NF亭ショウタです。
従来の組織形態と全く異なる「DAO」によるVTuberプロジェクトは、複数存在します。
ですが、それらは”完全なDAO”ではなく、”一部DAO化”というべき内容です。
しかし今回、「完全なDAO×VTuber」のモデルケースとなりそうなプロジェクトが発表されました。
この記事では
- 「VTuber界×完全なDAO」とは?
- メリット デメリット・可能な運営戦略
- 未来予測:「事務所=中央集権的・各VTuber=それぞれに完全なDAO」
…を解説していきます。
VTuber界へのDAOの活用
VTuber界は、すでに超巨大な市場となっており、これからのさらなる発展も予測されています。
世界のVtuberの市場規模は、
2021年の16億3,900万米ドル(約2,227億円)から、
2028年には174億米ドル(約2兆3,517億円)に達すると予測され、2022年から2028年の間に35.55%のCAGRで推移すると考えられています。
とうぜん、新しくVTuber運営を始めたい企業・個人も多数存在するでしょう。
大きなビジネスチャンスでもありますし、VTuber運営自体を楽しみたいという人もいます。
そのときに、DAOを活用することにより、資金・識者の知見 などを集めやすくなり、新規事業を始めやすくなります。
そして、複数のアイデアが出た場合は、投票により採用されるアイデアが決定されるのです。
⬇DAOのシステムの解説記事
⬇VTuber運営にDAOを活用した事例
VTuber×完全なDAO
(前項で記事リンクを貼った)VTuber運営にDAOを活用した事例は、完全なDAOではなく 部分的にDAOのシステムを取り入れた”一部DAO化”といえます。
運営戦略すべてがDAOで決まるのではなく、
従来のように中央集権的な運営企業が考えた戦略の範疇内で「投票で決めてもらおう!」と、投票にかけられた内容に限定されます。
(つまり、DAOメンバーにアンケートとって多数決で決めるのです。)
しかし、VTuber運営が完全なDAOで行われるであろうプロジェクトが発表されました。
これは、貴重な先行事例なので解説していきます。
(※「完全なDAO」が「一部DAO化」より優れている…というわけではありません。
すでに軌道に乗っているプロジェクトの場合は、途中から完全なDAOにすると全体の統率がとれなくなり、それまでの運営方針とズレが生じてしまうリスクが大きすぎるので、一部DAO化の方が適しています。)
「完全なDAO×VTuber運営」事例
完全なDAOになる可能性が高いのが、「VTuberDAO」です。
創設したのは、SNSマーケティング・NFT事業などを行う株式会社PINESです。
VTuberDAOは、活動するVTuberごとにNFTを1000枚限定で発行、それがDAOにおける投票権(ガバナンストークン)となります。
各メンバーごとに1000枚限定で発行されるNFTは、その後の追加発行はない…と明言されています。
NFT保有者は、”投票権”をはじめとして、”運営業務への参加権”や”限定コンテンツ視聴権”など、各種保有特典が与えられます。
(※しかし、NFT1000枚限定というのが、
- 投票権となるNFT(ガバナンストークン)を1000枚限定発行。
その他のNFTは、全く発行されない - 投票権となるNFT(ガバナンストークン)を1000枚限定発行。
別に、ファンアイテムとなるNFTアートは発行される
…のいずれなのかは、現状断定できません。)
投票権となる1000枚限定NFTの内訳
⬇1000枚限定NFTの内訳
- 700枚が販売➡利益が創設メンバー
- 100枚➡VTuber活動者(現在、オーディション中)
- 100枚➡マーケティング・イベント配布用
- 100枚➡チームメンバー
この内、100枚を分け合う「チームメンバー」とは、
具体的には
- VtuberDAOの運営メンバー(創設メンバー?)
- マネージャー
- 有志で業務に携わるメンバー
…となっています。
この内、運営メンバー(創設メンバー?)は、
- 700枚売り上げ
- 100枚の内 数十枚(?)
…を手にします。
700枚の売り上げは、VTuberの運営資金に充てられるでしょう。
すると、純利益となるのは、”数十枚のNFTの売却益”と思われます。
VTuberごとに完全なDAOが独立運営される?
