NF亭ショウタです。
日本トップクラスのNFTシリーズが、自治体向け事業「ふるさとCNP」を開始しました。
ふるさと納税をした人を対象に、日本を代表するNFTであるCryptoNinjaの派生シリーズNFTが配布されるのです。
その第一弾が、北海道余市町とのコラボです。
これは、地方創生の革新的な事例となるでしょう。
この記事では、
- ふるさとCNPの詳細
- 可能な戦略
- 未来予測:自治体メタバースとの融合
…を、解説していきます。
「ふるさとCNP」とは?
ふるさと納税返礼品として「CryptoNinja Partners」NFTをプレゼント
「ふるさとCNP」は、有名NFTシリーズ「CryptoNinja Partners」のキャラクターをモチーフにしたNFTを、ふるさと納税の返礼品として配布するプロジェクトです。
「NFT×地方創生」をしている株式会社あるやうむ との共同プロジェクトです。
「ふるさと納税×NFT」戦略を、地方自治体と合同で行って地域の活性化につなげることを目的としています。
⬇プレスリリースでも、
地域の魅力を伝えるNFTや、キャラクター活用にご興味をお持ちの自治体様は、
お気軽にお問い合わせいただけましたら幸いです。引用:PR TIMES
…と、参加する自治体を常に積極的に募集しています。
補足:ふるさと納税とは?
ふるさと納税とは、居住地に関わらず、日本全国の好きな自治体に納税できる制度です。
寄付に対するお礼として、返礼品をもらうことができます。
画像引用:ふるさと本舗
※注意点として、住んでいる(住民票を登録している)市町村へ ふるさと納税をしても、返礼品を受け取れないという落とし穴もあります。
住民票登録している自治体にふるさと納税した場合、寄附の返礼品を受け取ることはできません。
ふるさと納税のメリットの一つとして、寄附に対して特産品をはじめとする魅力的な返礼品を受け取ることができる点が広く知られています。
ですが地方税法により、居住者からのふるさと納税に対しては返礼品は送られません。
つまり今回の事例でいうと、
残念ながら、北海道余市町の住民は ふるさとCNPのNFTを受け取ることが、制度上できない…ということです。
第1弾となる北海道余市町の コラボNFT
2022年10月21日、CNPのキャラクターである「ルナ」をデザインしたNFTが、ふるさと納税の返礼品として提供されました。
余市町の名所や、特産品のワインがモチーフのパーツや背景などが異なる一点モノのNFT(=ジェネラティブNFT)としてデザインされており、合計222種類が発行されます。
ふるさと納税の寄付額3万円で、1種類のNFTを受け取ることができます。
⬇また、余市町を実際に訪れるとNFTのデザインが進化する仕掛けが施されています。
さらに、
- 余市町のワインの優先購入権
- 権利保有者のみ参加可能なDiscordチャンネルを、1か月限定で体験する権利
…などの権利も付与されます。
CryptoNinja Partnersとは?
CryptoNinja Partnersは、世界的に有名なNFTシリーズ「CryptoNinja」の派生シリーズです。
2022年5月15日に22,222点のNFTが販売されました。
⬇本家シリーズ「CryptoNinja」
⬇派生シリーズ「CryptoNinja Partners」
本家のCryptoNinjaのNFTが高価で購入できない層に向けて、安価な派生NFTとして販売したのが「CryptoNinja Partners」の始まりといえます。
その流通総額は開始3ヶ月で3,000ETH(約7億円)を突破して、世界最大のNFTマーケットプレイス「OpenSea」で世界ランキング上位の獲得実績があるほどの人気を誇ります。
⬇また、本家のCryptoNinjaの詳細は、こちらで解説
北海道余市町の ふるさと納税返礼品の前例
余市町は以前から、NFTをふるさと納税返礼品として活用してきました。
その2つの前例を解説します。
1つ目の前例:Yoichi Mini Collectible Collection No.1
2022年5月7日、北海道余市町の特産品のワインをモチーフとしてNFTを、ふるさと納税の返礼品として提供しました。
- ワインの種類(白・赤・スパークリング)
- キャラクター
- 背景
…などがそれぞれ数パターン用意され、それらの組み合わせで総計54種類となります。
