NF亭ショウタです。
有名なNFTシリーズのVTuber化が、立て続けに発表されました。
これは、”NFTのキャラクター”と”VTuber”の相性の良さに着目されていると同時に、メタバース展開においても有効と判断されている…といえるでしょう。
この記事では、
- NFTシリーズのVTuber化の事例
- メリット・デメリット
- 可能な戦略
…を、解説していきます。
NFTキャラのVTuber化の流れ
Love Addicted Girls
2022年8月17日、Love Addicted Girls(公式サイト)キャラクターである「レイラちゃん」がVTuber化することが発表されました。
Love Addicted Girlsは、SoudanNFTが発行した第一弾NFTプロジェクトであり、2022年2月のリリース時は4000枚が2分で完売(一次販売額は200ETH(4,600万円)、二次流通額は630ETH(1億4,000万円)を記録しました。
NFT所有者は、
- NFT所有者限定コンテンツ閲覧権利
- 今後発行するNFTのエアドロップ・優先購入権利
- 限定リアルグッズの購入権利
- トークン発行時にエアドロップ
…などのメリットを受けることができます。
VTuberの魂(声優)を募集するため、2022年9月9日〜10月31日まで、レイラちゃんの声優オーディションが開催されており、募集要項には
■主言語:日本語
(中国語、英語圏へのアプローチに興味がある方歓迎)■レイラの出身である NFT・仮想通貨に興味がある方
(合格者にはプロダクションがレクチャー・マネジメントいたします)
…と書かれています。
- 日本語での発信を主軸にしつつも、英語圏・中国語圏という巨大な市場もターゲットにする
- NFT・仮想通貨という情報も発信していく
…というVTuber戦略が伺えます。
レイラちゃんの声優となる人は、haha production (事業内容:企画 制作・声優・アーティストのマネジメント、声優学校の経営など)に所属して、Vtuberデビューする予定とのことです。
また、公式サイトのロードマップでは、メタバース化・DAO化も計画されており、今後の展開が楽しみです。
新星ギャルバース
2022年8月30日、NFTシリーズ新星ギャルバースがVtuber化を発表しました。
We’re excited to bring all 8,888 Gals to life as VTubers in partnership with @VoltakuStudios! pic.twitter.com/NrYoaS2Evk
— 新星 🌠 Shinsei Galverse (@galverseNFT) August 29, 2022
新星ギャルバースは、2022年4月に販売されたNFTシリーズです。
0.07EHTで8888体が販売されて、即完売しました。
瞬間的な売り上げにおいては、Openseaの24時間取引ランキングで世界1位に輝きました。
1980~90年代の少女アニメを基調としたデザインであり、最終的にはアニメ化を目標としています。
NFT保有者は、
- 保有NFTキャラクターの限定アート
- 新星ギャルバースのテーマソング
- 限定漫画
- ステッカーやフィギュアなどのグッズ
…などが受け取れる予定とのことです。
また、このNFTは、コミュニティーへのアクセス権利でもあり、アニメ制作に関わることができます。
これからVTuberのための声優オーディションも行われる予定で、Vtuber化したNFTキャラクターはメタバースでのライブなども計画されています。
加えて、Vtuberが活躍できるような、漫画やアニメへの出演オーディション、コミュニティ活動など幅広い活動を行っていく予定です。
Shizuk NFT
2022年9月6日、NFTシリーズShizukがVTuber声優の募集を開始しました。
📢 Vtuber魂(声優)の募集を開始しました。
ShizukのNFT「どんぐりめめ」から誕生するVtuberです。どんぐりめめは、どのVtuber事務所に所属するのも自由で、収益は100%取得できます。https://t.co/jwZhPEjO7E#notshizuk— Shizuk💧 (@notshizuk) September 6, 2022
Shizuk NFTは、8888体が発売されているNFTシリーズです。
そのうちの1つ、「dounguri meme(どんぐりめめ)」のNFTおよび、VTuber活動用Live2Dモデルの無償での提供が行われます。
運営会社である株式会社ICOVO Japanでは、VTuber化するNFTキャラクターの一人である”dounguri meme(どんぐりめめ)”の魂(声優)を募集しています。
今後は、他のキャラクターの魂を募集していき、第2・第3のVTuberがデビューする計画とのことです。
NFTアートのイラストをベースに、VTuber活動ができるLive2Dモデルとして制作されます。
VTuber事務所に所属してもしなくても自由であり、収益は100%受け取れます。
また、配信する言語も、日本語に限定せず、自由に選べるとのことです。
メリット
NFTの知名度で初速ブースト
有名なNFTシリーズのキャラクターのVTuber化の場合なら、NFTシリーズの元々の知名度を利用して、運営直後から登録者が伸びる可能性がとても高いです。
有名なNFTシリーズなら、新しい活動を始める際の「事前告知・実行開始・その後の経過」という段階で、関連メディアが積極的に記事などにして情報拡散され、より多くの人に届いていくでしょう。
すると、
⬇「注目の新人VTuberランキング」みたいなランキングに載りやすくなり、さらに多くの人に認知されやすくなります。
