NF亭ショウタです。
後期高齢者が、アイドルとして活動できる時代が到来しました。
その先駆者が、85歳のメタばあちゃんです。
メタバースでの活動を発信するVTuberです。
これからこのジャンルが活性化して、新しいニッチ市場が形成されていく可能性が高いです。
この記事では、
- 後期高齢者アイドル「メタばあちゃん」とは
- 可能な戦略
- 未来予測
…を、解説していきます。
メタばあちゃんとは
85歳・後期高齢者アイドル
「メタばあちゃん」は、2022年12月7日に活動開始したVTuberです。
広島県在住の 85歳のおばあちゃんであり、メタバース空間での活動を数分間の短尺動画として投稿しています。
孫に勧められてVTuberとしてアイドル活動を始めたそうです。
「孫」とは、メタばあちゃん運営会社であり 複数のVTuber事業を手掛けている、株式会社OTA GROUPの代表取締役を指していると思われます。
※補足
⬇OTA GROUPの代表取締役は、下記プロジェクトにもプランナーとして参画
活動開始直後、話題が話題を呼び登録者が爆増
メタばあちゃんは、活動開始直後から大きな話題を呼び、大いに情報拡散されました。
ひろこ85歳です。現役の後期高齢者です。
広島県出身。バカ孫に言われ、あいどる活動を始めました。お友達も募集中です。#新人Vtuber #Vtuber始めました pic.twitter.com/gDUanfO6pf— ひろこ【メタばあちゃん】 (@meta_grandma) December 7, 2022
⬇その結果、活動開始から半月たらずで、チャンネル登録者が3万人を突破しています。
群雄割拠なVTuber界において、これはとても凄いことです。
以前から、男性が美少女のアバターでVTuber活動をする「バ美肉」という文化はあったのですが、メタばあちゃんにより「後期高齢者VTuber」という新しい文化が切り開かれた…といえるでしょう。
⬇「バ美肉」の考察記事
「メタばあちゃんプロジェクト」新メンバー募集中
メタばあちゃんは、おばあちゃん専門のVTuber事務所「メタばあちゃんプロジェクト」を設立するため、75歳以上のおばあちゃん専門の新メンバーを募集しています。
歓迎要件に「歌が上手」とあります。
つまり、メタばあちゃんプロジェクトのメンバーたちによる、メタバースライブなども開催される可能性が高いです。
若い世代が知らない、往年の名曲を聴くこともできるかもしれません。
高齢者によるVTuber活動・メタバース活動が増えていく?
VTuber界は、国内だけでも2万人を超える群雄割拠な業界です。
なので、後発VTuberは、差別化の為にニッチ化・専門化が基本戦略となります。
(まだ発見されていない有望なニッチジャンルはまだまだ埋まっているでしょう。)
そして今回、メタばあちゃんは「後期高齢者の女性VTuber」という差別化をしました。
メタばあちゃんを見て「私もVTuber活動・メタバース活動やってみたい!」と考える人が増えれば、高齢女性VTuberが増えていくでしょう。
そして、今後 高齢女性をターゲットにした商品などのマーケティング戦略の選択肢として、高齢者VTuberが有望視されていけば、需要も供給も増大していきニッチなマーケットとして成立していく可能性が高いのです。
メリット
高齢者によるVTuber活動・メタバース活動においてのメリットを考察します。
思考力の維持
定年後、多くの人は退職して隠居して暮らします。
しかし退職後、うつ状態や認知症を引き起こすケースも多いとされています。
これは、仕事をしなくなって頭を使う機会が激減することにより、脳機能が低下してしまうことにより起こります。
結果として、思考力が大幅低下して、日常生活全般に悪影響が出てしまうのです。
しかし、VTuber活動・メタバース活動という発信をすることにより頭を使うので思考力の活性化につながります。
自分自身の独創性を自由に楽しみながら表現できる自由度の高い頭の使い方なので、むしろ脳機能がアップする可能性もあるでしょう。
別年代との価値観の相互理解
普段、あまり接点のない、年齢が離れた世代の意見や価値観に触れるキッカケとなります。
高齢者に対しては「カタい考え方をしそう」な印象を持ってしまいがちです。
しかし、
意外とウィットに富んだ発言(機転が利く・知的なユーモアがある)をしていたりすると、親近感を感じやすくなったりします。
また、長く人生を歩んでいる人に対しては、人生相談の需要も高いでしょう。
(もちろん、
- 短文の質問
- 短文の解答
…なので、質問者の詳細な事情などを把握・考慮しての、綿密で具体的な解答はできません。
しかし、短文の解答であっても、質問者の視点を増やすキッカケを与えることはできるので、結局は質問者の受け止め方次第と言えるでしょう。)
「定年退職後の趣味」に適している
定年退職後に打ち込めるような趣味が既にあれば良いのですが、そうでない場合は何かしらの趣味を探す(または、何もしない)ことになります。