このNFTは、
- 余市町自治体
- 株式会社あるやうむ
- 国内最大級ふるさと納税サイトふるさとチョイス運営企業:株式会社トラストバンク
…の3団体が共同で、ふるさと納税返礼品としてNFTを発行しました。
2つ目の前例:【マイクリコラボ】
2022年6月23日、ブロックチェーンゲーム「My Crypto Heroes」で使えるアイテムのNFTを返礼品にした試みが行われました。
これらは、ブロックチェーンゲーム「My Crypto Heroes」上で実際に使用できるアイテムであり、
- 寄付金額20万円:1種類×20枚
- 寄付金額 3万円:2種類×各100枚
…の、合計220枚のNFTが返礼品として提供されました。
- 北海道余市町自治体
- 株式会社あるやうむ
- 「My Crypto Heroes」運営企業:MCH株式会社
…の3団体が、共同で実施しました。
そして今回の「ふるさとCNP」で、3回目の事例となるのです。
今後も、余市町のNFT活用事例は、増えていくでしょう。
⬇補足:余市町のNFT展開に関わる、株式会社あるやうむ の北海道北広島市でのNFT”実証実験”についての詳細
メリット
新規層への認知拡大
このような先進的な事例は、大いに情報拡散されて、新規層への認知も広がります。
つまり、CryptoNinja Partners ひいては本家のCryptoNinjaの知名度がさらに 上がります。
すると、戦略展開の幅も広がります。
地方からの案件増加の可能性
今回の余市町での試みが上手くいって税収が増加すれば、とうぜん それに注目した新たな自治体からの ふるさとCNPへの依頼も増えやすくなります。
また、ふるさとCNPだけでなく、他の切り口からの依頼も増える可能性があります。
例えば、「CryptoNinja関連シリーズのキャラクターが、自治体公式キャラに認定される」ということが実現するかもしれません。
無許可でビジネス利用が自由➡さらに認知拡大
CryptoNinjaは、無許可でのビジネス利用を許可しています。
CryptoNinjaを利用したビジネスは、「年商2000万円以内」までなら、無許可で自由に展開していただくことができます。
年商2000万円を超える事業については、原則的に許可制とさせていただいております。
引用:公式サイトガイドライン
つまり、今回の件で余市町での知名度が上がれば、様々な業者がビジネス利用をしてくれて、自主的に宣伝してくれるのです。
本来、宣伝には広告費や手間が必要なのですが、それをやってくれて知名度が上がっていくのは、大きなメリットとなります。
(※しかし、これは「デメリット」の項で 後述するリスクと、表裏一体といえます。)
日本中のNFT投資家がターゲット
CryptoNinja Partnersひいては本家のCryptoNinjaは、日本トップクラスといえる知名度と人気があります。
つまり、日本の(日本在住の)NFT投資家・NFTコレクターたちが、ふるさと納税してくれる確率が格段に上がるのです。
マンホール×SNSで拡散
CNPキャラクターをデザインしたマンホールを余市町に設置予定…と発表されています。
これは、CNPファンが余市町に来るキッカケになります。
そこで、SNSでの拡散を狙うことができます。
具体的には、CNPデザインのマンホールを見つけたらそれを撮影して、Twitterなどに指定のハッシュタグをつけて画像を投稿してもらうことによる、情報拡散を狙うのです。
そのために用意するメリットの例としては、全種類のマンホールの画像を投稿したアカウントに対して、
- ”殿堂入り”として、公式サイトに記録
- フルコンプリートを証明する限定NFT配布
…などがあると良いでしょう。
NFTに興味が強い人が集まりやすい➡次のプロジェクトにも興味を持ってもらいやすい
余市町は、(前述したとおり)NFTによる ふるさと納税の税収増加のプロジェクトを複数回行っています。
すると、NFT業界にいる人たちからは「余市町は、NFTを活用して革新的なことをする自治体」と認識されていきます。
つまり、余市町の以後の動向にも注目してもらいやすくなるのです。
⬇好例として、いちはやくNFTを取り入れて注目度が上がった山古志村は、それ以降の動向もNFT関連メディアで情報拡散されやすくなっているメリットがあります。
デメリット
