出版社メタバース!新時代コミュニティ作りマーケティング戦略を考察

メタバース

NF亭ショウタです。

代表的な出版社である小学館が、メタバース運営を発表しました。

ドラえもん や 名探偵コナンをはじめとして、非常に多くのコンテンツを有する小学館ですから、メタバース運営の戦略も、幅が広がります。

複数のフェーズに分けて、ドンドン戦略が拡大されていくでしょう。

 

この記事では、

  • 小学館メタバースの詳細
  • 出版業界の現状
  • 出版社によるメタバース戦略の可能性

…について解説していきます。

出版社によるメタバース運営

小学館がメタバース運営開始

小学館は、独自のメタバースプラットフォーム「S-PACE」において、メタバース運営をすることを発表しました。

 

このメタバース プラットフォーム「S-PACE」自体が、

  • 小学館
  • LATEGRA(AR・VR開発企業)
  • DAC(ゲーム・XR開発企業)

…の共同で開発されています。

公式サイト

  • ヘッドマウントディスプレイ
  • スマートフォン
  • タブレット
  • PC

…など、多彩なデバイスからアクセス可能です。

一般公開は、2022年8月からとなっています。

特徴

小学館のメタバースの特徴は、

  • コミック志向のアバターデザイン採用
  • 3Dアバターのデータ軽量化で、既存メディアとの往来が容易
  • 定期的にコラボイベントを実施
  • レイアウト変更がしやすい設計

…などが挙げられています。

 

他企業や他ブランドを巻き込む施策を、実施するとのことです。

また、今後も続々コンテンツや建物を追加していく予定です。

ロードマップ

  • PHASE1(スタートアップ期):2022年6月~

入り口となるポータル空間から、複数の個別の空間を用意。

また、コンテンツ・広告などが試験運用されます。

ユーザー用のアバターなども導入。

 

  • PHASE2(アクセラレーション期):2022年12月~

XRコンテンツを充実させつつ、アバター機能を強化。

また、他企業からの参入も受け入れる。

決済機能も搭載予定。

 

  • PHASE3(転換期):2023年10月~

クリエイターを支援するシステムを構築。

また、創作活動による独自の経済圏を生み出す。

出版市場の状況

全体はコロナで少しずつ回復: 電子書籍・オーディオブック・オンデマンド出版は盛況

出版業界は、過去20年以上にわたり、市場規模が少しずつ縮小していました。

しかし、コロナによる外出制限により、巣ごもり需要で読書がうながされ、少しずつ回復に転じています。

 

そして、「紙の書籍」「電子書籍」に分けて見てみると、電子出版が飛躍的に伸びているのがわかります。

 

 

また、電子書籍だけでなく、

  • オーディオブック(朗読を聞く)
  • オンデマンド出版(紙の書籍を受注生産)

…も、出版業界の中でも好調です。

 

オーディオブックは、内容をナレーターが読み上げてくれるので、移動中でも聞くことができますし、

受注してから製本するオンデマンド出版は、在庫を持たないので、破棄される事がなく、環境にもやさしいのです。

両方とも、Amazonも実施しており、これからも需要は継続するでしょう。

リピートされにくい

本は、基本的にリピート購入されにくいです。

ゲームの課金アイテム・化粧品などは消耗品なのでリピート購入されますが、本は消耗品ではありません。

 

まったく同じ本を買うのは、

  • 紙書籍を買ったら名著なので、スマホでいつでも読める電子書籍も欲しい
  • 紛失してしまい、また読みたい
  • 他人へのプレゼント

…という状況でないかぎり、リピート購入されません。

マーケティングでは、「既存顧客からのリピート購入を狙う」のが定石ですが、本ではそれが難しいのです。

出版社が次々と新しい本を出版するのは、リピート購入が狙いにくいから…といえるでしょう。

 

もちろん、マンガ単行本など、巻数が続いていく前提なら、「1巻➡2巻➡3巻・・・」と継続的に買ってくれる可能性は高まります。

しかし、完結したら、それまでです。

(名作「デスノート」も全12巻なので、12冊までしか購入されませんよね?)

