NF亭ショウタです。
新時代の地方創生戦略として、メタバースが活用されていくのは確実ですが・・・。
さらに、AR(拡張現実)・MR(複合現実)を活用することで、戦略の幅が格段に広がります。
さらに、”メタバースの多様化”も、視野に入れておく必要があります。
この記事では、「AR・MR×メタバースによる地方創生の戦略」について、考察していきます。
AR(拡張現実)・MR(複合現実)とは
画像引用:日経ビジネス
メタバース・VR(仮想現実)は、仮想空間がメインなのに対して、AR・MRは現実世界をメインとします。
AR(拡張現実)とは
現実の世界に、ARデバイスのディスプレイに投影した映像をプラスして、現実を拡張する技術です。
肉眼で見える現実世界に、新しいデジタル情報を足すのです。
ユーザーは、ARデバイスを装着しながら いつもどおり通常の生活を送りつつも、ARでデジタルな情報をリアルタイムで得ることができます。
屋内・屋外の両方で使う前提であるため、デバイスの軽量化・小型化がとても重要です。
⬇3D映像が投影される条件の設定は、3つに大別されます。
- ロケーションベースAR=GPSによる位置情報や、設置されたセンサーに対応
- マーカー型AR=設定した特定の図形(写真・イラスト)などに対応
- マーカーレス型AR=風景・建物・看板などに臨機応変に対応。
(あらかじめマーカーを設定する必要がないが、高度な技術が必要)
つまり、条件を満たす情報を検知すると、3D映像が表示される…という感じですね。
MR(複合現実)とは
「ARの進化版」といえる技術です。
”現実世界の空間に対応した映像”が投影されます。
3D映像が投影される条件を比較すると、
- AR➡位置情報やマーカーに反応、3D映像を表示
- MR➡センサー・カメラで空間情報を認識、その空間に対応した3D映像を表示
…という違いがあります。
また、
ARは、現実世界に新しいデジタル情報をプラスしますが、さらにMRは現実世界と仮想世界が相互に影響を与え合います。
例えば、ARでボールを投げたら、現実世界の障害物などがあってもすり抜けてしまいます。
しかし、MRの場合は、現実世界の障害物が3D映像に影響を与えるので、跳ね返ってくるのです。
また、ARは3D映像に近づくことはできません。(近づいても、ARの3D映像が離れていく)
しかし、MRは3D映像に近づいたり、後ろに回り込んだりして自由な角度で3D映像を観ることができます。
また、それに触れることもできますし、タッチパネルを表示させて情報を入力したりも可能です。
さらに、複数人が同じMR空間を共有するなど、メタバース要素を追加することも可能になります。
今後の技術発展により、さらに利便性は上がっていくでしょう。
AR・MRとメタバースを地方創生に活用するメリット
地方創生の先進的事例として情報拡散される
先進的な事例というのは、大きな注目を集めやすいです。
そして、その後の動向にも注目してもらいやすいです。
⬇たとえば、山古志村はニシキゴイのNFTを販売して、「地方創生の先進的事例」として大きな注目を集めました。
すると、「山古志村=先進的な地方創生」という良いイメージを持たれます。
その後も、新しいプロジェクトをするたびに注目・情報拡散されやすくなります。
それと同じく、
いち早く「AR・MR×メタバース」による地方創生を実行すれば、情報拡散されて良いイメージを持たれ、その後の動向にも注目されやすくなります。
NFTを販売するときも、将来性を期待され、投資家から買われやすくなるでしょう。
メガネやコンタクトで装着できる、もはや必須になる
現在、AR・MRを体験できるデバイスは、Meta(旧Facebook)・Google・Microsoft・Appleなど、web2.0時代の超有名企業も様々な物を開発中です。
ドンドン開発技術が向上して、高性能化・低価格化・小型化が進み、一般普及していくでしょう。
いずれは、メガネやコンタクトレンズに搭載されるのがスタンダードになるでしょう。
すると、
多くの企業がマーケティングに活用していき、AR・MR上でのコンテンツが多種多様になっていき、巨大市場となります。
とても大きな将来性があり、メタバースと同様に巨大市場になっていくでしょう。
地方創生に活用するための準備をしておくのは、とても有望です。
AR・MRとメタバースを地方創生に活用するデメリット
必要な資金がデカい
メタバースだけでなく、AR・MRも開発するとなると、それだけ用意すべき予算が大きくなります。
また、開発期間も長くなりやすく、多くの人の協力も必要になります。
その予算を集める手段として、NFT販売やクラウドファンディングをすることも可能です
(後述します。)
一部の人しか使っていない
