NF亭ショウタです。
鳥取県自治体が、「メタバース課」を設立しました。
自治体におけるメタバース課の設立は、初の事例となります。
さらに、有名なNFTシリーズから、こちらも初の事例となる「AI職員」も採用されました。
この記事では、
- 鳥取県自治体「メタバース課」の全体像
- メリット デメリット・可能な戦略
- 未来予測:AIでの地方創生の時代到来
…を、解説していきます。
鳥取県 自治体が「メタバース課」を設立
Web3.0で、関係人口を創出
2023年2月2日、人口が最少の県である鳥取県が、自治体初となる「メタバース課」を立ち上げたことを、メタバースプロジェクトXANA(ザナ)との合同記者会見で発表しました。
メタバース課は、メタバース空間内で鳥取県の情報を発信することで「メタバース関係人口」の創出を主目的としています。
(※関係人口=観光以上移住未満の状態。
イベントの運営に参画するなど、特定の地域に継続的に多様な形でかかわる人のこと。)
メタバース上での鳥取県の魅力発信をして、リアルの鳥取観光や物産振興など、新たな関わり方が生まれることを期待しています。
有名なメタバースプロジェクトであるXANA内に美術館を開設し、そこからメタバース課に行くことができます。
メタバースでの鳥取県を知ってもらうことで、世界中の人に魅力を知ってもらい、人口減少・高齢化などの問題の解消につなげていくことを目的としています。
自治体初の「AI職員」YAKAMIHIME
同時に、自治体初となる”AI職員”として「YAKAMIHIME」が正式に任命されました。
既存のNFTシリーズ「XANA:GENESIS」を鳥取県オリジナルアバターで採用しており、感情表現・音声会話が可能なAIを職員としては日本初となります。
YAKAMIHIMEとの交流することは、すでに可能であり、公式サイトでコミュニケーションを取ることができます。
チャットで質問をすると、感情表現を交えて会話をしてくれます。
鳥取県の基礎的な情報は学習済みであり、AIなので24時間365日働きつづけることが可能です。
今後も学習は続けて、より高性能なAIとなっていくとのことです。
YAKAMIHIMEは、AI搭載NFTシリーズである「XANA:GENESIS」から生まれました。
このNFTシリーズには、1万体のアバターが存在します。
商業利用も全面的に許可されており、将来性が高いNFTプロジェクトといえます。
XANA:GENESISは、世界的に大きな注目を浴びているメタバースプロジェクトであるXANA内のプロジェクトの1つです。
⬇XANAのPV
XANAは、地方自治体・観光業・スポーツ・アニメなど、多角的な事業において活用されており、これからのさらなる発展も期待されています。
鳥取県自治体はweb3.0時代の地方創生を重視
鳥取県は、メタバース課の設立以前にも、XANA内におけるNFTプロジェクトとの連携もスタートしています。
⬇XANA内 NFTプロジェクトの詳細
このNFTプロジェクトは、全国の自治体とのコラボを目指しています。
そして、その第一弾が鳥取県自治体とのコラボです。
鳥取県自治体が、新テクノロジーによる地方創生を重視していることがうかがえます。
XANAにおけるプロジェクトをはじめとして、web3.0時代における地方創生は これからも推進されていくでしょう。
メリット
革新性アピール
メタバースによる地方創生が注目されている中、「自治体初のメタバース課」というのは、注目を引きやすくアピール材料になります。
メタバースに対する情報に敏感な人に、記憶してもらいやすくなります。
今後、鳥取県自治体がメタバース関連プロジェクトをするときも、注目・情報拡散されやすくなるでしょう。
情報感度の高い人が集まる
メタバースに強い興味がある人は、情報感度が高い人が多いです。
必然、NFTなど 他の新テクノロジーにも精通した人が多いです。
つまり、意見を募った場合は、多くの集合知が集まりやすくなります。(後述します。)
XANAの知名度の恩恵
XANAおよびXANA:GENESISは、高い注目度があります。
つまり、”その関連プロジェクト”と認識されて、知名度の恩恵を受けることができます。
今後も、XANAおよびXANA:GENESISが大きな注目を浴びるたびに、思い出してもらいやすくなります。
デメリット
AIの言動が厳しく見られる
AIは、自由すぎる発言をすることもあります。
実例として、AI VTuberとして注目されているネウロ様は、かなり際どい発言をすることで知られています。