そこで、定年退職後に、パチンコなど お金を消費して頭も使わないギャンブルを趣味にしてしまい、ギャンブル依存症になってしまう人も多いです。
結果、家族との溝ができてしまうことにもつながりかねません。
しかし、VTuber活動・メタバース活動は(PC・VRデバイスがあれば)無料でできます。
創意工夫すること自体を楽しむことができるので、お金のかからない知的な趣味といえるでしょう。
(また、上手く行けば収入を得ることもできます。)
家族や親戚との継続的コミュニケーションのキッカケとなる
定年退職後の趣味として楽しく活動していれば、家族も手が空いた時間などにアイデアを出してくれたりと、コミュニケーションのキッカケとなります。
また、普段なかなか会えない親戚も、VTuber活動・メタバース活動を見て応援してくれたり、協力的になってくれることもあるでしょう。
デメリット
高齢者によるVTuber活動・メタバース活動においてのデメリットを考察します。
テクノロジーに疎い年代
高齢者であるほど、最新のテクノロジーには疎い傾向にあります。
活動開始にあたり、自力で調べても、理解には相当な努力を要するでしょう。
(だからこそ、家族などが協力できる余地がありコミュニケーションが生まれるメリットと表裏一体。)
「Vtuber稼げますよ!」詐欺の横行リスク
判断力が低下した高齢者を狙った詐欺は、依然として存在します。
- お金を貯めこんでいる
- ダマしやすい
…というイメージがあるので、お年寄りをターゲットにした詐欺はなくなりません。
その時のトレンドを取り入れて、あの手この手でお年寄りをダマそうとしてくるでしょう。
そして、「VTuber活動は、メチャクチャ稼げますよ!」と謳って、高額な情報商材を買わせようとしてくる輩が出てくるリスクがあるのです。
(※想定される手法
- 高齢者をターゲットにして「VTuber活動で稼ぎまくる方法、無料で教えます!」➡メルマガ・LINEなどに登録させる
- 極々一部の成功事例(大手事務所・メタばあちゃん など)を、誰でも再現可能とアピール
- 「具体的な方法を教える有料講座を、今だけ超特別価格!」➡数十万円の高額な情報商材・スクールをセールス
- 稼げない苦情が殺到➡完全シカト・逃亡
…など。)
明かすべきではない情報の判断
VTuber文化などに疎い高齢者は「どこまでが、明かしてよい情報なのか?」の線引きがしづらいと思われます。
特に、リアルタイム配信で自分の個人情報などを言ってしまった場合は、取り返しがつきません。
なので、(メタばあちゃんのように)リアルタイム配信ではなく、後からいくらでも編集できる短尺の動画を中心にするのは、有効と言えるでしょう。
可能な戦略
高齢者によるVTuber活動・メタバース活動において、可能な戦略を考察します。
壮年層の趣味を発信(YouTubeでもメタバースでも)
画像引用:内閣府
VTuberとして、盆栽(園芸・庭いじり)など、高齢者に人気がある趣味情報を発信するのは、差別化として有効です。
例えば、
盆栽ゲームの配信はVTuber界でも すでに前例がありますが、現実世界の盆栽のリアルな情報を本格的に発信するVTuberはいません。
壮年層の趣味の魅力を発信するのは、動画ネタの調達としても有効といえます。
もちろん、多くの人にとって盆栽は縁遠いモノですので、娯楽性が高く親しみやすい構成にすべきでしょう。
⬇このようなノリで「盆栽あるある」などを投稿
また、いずれは、メタバースで盆栽を育てることができるようになるでしょう。
そして、メタバースの盆栽をNFTと紐づけて、所有権を売買できるようになる可能性も高いです。
盆栽系VTuberとして有名になっておけば、一部の盆栽好きな人が購入してくれて、収益化も可能になるかもしれません。
(すでに、現実の盆栽のNFTもありますし、3D盆栽のNFTも前例があります。)
メタバースでの健康講座(サブスク低価格)
収益化の有力な手段として、「メタバースでの健康講座」が有望です。
高齢者になるほど健康意識が高まるので(理想は、若いうちから高い方が良いですが…。)メタバースで実践できる健康講座は需要があると思われます。
なので、サブスク低価格(初月のみ無料で体験可能などにする)にすれば、継続的な収入を得ることも可能になります。
もちろん、十分な知識と経験がある専門家でないと、お金を払ってはもらえません。
なので今後は、健康に関する商品をあつかう企業による高齢者VTuber運営のケースが生まれるかもしれません。
⬇有望なのは、”東洋医学を教えるメタバース講座”です。
メタバースでの散歩ツアー
メタバースで徒歩移動できるルームランナーは、すでに商品化されています。
まだまだ高価ですが、いずれは安価になっていくでしょう。
これらのデバイスを使ってメタバース散歩ツアーなどを開催すれば、発信ネタにもなりますし、健康にも良いです。