AR・MRは、まだまだ多くの人が理解していませんし、デバイスも高価です。
一般普及は、しばらく先の話になりそうです。
なので、現時点では地方創生に活用しても、成果は出にくいかもしれません。
「AR・MR×メタバース」地方創生の戦略
現実世界をメインとするAR・MRと、仮想世界をメインとするメタバースをリンクさせることにより、地方創生戦略の幅が広がります。
これから、実在する都市や観光地のメタバース化は進みます。
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さらに、
「観光地メタバース➡リアル世界の観光地でAR・MRを体感」という、双方の特色を活かした戦略も可能になります。
つまり、
- メタバース➡現地のAR・MR
…という順序で、誘導するのです。
無料で体験できる観光地メタバースで、興味を持ってくれた人を現地へ誘導するための手段として、AR・MRの活用が有効なのです。
双方をリンクさせて、ユーザーに さらに多い時間、そのコンテンツに没頭してもらうのです。
⬇そのための戦略を、考察していきます。
マンガ・アニメ・小説の聖地で名シーンを再現
その地域が聖地(作品の舞台)となったマンガ・アニメ・小説などがあるなら、メタバース・AR・MRでコラボすることも可能です。
現地でAR・MRを観ると、名シーンを再現した3D映像が流れる・・・という風にすれば、ファンが現地へ きてくれやすくなります。
メタバースで、CMを流して聖地巡礼マップ(のURLなど)を無料配布するなど実施すればよいです。
そして、AR・MRデバイスで聖地巡礼マップを見ることができるようにするのです。
それぞれで得たアイテムを相互利用
メタバースで得たアイテムをAR・MRでも使用可能であると同時に、AR・MRで得たアイテムをメタバースでも利用可能にします。
アイテムは、メタバース・AR・MRに おいて使用可能な、
- 隠しコンテンツを見れる権利
- ファッションアイテム(伝統工芸品・聖地となった作品のコスプレ衣装など)
…などを用意して、NFT化しても良いです。
※「NFTってなに?」って人も多いので、NFTが一般普及するまでは、運営サイドがウォレットなどを用意して、中央集権的に管理する方が集客しやすいかもしれません。
現地でのみ購入可能なNFT
「現地に行かないと、購入できないNFT」を販売します。
⬇すでに前例があります。
所有者には、AR・MR・メタバースで隠しコンテンツを見れる権利を付加します。
また、現地の店舗などで優待を受けれるようにしても良いでしょう。
また、転売されるたびに あらかじめ設定したロイヤリティが運営に入り利益となります。
広告枠を販売(音響透かし など)
メタバースでの広告枠を販売するのはもちろんですが、同時に屋外で「音響透かし」技術を使ってAR・MRに広告を表示させることも可能になるでしょう。
音響透かし技術を仕込んだ音楽を流すと、スマートグラスを着けている人には広告が表示される…という感じです。
⬇音響透かしは、NFT業界でもすでに活用されています。
また、さらに技術が進めば、より広域で無音の「電波透かし」なども実用化されて、AR・MRデバイスの普及とともに、AR・MR広告も一般化していくでしょう。
その広告枠を販売すれば、利益になります。
ユーザーの性別・年齢・趣味嗜好ごとに広告をカスタマイズして、個別表示することも可能になるでしょう。
スタンプラリー(QRコード、GPSなど)
AR・MRとメタバースで連動したスタンプラリーが可能になります。
パラリアル(実在都市のメタバース)と、現実世界の都市でのAR・MRにまたがるスタンプラリーをして、クリア報酬としてNFTなどをプレゼントしてもよいでしょう。
チェックポイント通過の確認には、
- GPSで判定
- QRコードを撮影
- 音響透かし
…など、複数の手段があります。
また、ヒントをもとに推理して目的地を探す宝探しゲーム要素を加えても良いかもしれません。
(人によっては面倒くさがるリスクもあるが。)
ご当地キャラやVTuberがガイド
その地域の情報を発信するご当地キャラ・ご当地アイドル・ご当地VTuberが、AR・MRで観光地のガイドをする映像を再生・・・というのは、有望です。
実際に現地でしか体験できないコンテンツがあるなら、ファンは現地へ訪問してくれやすくなります。
特に、ご当地VTuberは、県や市が運営したり、観光大使に任命したりという前例は多く存在します。
⬇個人運営のVTuber春日部つくし さんが、埼玉県の観光大使に任命される事例は、大きな注目を集めました。
もし、春日部つくし さんが、AR・MRで観光地を案内してくれる・・・となれば、春日部つくし さんのファンを、現地へ集客が期待できます。