この1000枚限定発行のNFTというのは、”宇佐美ここさんを運営していくDAO”のガバナンストークンとなるNFTを意味します。
つまり、もう一人のVTuber”雨宮スイさんを運営していくDAO”のNFTも、別途1000枚限定発行されます。
雨宮スイさんのDAOのガバナンストークンとなるNFTは、総発行枚数1000枚中400枚が販売されます。
そして、300枚は運営・チーム・VTuber活動者に配布されます。
残りの300枚は第二弾セールを実施する場合に追加発行されますが、初回セールで資金調達できた場合、第二弾セールは実施されません。
(※その場合、NFTは700枚のみ発行…となる。)
もちろん、VTuberDAOからさらに新しくVTuberが生まれるかもしれません。
その場合は、別途そのVTuberを運営していくDAOのNFTが、限定発行されていくでしょう。
つまり、メンバー毎にそれぞれが独立した完全なDAOプロジェクトが運営されていく…といえるでしょう。
マネタイズ方法
VTuberDAOは複数のマネタイズの手段を用意しています。
上記画像の「新規VTuberプロデュース・運営業務DAO化(の権利のNFT販売)」については、すでに解説しました。
加えて、
- 既存VTuberのNFT販売支援
- VTuber運営のコンサル
- 企業案件
…などが予定されています。
そして、特筆すべきは「AI VTuberの開発」という項目です。
AI VTuberは飛躍的な進化を遂げており、大きな注目を浴びています。
⬇関連記事
なので、AI VTuber開発もDAOで行われるのは、とても興味深い試みと言えるでしょう。
すでに、NFTシリーズ「如月」とのコラボが決定しており、如月のNFTのキャラクターがVTuberDAOからAI VTuberデビューする予定です。
「AI VTuber×DAO」の先行事例として注目を集めることができれば、大きな利益につながりやすいでしょう。
また、VTuber活動自体が、収益化に成功した場合は、
- 50%=運営資金・ガバナンストークン保有者への還元
- 50%=VTuber活動者への報酬
…という配分になる予定とのことです。
「完全なDAO×VTuber」メリット
格段に少ない資金で始められる
従来の組織形態では、運営開始に必要な資金を自前で調達する必要がありました。
しかし、
DAOなら、ガバナンストークン販売益を資金に充てれるので、自前で用意する初期費用はかなり低く済みます。
特に、ある程度知名度がある企業・人物が始めるなら、投資家からの出資がされやすいので、より資金が集まりやすくなります。
圧倒的な”集合知”
VTuberをDAOで運営するならば、とうぜんVTuberに詳しい人が多人数 集まります。
知識欲求が強く幅広い知識を持つ人も集まると思われるので、アイデアの幅も広がります。
それぞれの知識・知見が合わされば、圧倒的な集合知となります。
圧倒的な集合知を元に、運営戦略を考えることができるので、一人で考えるよりも多角的な視点で運営していくことができます。
また、海外からの参加者も来てくれやすいので、海外の国におけるVTuber市場の状況などの情報も集まりやすく、世界中からの集合知が形成されやすくなります。
DAOという組織形態を理解していること自体、情報感度が高いことを示します。
つまり、VTuberのDAOに参加している人は、「情報感度が高く、VTuberに詳しい人」といえます。
情報感度が高い人は、常に情報収集をしているので、DAOにおいて集合知の質を上げてくれます。
また、完全匿名で参加できるので、名前や立場を隠したい人も、参加してくれやすいです。
人気が上がってきたら、士気が高まる
VTuberの人気が上がれば、ガバナンストークンの市場価値も上がります。
結果、DAOメンバーの士気・結束力も上がり、より活発に意見が交わされるようになります。
より綿密なリサーチも行われて、VTuberの運営戦略のクオリティも上がっていくでしょう。
言語の壁が格段に低くなる
DAOでは、Discordなどで意思疎通が行われます。
そして、翻訳機能を使えば、外国人のメンバーとも意思疎通が可能です。
