トークン発行型クラファン(NFT・ガバナンス)で可能な運営戦略

NFT

NF亭ショウタです。

「2種類のトークン」をリターン(返礼品)にするクラウドファンディングがあります。

この特徴により、従来型のクラファンとは戦略が、まったく異なってきます。

 

この記事では、

  • トークン発行型クラウドファンディング全体像
  • メリット・デメリット
  • 可能な戦略 と 未来予測

…について、解説していきます。

トークン発行型クラウドファンディング「FiNANCiE」とは

概要

「FiNANCiE」は、ブロックチェーン技術を活用した”トークン発行型クラウドファンディング”です。

以下の特徴があります。

  • 2種類のトークンを発行(支援者へのリターン)
  • トークン保有者限定のコミュニティ活動で、プロジェクト参加・協力、トークン保有量に応じた投票などのガバナンス、
  • 古参 優先のユーザー体験

1つずつ、解説していきます。

2種類のトークンを発行(支援者へのリターン)

下記の2種類のトークンが支援者へのリターンとして発行されます。

  • トークン:所有量が多いほど、より多くのメリット得る権利がある
  • コレクションカード:画像・音声・動画などのデータ

…と、公式のNOTEで解説されています。

 

別の言い方をすると、

「トークン=ガバナンストークン+保有量に比例する特典」
「コレクションカード=NFTアート」

…という感じですね。

 

また、それぞれのトークンの発行量の上限は、あらかじめ決まっています。

追加トークンが販売されることもあります。

2種類のコミュニティ

トークン所有者は、下記の2種類のコミュニティに参加・活動することが可能です。

 

  • トークン発行型コミュニティ

プロジェクト参加者のコミュニティとしての性質が強いです。

トークンによる投票で運営の方法を決定するなど、「一部をDAO化」したコミュニティと言い表すこともできます。

他にも、いろんな活用法がありそうです。

 

※補足:DAO(分散型自律組織)というシステムの解説は、こちら。

DAOとは?ブロックチェーン・仮想通貨との関係をわかりやすく解説
「DAOってなに?どんな構造なの?」…という疑問がある人は多いです。 ブロックチェーン技術を活かした組織形態ですが、理解している人は極少数です。現在進行系で開発中のDAOの動向の実例をまじえて、多角的な視点から解説。

 

  • コレクションカード発行型コミュニティ

プロジェクト応援者のコミュニティとしての性質が強いです。

コレクションカード所有者が参加できるコミュニティであり、意見や欲しいカードをリクエストしたりできます。

また、新しいコレクションカードも定期的に発売されます。

コレクションの楽しさと、支援が両立できるシステムです。

 

これらの2種類のコミュニティは、”参加する楽しさ”を体験することができるのです。

チャットコミュニティを標準装備

チャットコミュニティでは、プロジェクトに関する連絡やトークン所有者同士の交流などが可能になります。

従来なら、

わざわざDiscordなどへの誘導して参加してもらうことが必須でしたが、フィナンシェ内でコミュニティを運営できるので、利便性が高いです。

 

また、トークン所有者限定のコンテンツなども、チャットコミュニティで閲覧可能です。

従来のクラウドファンディングとの違い

  • 株券要素

従来のクラファンでのリターンは、”既存ファン”向けのコンテンツを配布することが通例でした。

しかし、フィナンシェでリターンにできるトークンは株券としての性質を持ちます。

したがって、投資の対象になります。

 

  • コミュニティ性

従来のクラファンでは、支援者限定のコミュニティを運営するシステムはありませんでした。

(僕の知る限り)

 

しかし、フィナンシェではコミュニティ機能が標準でついていますし、支援者限定のコンテンツ配布もできます。

クラファンサイトにコミュニティ性をプラスすることにより、支援者(トークン所有者)への優待がスムーズになります。

具体事例

VTuber:琴吹ゆめ

琴吹ゆめ さんは、2018年より活動しているVTuberです。

YouTubeだけでなく、tiktokやインスタグラムや中国動画サイトbilibiliでも活動しています。

3つの企業に同時に所属する(㈱KOUEN㈱vivito㈱オールブルー)という とても珍しいVTuberです。

 

 

そして、新アバターやオリジナル曲の制作資金を得るため、フィナンシェを活用しています。

⬇支援者には、所有トークン量に応じて、様々な特典が配布されています。

詳細ページ(クラファン終了後はページが閲覧不可になるためPDF)

キャラクターの合成音声サービス:蓮鬼ねむ

 

蓮鬼ねむ さんは、音声合成サービス コエステのオリジナルキャラクターです。

⬇トークン発行型クラファンで実施されるプロジェクトのロードマップ図

 

支援者には、

  • 音声合成のサービスの利用ライセンス
  • NFTアート(計6種類、限定ボイスや、蓮鬼ねむ 初期デザインデータなども付加)
  • アクリルスタンド

…などの特典が配布されています。

 

