NF亭ショウタです。
メタバース空間での物産展が、これから増えていくでしょう。
また、それを宣伝・食レポするインフルエンサーとして、VTuberが起用されていきます。
この流れは、世界中で起こる可能性が高いです。
この記事では、新時代の飲食業界マーケティングとして有望な「メタバース物産展×VTuber」の運営戦略を解説していきます。
メタバース物産展×VTuberの実例➡「バーチャル物産展」
メタバース物産展の前例として、「バーチャル物産展」があります。
VTuberが売り子をする、オンラインでの物産展です。
(現時点では、一般にイメージされる3Dのメタバースではなく、2Dのメタバースです。
くわしくは後述。)
VTuberたちが売り子として食レポをして、視聴者からの質問に答えるなどコミュニケーションをとりながら、販売促進をする…というものです。
視聴者は、いつでも販売ページに行って購入することができます。
そして、商品が郵送されて、視聴者の手に届くのです。
これまでに、北海道・富山・九州といった”地方に特化”したテーマだったり、ラーメン・カレーといった”メニューに特化”したテーマだったりと、
毎回テーマを変えて、それに興味がある層を集客しています。
第1回が2022年2月20日に開催され、その後もハイペースで開催されています。
- 第1回(2022年2月20日):in 富山
- 第2回(2022年3月6日):うまいもの市
- 第3回(2022年3月27日):おすそわけ展
- 第4回(2022年4月10日):in 九州
- 第5回(2022年4月24日):in 北海道
- 第6回(2022年5月15日):お酒&おつまみ物産展
- 第7回(2022年5月21日):肉フェス
- 第8回(2022年5月28日):麺フェス
- 第9回(2022年5月29日):カレーフェス
また毎回、多くのVTuberが起用されます。
運営企業である株式会社uyetは、バーチャルキャラクターによる商品のマーケティングなどの事業をしています。
また、今回のバーチャル物産展で使われたのは、「SpatialChat」という2D空間でのコミュニケーションができるツールです。
平面的な2D空間ですが、距離の概念を取り入れているのが特徴です。
画面内の丸いアイコンを動かし、相手のアイコンに近づけば声が大きく聞こえて、離れれば声が小さくなるのです。
⬇バーチャル物産展の来場者は、SpatialChatをこのように利用して楽しむのです。
引用:ナオさんTwitter
VR機器・アカウント作成が不要で体験できるので、気軽に来場することが可能です。
メタバース化は確実
現段階では、2Dの平面的なメタバースですが、今後は一般的にイメージされる3D空間のメタバースでの実施が確実です。
⬇公式のイメージ画像を見てわかるとおり、3D空間のメタバースでの開催を視野に入れています。
運営会社によるプレスリリースでは、
メタバース時代における新たなマーケットプレイスを目指し、開催しました。
引用元:PRTIMES
…と発言しており、これからメタバースを最大限活用した運営戦略が展開されていくでしょう。
メリット
オンラインで全国から集客
メタバース空間なので、とうぜん日本全国・海外在住者も気軽に来場できます。
現実世界の物産展と違い、時間も運賃もかからないので、興味を持ってもらえさえすれば、来場してもらうのは容易です。
また、楽しいと思ってもらえたら、SNSで情報拡散されやすいです。
インフルエンサー・店もオンライン参加(開催コスト安い)
出店する店も、PR・食レポをするインフルエンサーもオンラインで完結します。
食レポする料理は、あらかじめインフルエンサーの自宅に配送すれば、現地に行く必要はありません。
手間・資金などのコストが圧倒的に安く済むのです。
テーマを絞って全国の店を集めやすい
従来の物産展では、”北海道物産展”や”九州物産展”などの「地域」をテーマにした物産展が主流でした。
しかし、
メタバースでは参加店もオンライン参加なので、”ラーメン”や”カレーライス”などの店を全国各地から集めやすく、「メニュー」をテーマにした物産展が やりやすくなります。
また、メジャーな料理だけでなく、マイナーでマニアックな料理の物産展も可能になります。
現実世界の物産展に比べて開催コストが格段に低く済むので、一部のコアなファンしか集まらなそうな料理をテーマにしても、採算が取れやすく、自由度が広がるでしょう。
会場費がかからない
現実世界の物産展では、会場を借りる費用が(条件によって変わるが)数十万円かかります。
また、準備や片付けをするための人件費もかかります。
