生物として活動
…を解説していきます。
ファントムセンスとは?
ファントムセンスとは、視覚・聴覚のみが再現されるはずのVRデバイスの体験中に、他の感覚を感じる現象を指します。
…本来、VR機器をつけていても、「視覚・聴覚」しか感じないはずです。
しかし、それ以外の「触覚・嗅覚・味覚」という、本来VR機器では体験できないはずの感覚を感じる人が多く存在します。
これが、ファントムセンスと呼ばれる現象です。
(ファントムセンスとほぼ同義の言葉として、「VR感覚」があります。
しかし この記事では、ファントムセンスに統一して解説します。)
たとえば、VR空間で
- 高所から落下したら、落ちていく感覚
- 頭をなでられたら、頭に触れられている感覚
- 温泉に浸かったら、温かく感じる
- 料理に近づくと、美味しそうなニオイを感じる
…などの感覚を感じる人も多いのです。
2021年に行われた国勢調査によると、かなり多くの人が、ファントムセンスを体験しているようです。
画像引用:ソーシャルVR国勢調査2021
ファントムセンスの開発セラピーも存在
画像引用:メタバース進化論
バーチャルヒプノセラピストであるPyloricomさんは、メタバースでヒプノセラピー(催眠療法)を行っています。
Pyloricomさんは、
…という資格も持っています。
人間の深層意識にアクセスするヒプノセラピーのファントムセンスとの相性の良さに着目し、ファントムセンス開発セラピーをしているのです。
公式サイトでは、すでに幻肢(動物の耳・しっぽ)ファントムセンスの開発セラピーも行っています。
今後は、”翼”など より多種多様の幻肢ファントムセンスの開発セラピーも行われるかもしれません。
幻肢(現実に存在しない部位)ファントムセンス
余剰肢ロボットアームで幻肢ファントムセンスを研究
画像引用:MoguraVR
2022年6月、東京大学 先端科学技術研究センターはVR空間で、
「ロボットアームを足の指トラッキングで操作すると、人間は”第三・第四の腕”として認識する」と、発表しました。
身体機能を人工的に拡張する「余剰肢ロボティクス」という分野では、生まれ持つ手足と同じ感覚で、ロボットアームを操作する技術が研究されています
今回の研究では、
- ヘッドセット
- 両手のコントローラー
- トラッキング装置
- 触覚を感じるデバイス
…を装着したうえで、VR空間上のロボットアームを操作しました。
画像引用:MoguraVR
すると、体験者は新しい”第三・第四の腕”を得た感覚を感じました。
ロボットアーム操作により、存在しない「余剰肢」を自分の身体の一部として使える感覚が、開発されたのです。
つまり、「自分の腕が増えた」という感覚を感じたのです。
この実験では、VR空間上の「第三・第四の腕」の触覚が、「足の指」に反映されるシステムでした。
画像引用:MoguraVR
(後述しますが)今後は、これが脳波検知で可能になるでしょう。
「ファントムペイン」治療にもVR活用されている
人体では、ファントムペイン(幻肢痛)と呼ばれる、事故などで失ったはずの四肢の感覚・痛覚を感じる現象が起こります。
画像引用:OGメディック
ファントムペインは、以前から人体科学では知られていました。
一説によると、四肢を切断した患者のうち、実に5割~8割がファントムペインを発症しており、症状が数年経過しても続くといわれます。
この原因は、
「脳が指令を出しても、あるべきフィードバックがない状況に、脳が適応できないから」
…と考えられています。
たとえば、
”腕を動かす指令”を脳から腕に送っても、”腕が動いた感覚”というフィードバックが得られないと、痛みとして感じるのです。
痛みとは、”身体の異常事態”を検知するための危険信号です。
自分の四肢を動かせない状況は、身体の異常事態なので、それに対応して危険信号を発令…つまり痛みを感じるのです。
ファントムペイン治療法は、これまでは鏡を使うことが実行されていました。
例えば、
右手を失った患者が、左手を鏡に写して、右手を動かす(指令を送る)と同時に、左手を同じように動かすことにより、「自分の右手は正常に動いている」と脳に錯覚させて、ファントムペインを解消するのです。
画像引用:岡山大学病院ペインセンター
そして、ファントムペインの新しい治療法として、VR鏡療法が開発されています。
左手を失った人が、右手をVR空間に再現して、左手を動かす(指令を送る)と同時に、右手を同じように動かして、「左手は正常に動いている」と錯覚して、ファントムペインを解消するのです。
そして、幻肢ファントムセンスは元から存在しないハズの部位をVR空間で拡張するので、このファントムペイン治療の”応用版”といえるでしょう。
脳波検知により、よりリアルな幻肢ファントムセンスを得られる?