プロジェクトが順調に進めば、VTuber化される可能性も高いでしょう。

多くのプロスポーツチーム

フィナンシェでは、多くのプロスポーツチーム(特に球技系)が支援を募っているのが印象的です。

また、興味深い事例としては、キャプテン翼の作者が代表をつとめるサッカーチーム南葛SCも支援金を募った事例もあります。

支援者には、

  • 選手サイン入り試合球
  • 選手サイン入りブロマイド

…などの特典が配布されています。

詳細ページ(クラファン終了後はページが閲覧不可になるためPDF)

メリット

投資家へのアプローチ

従来のクラファンでは、”既存ファン”しか集まりませんでした。

支援金へのリターンが、限定グッズなどだからです。

 

しかしNFTは、コレクターグッズの性質だけでなく、”株券”の性質も持っています。

つまり、そのNFTの価値が上がった場合の売却益を期待しての投資家からの支援もあるのです。

  • 既存ファン
  • 投資家

…この両方にアプローチできるのは、大きなメリットと言えます。

有識者が集まりやすい

ファンであっても 投資家であっても、NFTクラファンに支援する人は、自分が強い興味があるジャンルで活動する人を選びやすい…と思われます。

 

必然的にそのジャンルに詳しい有識者が多く集まります。

すると、コミュニティでも多彩なアイデアが出やすくなるでしょう。

pixivFANBOXに比べて、サブスクでないので気軽に払ってもらいやすい

サブスク型支援サービス pixivFANBOXがあります。

これは、好きなクリエイターなどを継続課金で支援して、リターンを受け取れるサービスです。

しかし、サブスク型なので「継続課金が前提」となっており、ハードルが高いです。

 

ですが、

トークン発行型クラファン(従来のクラファンにもいえるが)は、「一回限りの支援」なので、ハードルが低く、支援を決断しやすいメリットがあるのです。

つまり、

「支援したいけど、継続課金はイヤだな・・・」という人をトークン発行型クラファンに誘導すれば、一回限りの支援をされるチャンスがあるのです。

デメリット

「NFTってなに?」という既存ファンが大半

世間一般では、NFTというものを理解している人は少ないです。

そして、「NFTを買う」という経験がある人は、さらに少ないのです。

 

つまり、

すでに活動しており既存ファンが大勢いる場合、NFTクラファンを使っても

「NFTってなに?」
「支援したいけど、ウォレットとか用意しなきゃいけないの?」
「あーもう、メンドクサ!」

…と言った具合に、熱量が高い既存ファンであっても、「NFTを理解・購入するハードル」を超えるのは、かなり大変なのです。

 

従来型のクラファンなら支援してくれた既存ファンであっても、

トークン発行型クラファンの場合は「支援したくてもできない・・・」ということも、とうぜん起こり得るでしょう。

従来のクラファンのように一回きりでなく、特典を提供し続ける

従来のクラファンでは、特典は一回きりの提供です。

しかし、トークン型クラファンでは、トークン所有者への特典を継続的に提供します。

(そうしないと、トークンの価値が下がるリスクが高まる)

 

これは、かなり手間がかかります。

特に、ネット上で完結するコンテンツではなく、物理的な商品を特典とする場合、後々 キツくなるかもしれません。

pixivFANBOXに比べて、利益率が下がりやすい?

販売時の利益の後は入りますが、その後の利益は入りません。

転売時のロイヤリティも無いと思われます。(記載がないため)

 

つまり、前述したサブスク型で支援金が入ってくるpixivFANBOXに比べると、利益率は下がってしまいやすいです。

トークン投票で、”良いアイデア”よりも”理解しやすいアイデア”が採用されやすい

前述した「有識者が集まりやすい」というメリットはありますが、

  • 何を重視するかで意見は変わる
  • ジャンルに強い興味があっても、考えが短絡的な人もいる

…という要因で、考えを1つにまとめるのは困難です。

 

その困難を省略するためにトークン投票が行われるのですが、その際に「誰でも理解しやすいアイデア」が採用されやすいです。

アイデアの有益性を理解させるために、高度な理論を使い長文で解説する・・・となると、多くの人が読み疲れを起こしかねません。

 

それよりも、短文で説明できてキャッチーなアイデアのほうが採用される可能性が高くなるでしょう。

プロジェクト全体の成功よりも、「短期的に結果(成功or失敗)が出る、面白そうな施策」が優先されやすいかもしれません。

 

なので、プロジェクトのリーダーは、大局的・長期的な視点で俯瞰して、コミュニティで統率を取ることが必須となるでしょう。

可能な戦略

アニメ・ゲームなど娯楽コンテンツの資金調達

アニメやゲーム制作にかかる資金を、個人でも調達できます。

webで無料公開して人気を博している小説・マンガを原作としたアニメ化を制作したい場合など、資金調達がしやすくなるのです。

 

トークン所有者へのリターンとして、企画書データや絵コンテNFTなどを特典にすれば、良いでしょう。

(トークンを所有するマーケター向けに「マーケティング施策の詳細と、実行結果のデータ」などを用意するのも、1つのアイデアです。)

 

