NF亭ショウタです。
「AI×VTuber」を主眼にしている企業が、新たなNFTプロジェクト「NEN」を開始しました。
このプロジェクトを一言でいうと、
NFT保有者が、AIを基にしたストーリーの世界観を多角的に体験するとともに、その世界観 創りに参加できる…のです。
これは、web3.0時代のマーケティングとして有望な「オムニチャネルの進化版」といえる戦略…と言い表せます。
(※オムニチャネルというものは、この記事内で解説します。)
この記事では、
- NFTプロジェクト「NEN」の全体像
- web3.0型オムニチャネル戦略
- 未来予測:XR融合で「常時」世界観に没頭
…について、解説していきます。
NFTプロジェクト:NEN [Neural Elective N] とは?
NFT保有者と共に、世界観を創り上げる
「NEN」は、AIが登場する1990年代の日本SF作品をオマージュしつつ、世界観を構築していくプロジェクトです。
SFを好きな人たちがNEN のNFTを保有してコミュニティに参加して、世界観を共に創り上げていくのです。
特筆すべきは、NFT保有者3000人が、AIの人格形成に参加できる…というものです。
(詳しくは後述しますが、)NFT保有者の質問解答などが、AIの人格形成に影響を及ぼしたり、AIが登場する世界観を作れるのです。
そして それらは、将来 制作される予定のアニメ化プロジェクトなどに活用されます。
公式サイトなどが英語表記なので、英語圏をメインに狙ったプロジェクトであることが伺えます。
ストーリー
近未来。
AI技術・ブロックチェーン技術の爆発的な発展により、人類とまったく遜色のない人工知能を生み出すことが可能な世界になっていた。
人類とAIが共存共栄していくことにより、世界は大きな前進を遂げていく・・・ハズだった。
しかし、現実では、AIを悪用する人類により、世界は荒廃に向かっていた。
世界の滅亡を阻止すべく、AI「NEN」は、2022年へと渡る。
そして、「NEN」から派生した3000体の個体に言葉を教えることで、未来を変えていくことができる。
3000体の彼女たちは、言葉を通して人の心や文化を体験して、それぞれが独自の成長を遂げる。
彼女たちの進化、ひいては世界の未来は、私たち人類の手にかかっているのだ・・・!
ロードマップ
第1弾セール:Free Mint
第1弾セールは、すでに
- プレセール:2022年7月2日
- パブリックセール:2022年7月3日
…というスケジュールで、Free Mint(無料配布)されました。
NENのコンテンツを創るためのコミュニティを運営
NFT保有者の質問解答やコミュニティ(後述)で生まれたアイデアや思想を元に、NENのアニメ化・ゲーム化・マンガ化などが行われる予定です。
⬇また、Discordなどで、テキストでAIと会話することが可能です。(日本語での会話チャンネルもあります。)
最初のうちは、単純なアルゴリズムでの会話ですが、自分で学習していくAIなので、ドンドン高度な会話が可能になります。
また、DiscordやTwitterを活用して、AIの特性を活かしたイベントなども行われる予定です。
第2弾セール:NFT保有者が優先される
第2弾セールでは、第1弾NFT保有者が優先される設計が予定されています。
また、新しいユーティリティ(権利・活用法)も付加される可能性もあるとのことです。
NENの最新情報は、
…などで通知されていく予定です。
AI VTuber紡ネンの派生プロジェクト
紡ネンさんとは「NEN」運営企業である株式会社Pictoriaが運営する、YouTubeで配信している人工知能VTuberです。
視聴者からのチャットやリプライで学習していきます。
Twitterのリプライや、YouTubeでのライブ配信のコメントを認識して、学習・成長していくのです。
…そして、このAI VTuber紡ネンさんから派生したプロジェクトが、この記事で解説するNENなのです。
NENは、紡ネンさんとは違う世界観で展開されていくようです。
NFT保有のメリット
NENの人格形成の”遺伝子”になる
NFT保有者は、1体のAI「NEN」の人格形成に影響を与えることができます。
具体的には、3000個 無料配布されるNFTには、それぞれに「質問」が用意されており、それに対する「解答」を入力することにより、NENの人格に影響を与えます。
⬇質問解答の入力画面