市場が巨大な海外はターゲットにならない
NFTは、海外市場は大きいですが、日本の市場はとても小さいです。
⬇参考記事
そして、今回のCryptoNinja Partnersは「ふるさと納税の返礼品」として配布されています。
つまり、日本の自治体に納税することがない海外層は完全に対象外なのです。
まだまだNFT投資家・NFTコレクターが少ない日本市場に限定しているので、せっかく海外層が興味を持ってくれても納税はされないのです。
無許可でビジネス利用が自由➡グッズ粗製乱造
(前述したとおり)CryptoNinjaは、無許可での二次創作での収益化を全面的に許可しています。
なので、ふるさとCNPにより 余市町でCryptoNinja Partnersの人気・知名度が上がった場合、とうぜん多くの業者がグッズ化して販売します。
すると、その中には悪質な業者もとうぜん現れるでしょう。
CryptoNinjaのような「無許可でビジネス利用が自由」という事例は非常に珍しく、多くの人はすべてのグッズのトラブルは、CryptoNinja運営サイドに責任があると思うでしょう。
すると、苦情が「ふるさとCNP」運営企業に行き、事情を説明しても、
「無許可でビジネス利用を許可?そんなの非常識!ありえない!!」
…などと、話が通じずSNSで炎上…という最悪のパターンにもなりえます。
「無許可でビジネス利用が自由」というのは、とても画期的で大きな可能性がありますが、反面、いろんなリスクも潜んでいる…といえるでしょう。
北海道余市町の住民は、ふるさとCNPを受け取れない?
(前述したとおり)余市町に住民票を置いている人は制度上、余市町にふるさと納税をしても返礼品を受け取れない・・・つまり ふるさとCNPのNFTを受け取ることができません。
これは、大きなリスクといえます。
もし、NFTに強い興味を持つ投資家・コレクターが余市町に興味を持って移住を検討していても、
「余市町の住民は、返礼品のNFTがもらえないの?➡余市町以外に住んで、余市町に ふるさと納税してNFTを受け取ればいいや!」
…と、余市町以外の市町村に住んでしまう可能性が高まります。
全国のNFT好きな人からの注目を集めるには有効ですが、
反面、住民を増やして地元を活性化する…という地方創生とは真逆の、マイナス効果も出てしまうことになるのです。
(余市町の住民からのふるさと納税には、別の名目でプレゼントするなど、抜け道を探す必要がありそうです。)
NFTを理解して、行動を起こす人は超少ない
NFTは、日本においてはほとんどの人が知りません。
NFTを管理するウォレットを持っていない人が大半です。
⬇ウォレットについては、こちら
つまり、ほとんどの人は「CNP?面白そう!!」と興味が湧いたとしても、それを受け取るための行動を起こしてはくれません。
なので、ウォレットを持たない、NFTの取り扱い方を知らない人に対応する策として、
- 運営サイドが一括でウォレットを管理して、ウォレットを持たない人からの納税も可能にする
- 「このNFTの所有者は●●さん」と公式サイトなどで表記して、所有欲をしっかり満たす
…などの対処をすると、より多くの人からの納税が期待できます。
(とうぜん、NFTの特性上 取り扱いミスは取り返しがつかないので、細心の注意が必要ですが。)
戦略
XRスタンプラリー
XR(クロスリアリティ)とは、
- VR(仮想現実)
- AR(拡張現実)
- MR(複合現実)
…の総称です。
画像引用:日経ビジネス
そして、
スマートグラスなどのXRデバイスを着用してのXRスタンプラリーを開催して、クリア報酬として限定NFTをプレゼント…などをすると、参加してくれる人も増えるでしょう。
チェックポイント通過の判定は、
- GPS
- QRコードを撮影
- 音響透かし
…などの方法で可能です。
また、スタンプラリー開催期間以外であっても、
XRデバイスを着用して北海道余市町の名所などに行くと、CryptoNinja Partnersのキャラクターが投影されるようにすれば、ファンが現地の名所などを巡ってくれやすいです。
ファッションNFTを販売
CryptoNinja Partnersのキャラの衣装を、メタバースで身に着けれるファッションNFTとして販売できます。
また、現地の伝統文化と融合したファッションを新しく生み出してNFT化しても良いでしょう。