メタバースなら、それらがかかりません。
圧倒的に低コストです。
展示スペースによる出店数・来場者数の制限がない
現実世界では、とうぜん展示スペースの制限があります。
それの許容量を超えることができないので、店舗数に制限があります。
また、宣伝をしすぎて来場者数が多すぎると、混雑しすぎてしまいます。
しかし、メタバースならその制限がありません。
デメリット
来場者が「腹減った」という理由では購入しない
空腹だと、とうぜん料理を食べたくなります。
現実世界の物産展で腹が減ったら、とうぜん物産展内の料理を買って食べます。
しかし、
メタバース物産展を体験している時に腹が減ったら、メタバースを離脱して現実世界の自宅で食事を取るでしょう。
つまり、
メタバースに参加していても、結局 体は現実世界にあるので、「空腹だから」という理由では、物産展での購買にはつながりにくいのです。
その場で食べて、他の来場者と意見交換できない
インフルエンサーの食レポは、あらかじめ郵送されたモノを食べています。
しかし、来場者はその料理をリアルタイムで食べて、他の来場者と意見を交わすことができません。
どうしても、「注文➡配送➡レンジで加熱」という時間と手間が、大きな壁となってしまうのです。
試食できない
試食は、その料理が金を払うに値するかどうかを判断する指標の1つになります。
しかしとうぜん、メタバースでは試食して味わうことはできません。
どんなに美味しい料理でも、外見と インフルエンサーの食レポから購入の是非を判断するしか無いのです。
料理のニオイでアピールできない
物産展で香ばしいニオイがただよってきたら、反射的に食欲をそそられますよね?
調理の際の美味しそうなニオイは、通行人の足を止め、集客効果、販売促進効果を発揮するのです。
しかし、メタバースではニオイは感じることができず、それによる集客効果・販売促進効果を得ることができません。
(いずれは、ニオイも再現する技術も開発されるとは思いますが、それをわざわざ購入する人はメタバース利用者の中でもかなり限られそうです。)
可能な戦略
テーマを活かした世界観
物産展をメタバースで行うなら、とうぜん現実世界の物産展を再現するだけでなく、現実世界ではありえないようなファンタジーあふれる世界観のメタバースを創ることができます。
例えば、カレーライス特化のメタバース物産展なら、
- 巨大なカレーライスの火山が背景
- たまに噴火する(カレーの溶岩が流れてくる)
- カレーの溶岩の熱の気流上昇で、パラグライダーできる
…という、アトラクション要素を取り入れてみると、楽しみ方の変化がついて、他のメタバース物産展との差別化になります。
その料理をテーマにした世界観をいかにメタバースとして表現するか・・・というクリエイター的な発想が重要になってくるのです。
広告枠NFTなど を販売
本格的にメタバース化したら、とうぜん そこには「広告を出したい」という需要が生まれます。
物産展では美味しい料理が並びますが、そうなると気になってくるのが「肥満」「美容への悪影響」です。
なので、それらを解決するような商品を販売している企業などに向けて、広告枠を販売すると良いでしょう。
広告枠をNFTとして販売しても良いですし、(転売されるたびにロイヤリティが発生して利益となる)
「NFTってなに?」という広告主候補の取りこぼしを防ぐために、NFTを介さない方法で広告枠を販売しても良いでしょう。
実店舗で優待されるNFTプレゼント
所有者が、実店舗での優待を受けれるNFTをプレゼントすれば、実店舗への集客も可能になります。
もちろん、NFTを知らない人でも使えるように、QRコードのクーポンなどをプレゼントしても良いでしょう。
スポンサーNFT販売
メニューなどに連動した広告枠をスポンサーNFTを販売すれば、収益となります。
⬇スポンサーNFTの詳細
また、今後の普及が期待されるスマートグラスを活用する方法も可能です。
実店舗に入った時に、スマートグラスでAR(拡張現実)・MR(複合現実)の広告が表示されれば、より鮮明にアピールすることができます。
⬇AR・MRの詳細
公式VTuber運営
メタバース物産展が継続的に開催されるなら、広報役として公式VTuberを運営するのも有効です。
開催の都度、VTuberを起用して情報拡散してもらうのも良いですが、並行して公式VTuberを運営して、普段から食レポ動画を投稿するのです。
(歌ってみた動画やゲーム配信など、通常のVTuberらしい活動も行う)
VTuberは1万6千人以上いる激戦区なため、チャンネル登録者は伸びづらいですが、コアなファンを獲得できます。