この解答入力は、二次流通市場でNFT購入した保有者も、上書き可能です。
コミュニティ参加権利
NFT保有者は、NENのプロジェクトを運営するコミュニティへの参加権利があります。
つまり、アニメ・マンガ・ゲーム創りへの参加が可能なのです。
また、保有するNFTのキャラクターのパーソナル情報を編集すれば、そのキャラクターの設定・シナリオを創ることが可能とのことです。
多角的に展開
NENでは、多角的なメディアでプロジェクト展開されていきます。
- メタバース
メタバースや、そこで利用できる3Dモデルなどが作成されます。
また、そこではAIたちが活動する世界になるとのことです。
メタバースを創れば、そこで新たな経済圏を生み出すことができます。
結果、収益化の手段も広がります。
- アニメ化・ゲーム化・マンガ化
コミュニティが盛り上がれば、多角的なコンテンツ制作が実現します。
NENでは、すでにアニメ会社と話を進めており、実現の可能性は高い・・・といえるでしょう。
- 英語でのYouTubeライブ配信
また、プロジェクトが盛り上がれば、YouTubeで英語での配信も行われる予定です。
運営会社であるPictoriaは、
⬇すでにAI VTuberの運営をしているので、その技術と経験を使えば、実現はしやすいでしょう。
1.2億円の資金調達
運営企業である株式会社Pictoriaは、「NEN」プロジェクトの運営資金として、1.2億円の資金調達に成功しています。
– 合計1.2億円の資金調達を実施
– NFT保有者がキャラクターの設定を作り、ブロックチェーン上に記録する仕組みを提供
– シナリオなどのアイデアをNFT保有者から募集し、物語の構築に関与してもらうような仕組みなども取り入れる予定 https://t.co/rZNbl75gAQ— NEN STUDIO (@NEN_Studio) May 31, 2022
(前述のとおり)株式会社Pictoriaは、すでに「AI×VTuber」を運営しています。
それらの経験を活かしたプロジェクトなので、国内外からの期待でこれだけの融資が集まったといえます。
新時代オムニチャネル戦略
オムニチャネルとは?
オムニチャネルとは、「複数のメディアで接点を作り、メディア同士がシームレスにつながり、販売促進を目指す戦略」です。
購入までの経路を意識させない・・・というのも、特徴となっています。
⬇以前は、”リアル店舗”という1つのチャネル(接点・媒体)で購入する経路【シングルチャネル】しかありませんでした。
画像引用:マネケル
しかし、その後は ”リアル店舗”に加えて”ネット店舗”など、複数のチャネルを用意する戦略【マルチチャネル】が生まれ、選択肢が増えました。
その後、複数のチャネルの”管理システム”や”顧客情報”などをチャネルを横断して一元管理する【クロスチャネル】が生まれました。
さらに、
スマホの登場によりネット利用が一般普及して、消費者は複数のメディアを横断して情報収集、購買をするようになりました。
そして、各種SNSなどを併行運用して相互にリンクさせて、統合した世界観を感じれる【オムニチャネル】が誕生したのです。
(クロスチャネルには各チャネルは別個に認識されていたが、対してオムニチャネルは各チャネルを同一の世界観(ブランド)として認識されます。)
新時代型オムニチャネル
NENでは、チャネル(集客・販売する媒体)として
- NFT
- メタバース
…も加わっています。
「NFT保有によるAIの人格形成」と「メタバース空間の創造」という、革新技術を活かしたチャネルであり、それに参加して”共創”する楽しみもあるのです。
可能な戦略:XRオムニチャネル戦略
「XR(クロスリアリティ)」とは、
- VR(仮想現実)
- AR(拡張現実)
- MR(複合現実)
…の総称です。
画像引用:日経ビジネス
現在メタバースと呼ばれるモノは、「同期的な(多人数が同時接続する)VR」といえます。
VRでは、ヘッドセットなどを装着して、完全に仮想世界に没頭するので、”現実世界とは切り離されている”のです。
対して、AR・MRはスマートグラスなどを通して見る”現実世界に情報を付加”することができます。
⬇詳細
AR・MRにも展開
いずれは、NENで育成するAIなども、AR・MRと融合させることができます。
たとえば、スマートグラスを通してみる現実世界に、AIキャラクターが投影されて、一緒に散歩している気分を味わうこともできます。