脳で思うだけで、その脳波(電気信号)が検知されて再現される…という体験が、可能になりつつあります。
脳波センサーを頭部にかぶる…という方法はもちろん、脳波センサーである小型チップを直接脳に埋め込む…という方法も実験が成功しています。
⬇サルの脳に小型チップ(直径23mm)を埋め込みゲームをプレイさせる。
上手く進行すると、サルがくわえている管からバナナスムージーが出てくる。
ジョイスティックを操作してゲームプレイしていますが、途中から(動画の1分40秒あたりから)ジョイスティックのコードは引っこ抜かれており、脳で考えるだけでゲームプレイしていることがわかります。
これは超シンプルなゲームをプレイしているのですが、技術の進歩により いずれはより複雑なゲームを思考だけで楽しめるようになるでしょう。
また、(脳に小型チップを埋め込まずに)脳波センサーを被る方式でも、車などを運転する技術も開発されています。
⬇電動車イスの操作
⬇ベンツ社が、脳波で動く車を開発中
ですが、これらは実用化して失敗した場合、車などが暴走する恐れもあります。
なので、その前段階としても、ゲームへの応用が有効です。
(ゲームプレイの精度や反応速度がに重大な欠陥があっても、”ユーザーからキレられ➡平謝り”で済む。無関係の人間にぶつかって死なすより はるかにマシ。)
まだまだ、実用化は精度・反応速度の面から困難ですが、今後の進化により、スムーズなゲームプレイなども可能になるでしょう。
VTuberは、「亜人間」が多い➡「幻肢ファントムセンス」がVTuber界で一般化?
メタバースでのアバターは、亜人間(人間に近い姿だが、違う特徴もある生物)が最多である、との調査結果があります。
画像引用:ソーシャルVR国勢調査2021
VTuber界でも、同様に亜人間がとても多いです。
⬇最大手VTuber事務所ホロライブも、亜人間が多い
画像引用:ホロライブ公式サイト
- 猫耳
- 犬のしっぽ
- ドラゴン・鬼などの角
- 天使の翼
…など、人間にプラスアルファ要素として、他生物の特徴を1つ付加するような感じですね。
メタバース市場が一般普及するにしたがい、VTuber界全体も よりメタバースでの活動にフォーカスするようになります。
すると、亜人間アバターで活動しているVTuberは、とうぜん猫耳や しっぽを、自分の意志で ぴょこぴょこと自由に動かせるテクノロジーにも強い興味を示すでしょう。
つまり、「幻肢ファントムセンス」の概念やそれに関連したテクノロジーも、VTuberに浸透しやすいと思われます。
そして、
全身の動きをVTuberアバターに反映させるフルトラッキング技術だけでなく、”脳波検知による幻肢コントロール技術”も、VTuber活動機材に組み込まれていくでしょう。
もちろん、開発直後だと、幻肢ファントムセンスのトラッキング技術は かなり高額なオプションになります。
しかし、数年後には劇的に導入費用も低額化していくでしょう。
メタバースもVTuberも、今後もより巨大な市場へと発展していくことは確実です。
なので、そこで大きな需要のある、幻肢ファントムセンスのトラッキング技術を開発・実用化すれば、大きな利益を上げることができるので、研究開発はドンドン進むでしょう。
技術が進化すれば、多彩な伝説上の仮想生物として活動できる
これからは、猫耳・しっぽ はもちろん、より多種多様の幻肢ファントムセンスのトラッキング技術が可能になっていきます。
たとえば、両手両足に加えて、大きな翼を持つ天使型の亜人間アバターなどが、真っ先に思う浮かぶ人も多いでしょう。
脳波検知により、”翼という幻肢”を自在に操作してメタバースの大空を飛び回る・・・ということも可能になります。
それ以外にもドラゴンなど、”翼”に加えて”長い胴体”や”しっぽ”など、複数の幻肢ファントムセンスのトラッキング技術が併用されていく可能性もあります。
地上を人間型アバターが往来して、その上空を仮想生物アバターで飛行する・・・なんてメタバースも、いずれは実現されるのです。
可能な戦略
仮想生物になれるNFT販売
幻肢ファントムセンスが実用化されたら、それを活用して様々な仮想生物が作られるでしょう。
そして、ラピュタみたいな城が複数 浮遊しているようなメタバースも作られ、翼で自由に飛び回れるようになるでしょう。
もちろん、デフォルトで翼を使えるのも良いのですが、翼をもつ仮想生物になれる権利のNFT化もできます。