言語の壁にとらわれず、より多くの人材が世界中から集まりやすくなります。
利益を受け取るタイミングが自由
DAOのガバナンストークンは、発行上限枚数が明確に定められている場合が多いです。
なので、VTuber運営が軌道に乗ってガバナンストークンの市場価格が上がっていけば、それを売却することで利益となります。
つまり、
ガバナンストークン保有者は(DAO創設メンバー・その後に参加したメンバー問わず)好きなタイミングで好きなだけ売却して利益を得ることができます。
「完全なDAO×VTuber」デメリット
創設者の知名度が低いと、売れにくい
DAOを創設するにあたり、それをする企業・人物の知名度・影響力が乏しいと、ガバナンストークンが売れにくく、初期の資金が集まりにくくなってしまいます。
運営初期にかけられる資金が少ないと、運営戦略の選択肢も狭まってしまうデメリットとなるのです。
「お金を払う価値がある」と思ってもらうハードル
VTuber運営を始めるにあたり、まず活動のコンセプトを決めることが必須です。
需要に対して供給が少ないコンセプトにすれば、差別化になります。
結果、そのVTuberの人気が出やすくなります。
しかし、DAOの場合は、ガバナンストークン購入にお金を払ってもらうことが必須となります。
VTuber視聴者層から需要があり、供給(ライバルとなる他のVTuber)が少ない活動コンセプトを見つけたとしても、無料なので視聴してもらえるのであって、
DAOのガバナンストークンを購入してもらうためには、それを説明して 「お金を払う価値がある」 と理解してもらうハードルを超えなければなりません。
事務所全体のコンセプトが、ブレやすい恐れ
DAOは、(前述したとおり)知恵・経験を持つ多くの人材が集まり、アイデアが生まれるメリットがありますが、
同時に、それぞれの思惑・目指す方向性のズレが生まれるリスクもあります。
個人個人がやりたいアイデアを持ち寄るので、「単体ではよいアイデア」であっても、全体で見たらアイデアの方向性がバラバラ…になるリスクもあるのです。
”短期目線”VS”長期目線”による意見のズレ
DAOは、様々な人間が それぞれバラバラのタイミングで参加してきます。
なので、
- 長期的にVTuberを育てていきたいDAOメンバー
- 短期的にガバナンストークンの市場価値を上げる施策をして、売却して利益を得たいDAOメンバー
…などもいるでしょう。
そこで運営戦略のアイデアの方向性のズレが生じてしまうリスクがあるのです。
すでに軌道に乗っているVTuberの場合、取り入れるメリットが少ない
新しいVTuber運営においては、DAOは有用です。
しかし、すでに運営されており、軌道に乗っているVTuberなら、DAO化しても運営戦略がブレていくデメリットの方が大きいです。
なので、既存VTuberがDAOを取り入れる場合は、”部分的にDAO化”が適しているでしょう。
投機商品としての価値を強調➡「情」が介在しにくい
DAOは、ざっくり大別すると、下記の2つの価値があると考えます。
- 機能的価値➡投機商品として有望
- 感情的価値➡一丸となって1つの目標に取り組む・志を共有
この内「1.投機商品として有望」を強調してガバナンストークンを販売した場合、売却益を得ることを最重視した人間が集まりやすくなります。
VTuber活動者やDAO全体への「情」が介在せず、”金銭的なメリットだけ”を目的としたメンバーが多くなってしまいます。
つまり、自分の利益のみを追求して行動してしまう人が多くなるのです。
なので、「2.一丸となって1つの目標に取り組む・志を共有」を強調することが重要となります。
ブロックチェーン以外での金の流れが不透明
VTuber活動による収入源は
- 広告収入
- スパチャ(投げ銭)
- 企業案件
- グッズ販売
- FANBOX(サブスク支援サイト)
…などでの収益がメインとなります
しかし、これらは法定通貨で支払われます。
とうぜんブロックチェーン上での取引ではないので、誰もが確認できるカタチでの履歴は残りません。
なので、ブロックチェーンの透明性を活かせないのです。
したがって「法定通貨での利益が出たら しっかりとDAOに申告してくれるのか?」という懸念点が生まれます。