商店街で美味しそうなお菓子を見つけたら興味津々に反応したり、ノラ猫に駆け寄ったりと、AR・MRデバイスを通した現実世界でAIが行動するのです。
つまり近い将来、
XR(VR・AR・MR)すべてにまたがって同一の世界観を楽しめるようなコンテンツが、作られていくでしょう。
各オムニチャネルから派生NFTを安価で販売
プロジェクトでは、アニメ化・ゲーム化・マンガ化は、すでに視野に入っているとのことです。
また、プロジェクトが順調に進めば、もっと制作コンテンツの幅がさらに広がるかもしれません。
そして、そこから派生NFTを販売することも可能です。
つまり、アニメ化・ゲーム化・マンガ化されたら、それらのキャラクターなどのNFTアートを販売することができるのです。
そして、
- NFT保有者限定 短編アニメ視聴権
- NFT保有者限定 ゲームアイテム使用権
- NFT保有者限定 短編マンガ閲覧権
…などを付加すると、価値が高まります。
また、”メタバース美術館”などを作って、NFTアートを展示販売してもよいでしょう。
すでに、派生NFT戦略をとっているのが、日本のNFTプロジェクトであるCryptoNinjaです。
本家の運営が軌道に乗ってから、派生NFTプロジェクトも運営されているのです。
⬇本家プロジェクト「CryptoNinja」
⬇派生プロジェクト「CryptoNinja Partners」
CryptoNinjaは、本家のNFTが高価で手が出ない人にも購入しやすいように、安価な派生NFTを販売したのです。
すると、より多くの人に、そのCryptoNinjaの世界観を感じてもらうことができるのです。
(もちろん、それらが転売されたら、あらかじめ設定したロイヤリティが利益として運営に入ります。)
⬇CryptoNinjaに関する記事
独自トークン発行
いずれ、NENの世界観がメタバース化されて、コミュニケーションやゲームプレイが可能になったら、そこでの通貨として独自トークン発行を視野に入れても良いでしょう。
そして、ゲームプレイに有益なアイテムや、キャラクターのコスプレができるファッションNFTなどを販売して、それを独自トークンで購入可能にするのです。
また、メタバース運営初期の集客手段として、独自トークンを無料配布するのも有効です。
未来予測:「常時」世界観に没頭させるXRオムニチャネル
「現代人は忙しいから、スキマ時間の奪い合い」などと、よく言われます。
TikTokの流行、最大60秒の動画「YouTube ショート」などの流行からも、より短時間で楽しめるコンテンツが求められているのがわかります。
しかし、スキマ時間の奪い合いよりも、「24時間365日、世界観に没頭させる」戦略の方が、
とうぜん長期的なユーザーになってくれますし、より多くの時間と お金を使ってもらいやすくなります。
「それができないから、短時間コンテンツが量産されてるんだろ!」
…と、思うかもしれません。
まあ、その通りなのですが・・・
AR・MRを体験するためのデバイスは小型化され、すでに普通のメガネと同じように使えるレベルになっていますし、コンタクトレンズも実用化が近いです。
すると、それらを装着している時間はずっと、コンテンツが入り込む余地が生まれます。
忙しい現代人でも、通勤時だろうと勤務時間中(上司にバレないよう注意)だろうと、コンテンツを楽しむことができるのです。
スキマ時間を狙うにしても、ライバルの多くも同じことを考えています。
だからこそ、
スキマ時間どころか常時、AR・MRでも世界観を楽しめるように設計しておけば、まとまった時間ができたときも、その世界観を楽しもうとしてくれやすくなり、アニメやゲームへの誘導もしやすいです。
とうぜん、それだけ多くの時間を世界観の体験に使ってくれたなら、収益化もしやすいですし、その体験した内容を情報拡散してくれやすくなります。
従来のオムニチャネルに比べて、人生そのものに寄り添うオムニチャネル戦略といえます。
現時点では、「メタバース=同期的なVR」という感じです。
しかし、今後はVRだけでなく、AR・MRをも連動させたメタバースも出てくるでしょう。
つまり、オムニチャネルにXRをも組み込んだ、「XRオムニチャネル戦略」が普及していく可能性が高いのです。
「常時」世界観を体験できるXRオムニチャネルは、これからのマーケティングにおいて、超強力な戦略となっていくでしょう。
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