また、
メタバース物産展の広報役・案内役をすることにより認知され、チャンネル登録をしてもらってつなぎとめておけば、次回以降の開催の時にスムーズに告知することができます。
調理工程をゲーム化
物産展に出店する料理を調理できるゲームを作り、来場者に疑似体験してもらいます。
たとえば、ラーメン調理ゲームをしていると、とうぜん その対象であるラーメンに意識が集中します。
⬇視覚だけでも美味しそうな雰囲気が伝わり、食欲を刺激します。
ゲームを作るには費用もかかりますが、一回作ればメタバース物産展以外でも、色んなところで使い回せます。
VTuberを起用する際も、ゲームがあればリアクションもしやすく、ライブ配信のネタにもしやすく、視聴者も体験してくれます。
可能ならば、戦略に取り入れてみるべきでしょう。
ご当地VTuber起用
「◯◯県のメタバース物産展」を開催する場合は、◯◯県の ご当地VTuberを起用するのは合理的です。
普段からその地域の情報を発信しているので、その地域に興味があるコアなファンがいます。
また、
その地域に住んでいる人がファンになりやすいので、現地のリアル店舗への集客もしやすい…というメリットもあります。
ご当地VTuberは、市場はまだまだ小さいですが、これから伸びていくニッチジャンルですので、活用すべきでしょう。
パラリアル(実在都市メタバース)で出店
これから、パラリアル(実在する都市のメタバース)は増えていきます。
⬇自治体が公認しているパラリアル渋谷
また、
このパラリアル渋谷を運営する企業は、2022年から5年以内に、世界100都市をメタバース化する計画を発表しました。
他にも、様々な企業により、パラリアルは増えていくでしょう。
なので、
それらのパラリアルで物産展を実施していくと合理的です。
たとえば、
北海道のパラリアルなら、とうぜん北海道に興味がある人が集まりやすいです。
なので、
北海道のパラリアルの建物の中で「メタバース物産展 in 北海道」をやるとよいでしょう。
路上で屋台で物産展をするのもアリです。
また、パラリアル運営企業と提携して、お互いを宣伝しあってもよいでしょう。
「メタバース物産展 in 北海道↔北海道のパラリアル」という感じで、相互送客できます。
世界中の飲食業界がライバルになっていく
バーチャル世界での物産展なので、とうぜん海外展開も可能です。
いずれは、メタバース機器に自動翻訳機能が標準搭載されて、言語の壁がなくなります。
すると、海外の人もメタバース物産展を見てくれるようになります。
VTuberが売り子として食レポする様子を見て、購入してくれる可能性が生まれます。
メタバース物産展でVTuberが紹介した日本の料理を、外国人が購入して、海外配送される…という状況が起こるのです。
コロナ影響で長期化する他国への渡航制限で、外国人は日本に来たくても来れません。
美味しそうな日本料理を食べ歩きしたい欲求を持ちながらも、我慢を強いられているのです。
その欲求の解決策として、「メタバースで日本料理の魅力を体験して、海外通販」というのが有効です。
また、単に「いろいろな日本料理は食べたいけど、わざわざ現地に行くのメンドクサイ」という層も取り込めます。
…しかし、
メタバース物産展は とても有効なマーケティングであるゆえに、日本国内はもちろん、海外諸国の飲食業界の企業も、ドンドン取り入れられていくでしょう。
つまり、ライバルが激増するのです。
日本人が、タイ王国のメタバース物産展で、タイ王国のVTuberの食レポ(同時翻訳される)を楽しみ、トムヤムクンを購入して、自宅でその美味しさを味わう
…という感じで、世界中の飲食業界が、ライバルとなっていくのです。
ドローンなどによる運送が実用化されれば、実際の店舗まで足を運んで料理を食べる…という機会は減り、普段からデリバリーで作りたてを食べる文化が普通になります。
そして、
物産展も実際の会場まで行くよりも、メタバースで体験して、配送してもらう・・・というのが普通になっていくでしょう。
なので、世界中の飲食業界によりメタバース物産展が実施されていくと思われます。
そして、その宣伝・食レポをするインフルエンサーとして、VTuberが適しています。
日本発祥のVTuberは世界的な文化に発展しましたし、
⬇メタバースと融合しているVTuberプロジェクトもドンドン生まれています。
同じように、「メタバース物産展×VTuber」のプロジェクトは、新時代の飲食業界のスタンダード戦略になっていくかもしれません。
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