⬇右=AI VTuberネウロ様・左=普通のVTuber
⬇際どすぎる金言集
人間が言ったら炎上しそうな発言集ですが、AIなので炎上というより 面白がられて拡散されている意味合いが強いです。
しかし、自治体公式AIの場合、このような発言をしたら、厳しめの目で見られかねません。
自治体公式のVTuberも増え、発言の自由度も増した印象はあるものの、やはり自治体公式は ある程度の発言の自制は必要になりそうです。
XANA:GENESISに依存
アバターこそオリジナルであるものの、搭載されているAIは、XANA:GENESIS運営企業が開発しています。
つまり、AI職員の発言も、開発企業のプログラムに大きく左右されてしまうのです。
変な言葉を覚えさせられるリスク
YAKAMIHIMEを含むXANA:GENESISのAIは、人間との会話によって育成されていきます。
どのような会話をしてきたかによって、性格も変わっていきます。
すると、「18禁・放送禁止用語などを大量に覚えさせよう」としてくる人も現れます。
地方自治体の公式キャラクターとして、変な言葉はイメージダウンにつながりかねません。
何らかの対策が必要でしょう。
可能な戦略
XRメタバースで案内役
「XR」とは、「VR(仮想現実)・AR(拡張現実)・MR(複合現実)」の総称です。
まず、このそれぞれに同期性が加わり、それぞれがメタバースしていくでしょう。
一般的にメタバースと言われているモノは、VRメタバースです。
自治体が公認しているパラリアル(実在名所のVRメタバース)はバーチャル渋谷など複数の事例が存在します。
そして、鳥取県内のパラリアルを県自治体が公式で運営するとき、その案内役としてAI職員であるYAKAMIHIMEというキャラクターを活用することができます。
(ただ、現状XANA:GENESISのAIは3D空間の移動などはできないため、定位置にとどまっての案内所スタッフみたいになるでしょう。)
そして、ARメタバース・MRメタバースもこれから開発が進み、一般層に拡大していくでしょう。
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そして、ゆくゆくは VRメタバース・ARメタバース・MRメタバース 同士も同期していき”XRメタバース”となり、それぞれの利用者がリアルタイムでのコミュニケーションが可能になるでしょう。
ヘッドセット着用で自宅からVRメタバースに訪れても良いですし、スマートグラス着用で鳥取県の現地に実際に訪れても良いのです。
そして、このXRメタバースでの案内役キャラクターとして、YAKAMIHIMEを活用することができます。
スマートグラスなどの利用者が、(鳥取県内にいるときは)いつでもYAKAMIHIMEを呼び出せて質問できるようにすることができます。
繰り返しコミュニケーションをとることによる単純接触効果で、YAKAMIHIMEへの愛着が生まれやすくなります。
スマートグラスの高性能化・低価格化が進めば、今後はスマホのように必須アイテムとなっていきますので、有望な戦略といえます。
一部DAO化
人は、自分が一度でも参加して協力したモノには、その後の動向も気になり続けるものです。
なので、web3.0時代の運営戦略のアイデアを募ったり、多数決で決めたりすれば、それに協力してくれた人は、その後もその動向を気にし続けてくれやすくなります。
そのために、DAOのシステムを部分的に取り入れる”一部DAO化”が有効です。
⬇DAOのシステムを解説
⬇一部DAO化の具体事例
天分系Vtuber運営
鳥取県は、日本一星を観測しやすい県として知られていて、どの市町村からも天の川を見ることができます。
そのため、「星取県」と名乗っています。
なので、天体観測の魅力を発信するのは、特色を生かして県外・海外へアピールする手段として有効です。
その場合、大別して2つの選択肢があります。
1.AI職員がVTuberとして活動する
前述したAI職員YAKAMIHIMEがYouTube上でVTuberとして活動します。
ゴールデンウイークなどにぶっ通し天体観測ライブ配信などが可能になります。
2.人間がVTuberとして活動する
VTuberとして活動する人を募集して、県公式VTuberとして活動します。
上記いずれにおいても、海外層へのアプローチのため、英語字幕は必須と言えます。
⬇このようなノリで、天体観測あるある などを紹介しても良いでしょう。
⬇すでに、天分系VTuberは複数存在しており、コラボ配信なども行っていますが・・・。