メタバースで通常通りに行動するのはとうぜん無料にして、そこで仮想生物アバターで活動したい人向けに、NFT販売をすれば収益化も可能になるのです。
モンスターとなって人間と戦うゲーム
ゲームといえば、人間としてモンスターを倒しにいくゲームが定番です。
しかし、逆にモンスターとなって、人間を迎え撃つ(アグレッシブに こちらから襲撃に行く)というゲームも可能になります。
また、白亜紀を再現したフィールドで、肉食恐竜となって草食恐竜を捕食する…などもできます。
(恐竜の姿で)ジャングルでフリートークをしつつ、気が向いたら狩りに出かける…という過ごし方ができるのです。
メタバースでそれを行えば、
- 捕食者 VS 被食者
…の構図で戦いが成立するので、参加者は双方に分かれてゲームを楽しめます。
空が舞台のメタバース
飛行移動を前提にしたメタバースをいち早く創れば、差別化を図れます。
”ラピュタ”や”世界樹ユグドラシル”などをモデルにしたメタバースを創れば、ファンタジー性も高い世界観を演出できるでしょう。
自分の翼で、大空を自由に飛ぶ…というのは人類の夢です。
とうぜん、鳥アバターになって「両手のトラッキングを翼に反映させる」ことによって翼で飛ぶ…というメタバースは、現時点でもすぐに実現は可能でしょう。
しかし、それだと「飛ぶ体験」に満足したら、他のメタバースに行ってしまいます。
なので、メタバースに定着してもらうためには、「”両手と両足が自由なアバター”で空を飛べる」必要があります。
鳥アバターで飛行できても、結局 両手を翼に使ってしまっています。
これは、最初のうちは新鮮味があるでしょうが、いちいちバッサバッサと羽ばたくのは、すぐに煩わしくなるでしょう。
なので、両手両足を普段通りに使用できる前提を踏まえたうえで、空を飛べる必要があります。
つまり、脳波を検知して、それを空を飛ぶ動作に反映させるのです。
「翼で飛ぶ」のいうのが、真っ先に思い浮かびますが…別に翼でなくても構いません。
ドラゴンボールの舞空術のように飛べるようにすれば、(翼で飛ぶときに必要になるであろう)VR空間における物理法則の計算なども不要です。
遠隔攻撃の操作感
少年ジャンプなどでよくある能力者バトルも、幻肢ファントムセンスのトラッキング技術で再現できる可能性があります。
- かめはめ波・炎弾などを、放った後も感覚的に軌道修正
- 指から繋がっている鎖を操作する
- 桜の花びらを、自在に操る
…など、自分の四肢を拡張するように、これらの能力を感覚的に使えるようになる可能性が高いです。
そうすれば、メタバース上での能力バトルも可能になります。
同一の世界観の中で、共通の目的を持つプレイヤーが競い合って、その過程で能力バトルをする…など、ゲームシステムの幅も広がるでしょう。
⬇関連記事
未来予測:自分が創造主の世界で、様々な生物として世界を体感
テクノロジーが発展して、情報処理技術が極限といえるレベルに高まれば、「もう1つの地球」といえる規模のメタバースを1人1人が創造して、所有することも可能になります。
そして、
その地球の中ではAIが人間として活動しつつ、所有者は神の視点で見守ったり、宇宙人として人間に接触したり、人間型アバターで地上に降り立つこともできます。
⬇詳細
その地球で、様々な生物となって世界を体感することも可能になります。
幻肢ファントムセンスのテクノロジーを活用して、多種多様の仮想生物として活動することが可能になるのです。
現実世界では両手両足しかない人間でも、翼やしっぽを自在に操る仮想生物としてメタバースで生きることができます。
会社では上司にいびられ、家庭では妻の尻に引かれている うだつの上がらんオッサンでも、
神様っぽいアバターで後光を差して浮いてれば、AIたちは「なんか凄そうだから、崇めて祈っとこう。」と最上級の存在として扱ってくれて、承認欲求を存分に満たしてくれるのです。
また、自分がデザインした仮想生物になることもできます。
幻肢ファントムセンスを自在に組み込んだアバターを創造できるプラットフォームも、いずれは作られる可能性は高いです。
新しい生物・世界を創造する・・・という神の領域に(メタバースなら)到達できる時代も、着実に近づいているのです。
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