原作となるコンテンツの知名度や人気があれば、資金調達できるので、個人制作の娯楽コンテンツの活性化につながるでしょう。

メタバースで優待NFT

メタバース制作の資金調達する場合、完成したメタバースでの優待・特典を受けられる権利をNFT化しても良いです。

NFTとメタバースは相性が良いので、メタバース開発のためのクラファンは増え続けるでしょう。

そして、これから開発されるメタバースでの優待権利をNFT化して、リターンにしておくことができます。

メタバースでの広告枠をリターンにする

メタバースでの広告枠の権利のNFTをリターンとしても良いです。

有望なメタバースなら、広告枠を欲しい企業も先行投資として支援してくれやすいでしょう。

オンラインサロン化

インフルエンサーがオンラインサロンを立ち上げる際などに、トークン発行型クラファンは適しています。

(フィナンシェ内で資金調達・コミュニティ運営することが可能なので。)

 

特に、「特定の分野を研究する」などの目的の場合は、研究資金は必須となります。

なので、プロジェクトの理念・目標などを表明して賛同者にトークンを買ってもらえば、資金が集まります。

また、アイデアを募って、トークン所有者からの投票で採否を決定しても良いでしょう。

 

ただ、注意点としては、

「トークン発行数に上限≒オンラインサロン参加者数に上限」

というポイントです。

 

したがって、多くの人を集める必要のあるオンラインサロンには不向きであり、

強くコミットしてくれる少数の人を集めるような「狭く深く」のオンラインサロンに適しているでしょう。

海外へのアプローチ

アニメやマンガやVTuberなど、日本の娯楽コンテンツは世界から高い人気があります。

したがって、日本の娯楽コンテンツを創るためのクラファンも、世界から支援金を集めることができます。

 

メタバースに同時翻訳機能が搭載されるようになれば、前述したメタバース開発資金を集める場合も、かなり実行しやすくなるでしょう。

未来予測

全世界から支援を募れるクラファン

トークン(NFT・ガバナンストークン)の活用は、全世界で広まっています。

つまり、トークン発行型クラファンも言語の壁を超えて、全世界の人にアプローチしていける可能性があるのです。

 

  1. 普段の情報発信で、(可能ならば)外国語の字幕などで、日本語と外国語 両方に伝える
  2. トークン発行型クラファンを告知
  3. トークン発行型クラファン詳細ページで、日本語&外国語 両方で解説

…をすれば、全世界の人が支援者になってくれる可能性があります。

(トークン発行型クラファンのサイトが、言語切り替え機能を搭載してほしい。)

 

また、仮想通貨・海外通貨での決済に対応できるシステムになれば、さらに広がるでしょう。

「VTuberのメタバース」の資金調達に使われる?

VTuberはメタバースとの相性が非常に良いです。

(⬇理由を解説)

メタバースは「VTuber・仮想通貨・NFT」で形成されていく
Facebook社が社名を「meta」に変更するなど、大企業がメタバース事業をはじめる事例が相次いでいます。事業をはじめる理由は、経済圏での活動で利益を得るためです。メタバースによって生まれる経済圏を構成する「人・お金・所有権」を解説。

 

なので、VTuber界では、メタバース開発をはじめる事例も増えつつあります。

⬇具体事例

世界最大VTuber事務所メタバース創造!通貨&NFTを発行?
「VTuber×メタバース」という化学反応が起こっています。世界最大VTuber事務所が、爆発的に注目を集めているメタバース業界に参入しようとしてます。この記事ではVTuberメタバースを網羅的に解説した上で、今後の展開を考察します。
バーチャル首里城!「メタバース観光➡リアル観光」の新しい判断基準
沖縄県の首里城をメタバース化した「バーチャル首里城」が公開されています。これからは、観光地のマーケティングとして、メタバース運営が定番戦略となるでしょう。観光地のメタバース化における「メリット・デメリット」「可能な戦略」「未来予測」を解説。

 

⬇そして、VTuberメタバース開発の資金調達に、従来型のクラファンが使われた事例もあります。

メタバース地方創生!バーチャルOKINAWA×ご当地VTuber
仮想世界メタバースは、現実世界の地方創生も可能です。また、特定の地方の魅力を発信するご当地VTuberと呼ばれる人たちがいます。これからは、自治体が公認して”メタバース”と”ご当地VTuber”を運営していく事例も出てくるでしょう。

(VTuberの特性上、リターンもネットで完結しやすいし、デジタルコンテンツなので一個作れば 何千人にでも配布できるという大きなメリットがあります。)

 

⬇また、従来型クラファンでNFTがリターンになった事例もあります。

詳細ページ

 

VTuber界では、多言語による世界展開が合理的戦略とされているので、

(前述した)トークン発行型クラファンで全世界の人にアプローチ可能な特性と融合しやすいでしょう。

つまり、「VTuberのメタバース」の資金調達の手段として使われていく可能性が高いのです。

 

クラファン自体、プロジェクト内容を明確に打ち出すので、共感してくれる人が世界中から集まります。

メタバースもVTuberも、世界共通の文化となっていく可能性が高いですし、それぞれの相性も良いです。

つまり、

「メタバース+VTuber」の将来性×トークン(NFT・ガバナンストークン)発行型クラファンの利便性

…は、強力な相乗効果を生むのです。

web3.0時代が本格到来につれて、定番戦略となっていくでしょう。

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