「コミュニティ作り」が重要?

近年のマーケティングでは、「コミュニティ」を作ることが重要と提唱されています。

 

商品・サービスを好きな人や興味を持っている人たちが交流できる場所を作るのです。

すると「類は友を呼ぶ」という感じで、似た趣味嗜好の人たちが自然と集まってきます。

そこで、有料の商品を興味がある人だけに知らせればよいのです。

(強引なセールスは、居心地が悪くなり、離脱につながるので すべきでない。)

 

サブスク制のオンラインサロン的なコミュニティは、すでに多数存在しますよね?

あれも、コミュニティ戦略といえます。

 

しかし、「有料」というのが、参加者の障壁となっていることも確かです。

参加するときにも継続課金であるサブスクに対して迷いが生じますし、少しでも不満を感じれば解約することが選択肢に浮かびます。

 

なので、メタバースがコミュニティ作りに適している・・・といえます。

無料で参加・様々なコンテンツを楽しめるようにすれば、気軽に多くの人が来てくれます。

多くの人が来れば、「賑わって盛況」であるイメージがつき、さらに多くの人が集まりやすくなります。

そして、一部 有料商品を置いておく・・・というのが、有効です。

大量の既存コンテンツを活用できる

出版社は、様々なマンガなどのコンテンツを保有しています。

なので、メタバース開発においてもそれらを活用することができます。

現在進行形で連載されているマンガだけでなく、過去の名作マンガも活用することができるのです。

 

これは、圧倒的な強みとなります。

集客は容易

多くの人気キャラ関連のコンテンツがあるなら、メタバースへの集客は、かなりスムーズに行えるでしょう。

マンガ雑誌の紙面などで特集記事を組めば、多くの人が興味を持ってくれて、来てくれやすいです。

 

もちろん、世間全体で見れば「メタバースは、どうすれば体験できるの?」という人も、現時点では多いです。

しかしいずれは、スマホが一般普及したように、メタバースも一般普及していきます。

それを見越して、今のうちから集客して多くの人が来てくれるようになれば、メタバースが一般普及したころには常連でにぎわうメタバースにすることも可能となります。

世界中をターゲットにできる

メタバースに、高精度でタイムラグがない自動翻訳機能が実装されれば、言語の壁を気にすることなくコミュニケーションを楽しめるようになります。

すると とうぜん、出版社のメタバースには、多国籍の人種が来てくれやすくなり、経済圏も大きくなります。

(自動翻訳機能ができたら、他のメタバースでも実装されるわけですが、マンガ作品などの日本のコンテンツは、世界中で人気があるので、それを導線に集客しやすいです。)

 

Meta社も、自動翻訳機能AIを開発中です。

今後は、同時翻訳機能実装により、メタバースの世界戦略が必須となるでしょう。

可能な戦略

NFTアート販売

マンガ作品などのNFTアートを販売します。

⬇マンガのNFTアートの前例として、手塚治虫作品や集英社の作品があります。

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メタバースに、”NFTアート美術館”を作り、無料で見学できるようにすれば、多くの人が興味を持ってくれます。

(購入希望者は、そこでNFTアートをいつでも購入することができます。)

日本のマンガ作品は、海外でも人気が高いので、海外からの入札も多く、利益を上げやすいと思われます。

ファッションNFT販売

メタバースで身に着けることが可能な、ファッションNFTを販売します。

たとえば、マンガのキャラのコスチュームをNFTとして販売するのです。

⬇また、マンガ作品をモチーフにしたNFTシューズなどを売ってもよいです。

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NFTは一次販売時はもちろん、転売されたときもあらかじめ設定したロイヤリティが利益として入ります。