つまり「VTuber活動で生まれた利益の◯%をDAOに納める」というルールを決めていても、法定通貨の利益に関しては、不正に着服しやすくなってしまうのです。
誤解を生まないためにも、法定通貨での収益の流れを定期報告して、信用を得るように努めるべきでしょう。
情報が格段に漏れやすくなる・どんな人間が紛れ込むかわからない
DAOでは、完全匿名でプロジェクトに関われるので、どんな人間が紛れ込むかわかりません。
つまり、競合しているライバルがいた場合、情報がいともカンタンに漏れてしまうのです。
また、ライバルが悪質だった場合は、潰しに来るリスクもあります。
- ガバナンストークンを大量に購入・保有
- DAOに悪影響を与えるアイデアを 提案・投票・可決
…という方法で、強引に潰しにかかることができます。
そして、頃合いを見計らって、ガバナンストークンをすべて売却すれば良いのです。
DAOは完全匿名で参加できるので、なりふり構わない潰し方ができてしまうのです。
対策としては、「最初は中央集権的。徐々に完全なDAOに近づける」です。
ガバナンストークンが多くの人にいきわたる(分散性が上がる)までは、DAO創設者が拒否権を持ち、DAOに明らかに有害なアイデアが可決されても拒否できる権利を持つのです。
分散性が上がってから、拒否権を放棄すれば完全なDAOになります。
重要人物が急にいなくなるリスク
例えば、DAOメンバーの一人から
「こんなアイデアを実行したい!
自分は専門スキルがある。任せてくれ!」
…という感じのアイデアが出て、投票で可決されたとします。
しかし、
そのアイデアを実行しても思うような結果が出なかった場合、途中でそのメンバーがとつぜん消えるリスクもあります。
特定のDAOメンバーがいることが前提のアイデアは、そのDAOメンバーが飽きていなくなるリスクを常にはらんでいるのです。
”良いアイデア”よりも”理解しやすいアイデア”が採用されやすい
DAOでは、投票によってアイデアの採否が決定されます。
その際、「良いアイデア」よりも「誰でも理解しやすいアイデア」が採用されてしまうリスクがあります。
つまり、投票の際、
- 長期的視点で、深く考えたアイデア
- 短期的に結果が出そうな、理解しやすいアイデア
…の2つがあった場合、後者が投票されやすいのです。
”長期的視野で深く考えたアイデア”は、
- その背景(市場動向の予測・マーケティング理論 など)
- 本題(アイデアの具体的内容 など)
…を伝える必要があり、難しい長文になりやすく、読むために時間と思考力を使ってくれるメンバーは かなり限られてしまうかもしれません。
対して、
”短期的に結果が出やすく、理解しやすいアイデア”は、短文でカンタンに説明できて、わかりやすい刺激があります。
つまり、「短期的視点で考えた、インパクトの強いキャッチーなアイデア」が採用されやすくなるリスクが あるのです。
落ち目➡ガバナンストークン売却の流れ
VTuberの人気が落ちてきたら、ガバナンストークンの市場価値も落ちます。
その兆候が見えたら、DAIメンバーの一部は売却に向かうでしょう。
さらなる相場価格下落・人員流出につながります。
人員流出すると、集合知によるアイデアの質と量も下がり、VTuber運営戦略のクオリティが下がる悪循環になるリスクがあります。
(※その際は、自社で過半数以上を買い戻し、中央集権的に運営していく…という選択肢もありますが。)
DAOを理解している人自体が 少ない
VTuberは、一般層にもかなり知られてきており、これからのさらなる発展も確実と言えます。
しかし、DAOというシステムは、一般層には ほぼ理解されていません。
なので、「VTuberをDAO運営」といっても、理解できる人・理解しようとする人 は極めて少数になってしまいます。
・・・例外的に、
”すでに有名なVTuber”が、”クラファン形式でDAOを取り入れる” という場合は、多くの資金が集まった事例もあります。
これは、熱量の高い既存ファンが多数おり、クラファン感覚での支援(DAOシステムの理解は不可欠ではない)だったからこその成功といえます。
しかし、