⬇埼玉県の観光地・地下神殿などを春日部つくし さんにガイドしてもらえたら、ファンは嬉しいでしょう。
また、AIを搭載したキャラクターが、リアルタイムで受け答えしても良いでしょう。
NFT販売やクラウドファンディングとの連携もしやすい
戦略を実行するには、とうぜん資金が必要になります。
⬇その資金調達をするにも、メタバース・AR・MRと相性の良い手段があります。
…などで発行したNFTなどの所有者に、
メタバース および 現地でのAR・MR使用での隠しコンテンツ閲覧権利や、現地での優待を用意すればよいのです。
未来予測
「AR・MR×メタバース」は、あらゆる市場との融合が可能
AR・MRとメタバースをリンクさせることは、ユーザーのマインドシェア(消費者の脳内での特定のブランドの占有率)を得るうえで、重要になってくるでしょう。
ユーザーから より多くの時間と意識を自社コンテンツに使ってもらえれば、多くの収益につながります。
「AR・MR×メタバース」は、あらゆる業界との融合が可能です。
今回、「地方創生」にフォーカスしましたが、地方創生以外にも、AR・MR×メタバースを使った戦略は可能です。
好例として、またまたVTuber界を上げてみます。
ホロライブという世界最大のVTuber事務所があります。
⬇そして、メタバースを製作中なのです。
VTuberのメタバースも、AR・MRとリンクさせることにより戦略の幅が圧倒的に広がります。
屋内でメタバース、屋外でAR・MR…という感じで、常にホロライブのコンテンツを楽しむことができるわけですから、より多くの時間 ホロライブを意識している状態になります。
無料もしくは安価で高クオリティな娯楽があふれかえる現代では、あらゆる娯楽コンテンツが熾烈な「時間の奪い合い」を繰り広げています。
広義的には、「すべての娯楽コンテンツがライバル」といえます。
なので、その時間の奪い合いに勝つために、メタバース・AR・MRでより多くの時間を自社のコンテンツに使ってもらう戦略が必要なのです。
メタバース業界には、娯楽コンテンツを制作する企業が次々と参入しています。
そして、メタバース制作が一区切りついたら、AR・MRとリンクさせる戦略が実行されていくでしょう。
AR・MRは日常生活・仕事で必需品になる
AR・MR技術は、いずれ確実に一般普及するでしょう。
理由は、仕事・日常生活で明らかに利便性が増すからです。
従来と同じようなコンタクトレンズやメガネをつければ、ありとあらゆるものに情報が付加されます。
仕事をするときも、毎回 間違わないように重要な情報が表示されますし、作業中に間違っている箇所を教えてくれるようになります。
(その前に、AIに仕事自体を奪われるかもしれんが…。)
また、スマホをいちいち取り出して検索するまでもなく、街を歩けば自分に必要な情報が飛び込んでくるようになります。
飲食街を歩けば 他の人のレビューが表示され、書店に行けば 視界に入った本の中から 自分の興味がありそうな本がピックアップされて レビューや値段などが自動表示されるでしょう。
【メタバースの多様化】「XR」すべてに同期性を付加
XR(クロスリアリティ)とは、
- VR(仮想現実)
- AR(拡張現実)
- MR(複合現実)
…の総称です。
一般的にメタバースと呼ばれているモノは、VRに「同期性」を付加したものになります。
そして、いずれはXRすべてに同期性が加わり、メタバースが多様化するでしょう。
- VRメタバース(一般的にイメージされるメタバース)
- ARメタバース
- MRメタバース
…という感じになるでしょう。
そして、XRの同期性自体も統合されていき、XRすべてのリアルタイム連動も実現するでしょう。
例えば、
VRメタバースにいる人と、AR・MRメタバースにいる人が、それぞれを認識して、リアルタイムでコミュニケーションができるようになります。
(もちろん、AR・MRにいる人は、現実世界の人や車にぶつからないように注意。)
アカウントも統一され、1つのアバターをAR・MR・VRの各メタバースでの共通使用が可能になるかもしれません。
地方創生に活用する場合は、
パラリアル(実在都市VRメタバース)にいる人と、現実の都市でAR・MRを使っている人が、リアルタイムで会話できるようになります。
コロナにより観光客は激減しましたが、新しいコミュニケーションを可能にするXRテクノロジーは飛躍的に発展しました。
そして、
このXRテクノロジーの波に乗り、地方創生に上手く取り入れることができるか否かが、観光地の「栄えるor衰退する」に直結するのです。
良くも悪くも激変していく現代を「チャンス」と認識するか「ピンチ」と認識するかで、その地方の未来は大きく変わります。
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