北海道は、アイヌ民族をはじめとした伝統衣装や工芸品などがあります。
また、アイヌ文様・タトゥーも美しいですね。
それを、メタバースで身に着けれるファッションNFTとして販売することもできます。
(日本では、残念ながらタトゥーは威嚇を主目的として入れている人が多い印象ですが)受け継がれてきた伝統的な文化の魅力を知ってもらうキッカケにもなります。
タトゥーは海外では、ファッションとして入れている人も多いので、海外層に北海道の伝統的なタトゥーに興味を持ってもらうチャンスでもあります。
メタバースで使える特典をNFT化して返礼品にする
自治体によるメタバース計画は次々に発表されています。
⬇参考記事
いずれ、余市町がメタバースを開発・運営することもありえます。
なので、そこで使える なんらかのNFT(前項で解説したファッションNFTでもよい)を、返礼品として配布します。
つまり、ふるさと納税してくれた人に、メタバースで使えるメリットを与えるのです。
未来予測:自治体メタバースとの融合戦略が定番化
自治体メタバースでの優待権利がNFT化されていく
今回の”ふるさとCNP”は、「既存の有名NFTシリーズとのコラボ」というカタチで実施されました。
そして、今後も、自治体が既存の(日本国内の)有名NFTシリーズとコラボする事例は増えていくでしょう。
しかし、日本国内の有名NFTシリーズとなると数は限られます。
(CNPのような、子供でも親しみやすい絵柄となると、なおさらです。)
そもそも、多忙であろう有名NFTシリーズ運営企業が、自治体とのコラボを承諾してくれる保証もありません。
なので いずれは、自治体によるメタバース運営がとうぜんとなり、それを前提としたNFTが発行されていくパターンも増えるでしょう。
すでに、自治体によるメタバースの前例はありますし、これから実施されるであろう計画も多数発表されています。
そこで使える優待権利などがNFT化され、それを ふるさと納税の返礼品にする…というパターンが出てくるでしょう。
自治体メタバースといっても、役所をメタバース化するというワケではなく、その市町村の魅力を表現した、娯楽性の高いメタバースを作っていくのです。
その市町村に興味が無かった人にも興味を持ってもらえるような魅力的なメタバースを運営して、いずれはリアル現地に訪れてもらうことを目標とするのです。
例えば、
(自治体公式メタバースではないが)沖縄県那覇市の魅力をメタバース化した、「バーチャルOKINAWA」というメタバースが存在します。
このバーチャルOKINAWAのような その地方の魅力を表現するメタバースを、自治体が運営or公認する流れが生まれるでしょう。
⬇バーチャルOKINAWAの詳細は、こちらで解説
まとめると、
- 地方の魅力を活かしたメタバースを自治体が運営
- そこでの優待権利NFTを発行
- NFTをふるさと納税の返礼品にする
…というパターンが増加する可能性が高いのです。
「AR×MR×メタバース(VR)」の融合も可能
(前述したとおり)XRは、
- VR(仮想現実)
- AR(拡張現実)
- MR(複合現実)
…の総称です。
一般的には、多人数がリアルタイムでコミュニケーションできるVRが、メタバースと呼ばれます。
そして、今後はメタバースはもちろん、AR(拡張現実)・MR(複合現実)を体験するための高性能なデバイスも低価格化が進み、普及していくでしょう。
すると、それを地方創生に活かす戦略が大幅に広がるのです。
⬇「XR×地方創生」の戦略は、別記事でくわしく解説しています。
いずれは多くの自治体が、メタバースのみならずXR全般を活用しての地方創生戦略をするようになるでしょう。
すると、
- XRでの何らかの権利をNFT➡ふるさと納税の返礼品にする
…という手法が可能になります。
このように、
ふるさと納税の返礼品として、権利NFTをプレゼントというパターンが定番戦略となって、効果の高い地方創生を可能にするのです。
現在、ブロックチェーンに対する規制がガチガチにカタく、ブロックチェーン企業は海外に拠点を移す傾向がとても多いですが、
規制緩和されて、日本企業がNFTでの地方創生がしやすくなることを祈りたいものです。
「NFT×地方創生」は、大いなる可能性があるのですから。
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