新しく活動開始するVTuberのDAOを運営する場合、よほど創設者の知名度が高いなどの要素が無いと、資金提供してくれる人を十分な数 集めるのは、困難と言えるでしょう。
緊急の意思決定が困難
DAOでは、ガバナンストークン投票で意思決定されます。
なので、緊急の意思決定が必要であっても、投票を実施して投票期日まで待たなければなりません。
つまり、
- 大至急、回避するべきピンチ
- 大至急、手にするべきチャンス
…があった場合でも、それを実行するまでに致命的なタイムラグが生じてしまうかもしれません。
「完全なDAO×VTuber」戦略
特化型VTuberを複数運営
DAOというシステムは、VTuber運営サイドからしたら とても画期的で興味深いですが、視聴者からしたら「よくわからんし、どーでもいい」のです。
どのような運営方法であろうと、DAOであろうとなかろうと、視聴者にとって大切なのは”そのVTuberが発信する内容”です。
そして、現在VTuber界は 国内だけで2万人以上いるといわれる超レッドオーシャンです。
つまり、特定のジャンルに特化しない 幅広い発信内容のVtuberはライバル過多なので、後発は埋もれてしまう確率が非常に高いのです。
(有名事務所に所属・有名企業が運営など、ごく一部の例外はあるが。)
なので、”特定のジャンルに特化したVtuber”であることは、後発にとっては必須条件なのです。
また、
特定ジャンルに特化した運営コンセプトを打ち出したほうが、その特定ジャンルに詳しい人が集まりやすいので、集合知のクオリティも上がりますし、情熱を持って参加してくれやすいでしょう。
そして、DAO運営を軌道に乗せることができたら、そこで得た知見を活かして、次に特化型VTuberを新しくデビューさせてDAO運営していく
…という風に、特化型VTuberを複数DAO運営していくことが可能です。
「事務所」&「各メンバー」を、それぞれ完全なDAO運営
各メンバーは、(「実例」の項の宇佐美ここ さんのように)それぞれ完全なDAOで運営されるようにしつつ、所属事務所の運営も完全なDAOで行うことができます。
- 所属事務所DAO=事務所全体の運営戦略を決める
- 各メンバーのDAO=そのメンバー別個の具体的な戦術を決める
…と、定めることができます。
例えば、”ゲーム発信”をコンセプトにする事務所をDAO運営するなら、
- 次にデビューさせるVTuberは、どのような方向性で行くのか?
(例:格ゲー特化・レトロゲー特化・シューティングゲー特化・カードゲーム特化…など)
…など、事務所全体の大枠の方向性を投票で決めるのです。
そして、個々のメンバーのDAOで、より具体的な戦略を決めるのです。
- 格ゲー特化のVTuberは、どのようなタイトルで配信をすべきか?
(例:ストリートファイター シリーズ・ドラゴンボールファイターズ シリーズ…など)
しかし、最初から完全なDAOにするよりは、
- 「最初は中央集権的。徐々に完全なDAOに近づける」
…という方が、事務所の方向性を最初に決めやすいので理に適っています。
なぜなら、(前述したように)悪意のあるライバルがいたら、ガバナンストークンを大量に保有すれば、明らかに有害な提案でもムリヤリ通しやすくなるデメリットがあるからです。
なので、「事務所」&「各メンバー」それぞれの運営を、
- ある程度プロジェクトが軌道に乗ってから、完全なDAO化(ガバナンストークン販売開始)
- 最初から完全なDAO化(しかし、ガバナンストークン過半数を自社保有or拒否権を持つ。実質 中央集権的。
徐々に売却or拒否権を放棄、非中央集権的にしていく。)
…と上記2択のいずれかを実行して、ガバナンストークンの分散性を上げて(多くの人に行きわたらせて)、徐々に完全なDAOとして健全に機能するようになります。
VTuber文化が普及していない国も狙っていく
NFT市場規模は、日本よりも海外の方が圧倒的に大きいです。
なので、海外の国の中で、”トークン(NFT・仮想通貨)所有率が高い国”を狙っていくのが有望です。
そして、VTuber文化が発展している国はもちろん、VTuber文化が発展していない国も狙っていくのも有効です。