なので、有名な出版社が、自社コンテンツに関連するNFTを発行・販売することは、長期的な利益につながるのです。

イベントもメタバース

雑誌社によるリアルイベントは、大きな経済効果を生みます。

すでに集英社は、メタバースでのイベントも開催しています。

今回の例でいえば、小学館もメタバースイベントを開けば、世界中から集客することも可能になります。

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費用の面においても、

リアルイベントの場合は、場所代や人件費など、莫大な資金が必要です。

しかし、メタバース開発・運営をするなら、圧倒的に低い資金力で可能になるでしょう。

多彩なジャンルの雑誌からの集客

出版社のメタバースというと、マンガ作品のキャラ活用に意識が行きますが、

  • オカルト
  • ホラー
  • 宇宙
  • 科学

…など、多彩なジャンルからも集客ができます。

オカルトな雰囲気のロビーを用意したり、ホラーなお化け屋敷(お化け役は、単純制御AIを活用)を設置するなど、演出の幅も広げやすいです。

 

また、学術雑誌を出版している場合は、

宇宙というマクロ(巨大な)な世界から、原子・粒子というミクロな科学の世界まで、VRで再現して、楽しく学術を学べるメタバースを作っても良いでしょう。

いずれ、学校教育でもメタバースが活用されるようになれば、そこで正式採用される可能性もあります。

kindle活字本も売れる・本の要約セミナー

「本の要約」は、大きな需要があります。

YouTubeでも、本を要約するチャンネルはたくさん運営されています。

 

そして、メタバースで「発売前の本の要約セミナー」をすれば、他の本要約チャンネルよりも圧倒的に早く内容を知れるわけですから、興味がある人が集まります。

そこから、本の購入への導線が張れます。

人気キャラVTuber化

マンガキャラをVTuberすれば、より話題性が生まれます。

そこで、メタバースを紹介すれば、まだまだ一般普及しているとはいえないメタバースへの集客もしやすくなります。

⬇ワンピースも、今までに2回VTuber化されています。

シナリオ・編集をスタッフが担当して、声優はセリフを読むだけにすれば、声優が多忙であってもカンタンに実現できます。

もし声優のスケジュールに余裕があれば、イベント前などにライブ配信をしてもよいでしょう。

また、映画公開の度に、直前に配信などをすれば、VTuber界で情報拡散され、注目されやすいです。

映画上映

メタバース内で、過去作の映画を上映します。

「フツーにパソコンで見れるのに、なんでわざわざメタバースで上映すんの?」

…と思うかもしれません。

 

しかし、わざわざメタバースで上映すると(前述した)コミュニティ感が出るのです。

既に視聴済みの過去作でも、他者と意見交換の会話をしながら見る・・・という楽しみ方が可能になるのです。

 

YouTubeでも、映画の同時視聴 実況は1つのジャンルとして確立しています。

そのメタバース版といえるでしょう。

未来予測

人工知能が搭載されたキャラが配置される

出版社は、これからメタバースに続々と参入して、そして移動できる範囲も増えていくでしょう。

その中で、人工知能が搭載されたマンガキャラがメタバース内にいて、話しかけると対話してくれるようになります。

(ディズニーランドで、ミッキーマウスがいるのと同じ。中身は汗だくのオッサンだが、気にしないなら楽しく記念撮影できる。)

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季節や曜日や時間帯などにより、出現するキャラを変えたり、特定の条件がそろった時にしか出現しないレアキャラを配置してもよいでしょう。

また、キャラがスタンプを押してくれて、スタンプラリーを楽しめるようにもできます。

(達成者にはプレゼント用意。)

そうすれば、イベントが開かれていない時のメタバースでも、閑散とした雰囲気を与えることなく楽しさを演出することができます。

日本再興の大チャンス

日本は、世界唯一の衰退途上国といわれています。

ブロックチェーン企業も次々に海外に拠点を移していますし、急激な円安が起こっています。

明らかに、国力低下が深刻化しています。

 

しかし、日本の娯楽コンテンツは、世界中で高い人気があります。

これを、革新文化であるメタバースと組み合わせることによって、世界中から人が集まり、巨大な経済圏をうむ可能性があるのです。

 

「マンガ・アニメ×メタバース」は、日本再興の大きな突破口を開ける可能性を秘めているのです。

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