また、現実世界だと散歩中に なにかあっても、物理的に離れた距離にいるので(また、連絡手段を取れるとも限りません。)ご家族が即対応することは難しいですが、
メタバースでの散歩なら、とうぜん家族がいる屋内でできるので、有事の際はご家族が即対応できる安心感があります。
また、高齢者への販路拡大を狙う企業から、公式アンバサダーに任命される可能性もあるでしょう。
演歌ライブ
壮年層には、とうぜん演歌が人気があります。
なので、演歌に特化したメタバースライブなどをすると、壮年層に興味を持ってもらいやすいです。
現時点でVTuberに興味がない壮年層を取り込むチャンスにもなるでしょう。
また、Youtubeで同時配信してもよいでしょう。
未来予測
定年後の趣味として定番化
今後、VTuber活動が定年退職後の趣味の選択肢として、定番になっていく可能性があります。
⬇すでに、メタばあちゃんに影響を受けてVTuber活動を始めた実例が存在します。
メタばあちゃん活動開始の わずか7日後に、活動を開始しています。
- メタばあちゃん=2022年12月7日 活動開始
- ぶいちゅー婆たんたん=2022月12月14日 活動開始
これからも、メタばあちゃんをキッカケとして、活動を始める人が増えていく可能性が高いです。
すると、「高齢者VTuber界」というニッチな業界ができていくでしょう。
必然、視聴者も高齢者の割合が多くなります。
すると、高齢者向け商品の案件なども依頼されて、マーケットとして確立していくかもしれません。
老人ホームなどで、認知症予防にできる
本格的にVTuber活動・メタバース活動をするのではなく、思考力の活性化プログラムとして、VTuber・メタバースのテクノロジーに触れる機会を創ることは有効です。
なので、老人ホームなどでVTuber体験などをするとよいでしょう。
⬇老人ホームでは、身体・思考力を活性化するレクリエーションなどが行われています。
① 身体を動かすレクリエーション
- ラジオ体操
- 風船バレー
- 紙コップボールシュート
- パターゴルフ
② 手足を使ったレクリエーション
- 折り紙
- お菓子作り
③ 頭を使うレクリエーション
- しりとり
- 頭文字さがし
- 逆文字ゲーム
引用:探しっくす
メタバースでは、多種多様なゲームが行えますので、”体を動かすレクリエーション”にも有効です。
そして、”頭を動かすレクリエーション”として、創意工夫・試行錯誤して発信内容を考えていくVTuber活動が有効となりえます。
なので、老人ホームでのプログラムに組み込むことはとても有効といえます。
一生、学び続ける手段となる
現代では、一生 学び続けることの重要性が説かれています。
「学び」は、”インプット”と”アウトプット”の両方で成立します。
良質な情報をインプットして、それを元に自分の考えを言語や行動としてアウトプットしていくことが、「学び」なのです。
しかし、日本人は「アジアで最も大人が学ばない国」という調査結果が出ています。
日本は、職場以外のプライベートな時間に、何かを学ぼうとする意欲が低い人がとても多い国なのです。
引用:BENESSE
この要因としては、
- 学校教育により、「学ぶ=つまらない、辛い」というイメージ
- 職場での仕事だけで思考力・気力の大半を使い果たしてしまう
…が、根底にあると思われます。
しかし、定年退職後は、時間が有り余ってしまいます。
そこで、高齢者がVTuber活動・メタバース活動を通して、楽しみながら自分の考えを発信している姿を見る機会が増えれば、好影響を与えるでしょう。
とうぜん、自分の考えを発信するには、学ぶことが大切です。
なので、そこで学ぼうとする意欲が生まれる可能性があります。
日本発祥のVTuber文化を介して、日本人の学習意欲が高まっていくかもしれないのです。
高齢者VTuber界が海外にも成立?
メタばあちゃんの動画には、すでに海外言語でのコメントも多く書かれています。
また、メタばあちゃんを記事にしている海外メディアも複数あります。
つまり、海外のVTuber視聴者・メディアにも注目されて、情報拡散されているのです。
とうぜん、日本の高齢者だけでなく、海外の高齢者によるVTuber活動・メタバース活動も増えていく可能性が高いです。
そして、いずれメタバースに自動翻訳機能が実装されれば、言語の壁がなくなり海外の人とコミュニケーションをとれるようになります。
つまり、高齢者VTuber界が国境を超えて確立していく可能性もあるのです。
すでに、VTuber界の中でのニッチ市場として確立している「ご当地VTuber界」と同じように、高齢者VTuber界がニッチ市場として確立していけば、さらに多くの高齢者や企業の目に留まり新規参入者が増えていく好循環が生まれるでしょう。
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