トークンの所有率が高く、VTuber文化が発展していない国は、
DAOにも興味を持ってもらいやすく、ライバルとなるVTuberも極めて少ないブルーオーシャンといえます。
そこで、VTuberという文化を浸透させることができれば、その国において最も有名なVTuberになることも可能です。
もちろん、異国でVTuber文化を広めるのは大変ですし、失敗のリスクもありますが、成功のリターンも大きいのでチャレンジする価値はあるでしょう。
未来予測
Vtuber界がより拡大
ある程度の知名度・信用がある人物・企業なら、DAOで金銭的リスクをかなり抑えてVTuber事業を始められるので、新規参入が容易になります。
なので、初期投資の額が極めて安く済むようになるので、多くの企業が参入してくるでしょう。
VTuber業界に詳しくない企業でも、DAOなら”有識者による集合知”が形成されるので、運営戦略を考える知恵も時間が乏しくても、運営は可能です。
上手く行かなくても、リスクは無い(もしくはとても小さい)ので、参入のハードルが格段に下がります。
なので、他分野で有名な企業によるDAOでのVTuber界参入は、増加していく可能性が高いです。
既存VTuber事務所には「事務所=中央集権的」&「各VTuber=それぞれに完全なDAO」
(※戦略の項で、事務所運営を完全なDAO、
そしてメンバーごとにも完全なDAOプロジェクトにできる…と話しましたが)
- 事務所は、従来の組織のように中央集権的に運営
- 各VTuberは、完全なDAOで運営
…という方法も可能です。
これなら、既存の大手VTuber事務所も参入でき、事務所の影響力を強力に活かせます。
例えば、
有名な事務所において、新しいVTuberをデビューさせるときに、(宇佐美ここ さんのように)完全なDAO形式でNFT(ガバナンストークン)の販売から始めることができます。
- DAOによるVTuberプロジェクト開始の告知
- NFT販売
- VTuberとして活動する人のオーディション開始(投票で選出)
- 正式デビュー
- NFT保有者による意見交換・投票により運営戦略が決定される
…といったDAOの形式は、既存の事務所でも可能です。
(もちろん、同じ事務所に所属する他のVTuberは、従来の運営方式ですることが可能です。)
これで、既存の有名事務所が新しくDAOを導入しやすくなるのです。
具体例をあげます。
「ぶいすぽっ!」というeスポーツ特化のVTuber事務所があります。
そこで、ぶいすぽっ!が本格的にやっていないジャンルに特化したVTuberの運営がしやすくなります。
例えば、スーパーマリオ関連のゲームに特化したVTuberを運営していくDAOプロジェクトなども実行できます。
ぶいすぽっ!の知名度・影響力を活かしつつ、DAO運営が可能になるのです。
そうすれば、スーパーマリオを好きな人・詳しい人達が世界中から興味を持ってくれて、そのVTuberの運営戦略を考えてくれます。
ぶいすぽっ!運営企業としても、新しいコンセプトのVTuberを運営開始するときの資金・思考を大幅にショートカットできるので、とても合理的と言えます。
とうぜん、既存メンバーは、従来の運営方法のままで継続すればよいでしょう。
つまり、1つの事務所の中に「従来型で運営するVTuber」「DAOで運営するVTuber」が共存することが可能なのです。
もし、後から「DAOによる運営戦略を辞めたい」と思ったら、過半数のガバナンストークンを自社で買い戻せば、実質 従来の中央集権的な運営に戻すことができます。
eスポーツはもちろん、「地方創生×VTuber」プロジェクトをDAO運営することも可能になります。
【記事作成中】
特にこれからは AIの発達により、VTuberのアバターなどは極めて安価・もしくは無料で用意することが可能になります。
DAOのガバナンストークン販売で資金調達する目標額を格段に低くしても、VTuberプロジェクト運営が可能になります。
・・・「DAO×VTuber」は、これからの時代の新しい情報発信のカタチとして大きなポテンシャルを秘めているので、様々な目的の元、広がっていくでしょう。
コメント