現時点のYAKAMIHIMEでは、コラボ配信は困難(会話のテンポについていけない・ライブ配信におそらく未対応)なのが明白なので、単独での活動が適しているでしょう。
(もちろん、今後のXANA:GENESISのAIの進化により、コラボ配信も可能になるかもしれません。)
ふるさと納税の返礼品にNFT
ふるさと納税の返礼品として、NFTを活用します。
⬇すでに、前例は存在しており、これからも増えていくでしょう。
同じように、YAKAMIHIMEや(前項で解説した)鳥取県内 市町村でのAIキャラクターのNFTを用意して、ふるさと納税に返礼品に充てることができます。
革新的なプロジェクトを打ち出し、「将来性を期待できる自治体」と認識されれば、NFTを欲しがる投資家も増えていき、ふるさと納税を促進できます。
未来予測:自治体は「メタバース×NFT」に加えてAI導入が進む
他の自治体でも、メタバース活用は急速に進んでいる
この記事では、鳥取県自治体のメタバースによる地方創生について考察しました。
同じように、メタバース・NFTを活用した地方創生プロジェクトを発表する自治体は、次々に現れています。
また、メタバースの実証実験を進行中である埼玉県自治体では、以前よりアニメ・VTuberによる地方創生も進めています。
⬇埼玉県の県庁通りの街並み(実験中)
そして(この記事で解説したように)鳥取県ではそれに加えて、AIを活用しての地方創生をはじめたのです。
つまり、メタバースでもリアルでも、最先端のAI技術を徹底的に活用して「AI都市:鳥取県」として認識されていけば、国内外での注目度が上がります。
もちろん、AIが一般層にAIと認識されるためには、「受け答えができるキャラクター」が必要です。
AIは、4つのレベルに大別されます。(詳細は、リンク先で解説)
このうち、AIがキャラクターとして受け答えして「凄いAI技術だ!」との印象を与えるには、レベル3以上である必要があるでしょう。
このレベル3以上のAIが、アプリや役所の案内所など、ありとあらゆるところで性格で有益な受け答えをしてくれるようになって利便性が向上すれば、AI都市としてのイメージを築けます。
そして、会話から利用者の需要や動向などのデータを分析して、ビッグデータを形成していけば、街づくりに活かすことができます。
AIによるスマートシティ化
そして、ありとあらゆる生活インフラを最適化していき、スマートシティ化(様々な新テクノロジーを活用して、利便性を上げる都市計画)をしていくことができます。
日本の将来において
- 都市部への人口集中
- 地方の過疎化
- 少子高齢化の進行
などが問題視されていますが、AIを活用することで利便性を上げていけば、移住者や観光客も増えて、過疎化の改善・経済活性化にもつながります。
リアルの都市同士が、メタバースでつながっていく
世界最大のメタバースイベントであるバーチャルマーケットの主催者が進行中のプロジェクトに、世界100都市をメタバース化する「パラリアルワールドプロジェクト」があります。
そして、鳥取の実在の都市や名所をメタバース化して、「パラリアル鳥取」として加わることができるなら、大きな集客導線となります。
そして、この「パラリアルワールドプロジェクト」に限らず、世界中の都市がパラリアル化して、それらが協力し合うプロジェクトが複数生まれる
…という可能性も高いです。
さらに、自動翻訳技術も発達していけば、世界中の人々が世界中の都市の魅力を知るキッカケが生まれます。
自動翻訳技術も、利用者とのコミュニケーションをするキャラも、ビッグデータの解析も、AIを活かせます。
AI活用により、
地方創生戦略の合理化(理に適った方法論の提案・実行)が進み、
それに必要な作業が効率化(方法論に沿って、より少ないリソースで より大きな結果を生む)
…が、なされていくでしょう。
鳥取県が、日本における そのモデルケースとして注目を集めれば、観光客も増加していき情報拡散されやすくなるでしょう。
前述したスマートシティで利便性を向上すると同時に、そこへの認知拡大・集客手段として、パラリアルの運営も行うパターンが増加する可能性も高いです。
将来的には、スマートシティのパラリアル同士が、メタバースプロジェクトによってつながっていく事例が増加していくでしょう。
(というより、スマートシティ化が常識となっていき、わざわざ”スマートシティ”という言葉を使うこともなくなるかもしれません。)
メタバース・AIは、地方創生の有力な手段となっていくのです。
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