※注意点として、「NFTシリーズ公式のVTuber」でなければ、知名度によるブーストは期待できない確率が高いです。
実例として、日本でトップクラスに有名なNFTシリーズCryptoNinjaがあります。
⬇そして、VTuberも運営されているのですが、これはファンによる運営であり、公式は運営に携わっていません。
今現在、チャンネル登録者は116人ほどに とどまっています。
この理由としては、
”ファンによる同人活動”的な認識をされ、超有名NFTシリーズなのにチャンネル登録者が伸び悩んでいる…と思われます。
⬇ちなみにCryptoNinjaは、”二次創作での収益化”を全面推奨している珍しいNFTシリーズです。
NFT所有者は、積極的に応援してくれる
VTuberの人気が上がれば、その源流であるNFTシリーズの価値も上がりやすくなります。
つまり、NFTの所有者は、自分の所有するNFTの取引相場が上がると嬉しいので、VTuber活動を自主的に拡散してくれやすくなるのです。
NFT所有者は、VTuber活動のみならず、様々な戦略展開を応援してくれやすくなるのです。
新しい集客口
VTuber展開が軌道に乗れば、そこからNFT・メタバース展開に興味を示してくれる人が現れます。
つまり、VTuberでの収益化と同時に、NFTシリーズ全体への集客口となっていくのです。
メタバース展開への応用が可能
NFTプロジェクトがメタバース展開をするのは、定番となりつつあります。
とうぜん、イチから独自のメタバースを創るのですから、資金と手間がかかる反面、
戦略が大きく広がっていくのです。(後述)
デメリット
日本では市場小さい
日本は、VTuber市場は大きい反面、NFT市場はまだまだ小さいです。
多種多様の企業が参入していますが、(前述の通り)NFT市場規模は、海外に比較すると圧倒的に小さいです。
なので、VTuberとしてチャンネル登録者を増やしても、NFTの販促につながるかは、未知数なのです。
”魂”によっては、キャラクター像が壊れる
すでにキャラクター像(人間性・性格)が出来上がってしまっている場合、VTuberを演じる「魂」によっては、「今まで抱いていたイメージと違う!」と、思われてしまう可能性があります。
通常、VTuberは中の人がイメージを創り上げていくものですが、NFTシリーズが先行している場合、すでに期待されている人物像があると思われます。
なので、その人物像と悪い意味でのギャップが生まれないように、中の人を選考する必要があるかもしれません。
可能な戦略
NFTシリーズVTuber事務所
NFTシリーズから生まれたVTuberの運営が軌道に乗れば、とうぜん同じシリーズから2人目、3人目…と新しいVTuberが運営開始されるでしょう。
すると、1つのNFTシリーズから、多くのVTuberが生まれることになります。
もしある程度の人数のVTuberが生まれるなら、VTuber事務所化した方が良いでしょう。
例えば、ギャルバースのVTuberが軌道に乗って人数が増えてきたら「ギャルバースVTuber事務所」を設立するのです。
とうぜん、メンバーは全員ギャルバースVTuberをメンバーにするので、箱内コラボ(同じ事務所内でのコラボ)のライブ配信時などをすれば、様々なメンバーを見てもらえます。
また、「大体いつでも、事務所メンバーの誰かが配信している」という状況にすれば、
視聴者が「暇な時間は、ギャルバース事務所のメンバーの誰かの配信を見に行く」という行動を習慣化してくれやすくなり、視聴回数も増えやすくなるでしょう。
メタバースでの権利NFT
メタバースを開発して、そこで使える権利をNFT化して販売するのです。
そして、VTuberの発信において、メタバースに関する情報をライブ配信などをして、視聴者にメタバースに興味を持ってもらえるように誘導します。
すると、新しく多種多様の権利をNFTとして販売できます。
たとえば、
- メタバースで装着できるファッションアイテム
- メタバースでの広告枠
- メタバース隠しエリアへの通行証
…などの権利をNFT化して販売することにより、利益を得ることができます。
メタバースの人気が上がれば、NFTも高値で売れやすくなります。
また、販売後も、転売されるたびに予め設定したロイヤリティが運営元に利益として入り続けるのです。
デビュー記念のNFT無料配布
初配信などでは、デビューを記念してNFTをエアドロップ(無料配布)することで、NFTコレクターが見に来てくれますし、情報拡散も積極的にしてくれるでしょう。
また、転売されればあらかじめ設定したロイヤリティが利益として入ります。
メタバースで派生映像作品の撮影
開発するメタバースの内で、”歌ってみた動画のPV”を撮影することができます。
VTuber界の歌ってみた動画は、一枚絵イラストだけのモノも多いです。
⬇しかし、メタバース内で撮影された歌ってみたPVは、すでに存在します
これを、開発するメタバース内で撮影すれば、オリジナリティのある歌ってみた動画が完成しますし、視聴者に対してメタバースそのものの宣伝にもなります。
⬇また、映画やドラマなども撮影しても良いでしょう。
派生プロジェクトの資金調達➡派生NFTの販売
VTuber展開が軌道に乗れば、派生プロジェクトを実行することもあるでしょう。
たとえば、
- 3Dモデル制作
- 音楽ライブ
…を、実施したい場合、その費用を調達する方法は、これまではクラウドファンディングでした。
しかし、クラウドファンディングでは、リターン(返礼品)を制作する手間がとても大きいのがデメリットといえるでしょう。
しかし、このような派生プロジェクトの時は、NFTを販売することによって資金調達が可能になります。
(購入者は、NFTの相場価格の上昇の可能性を期待して買うので、わざわざ返礼品を作る必要もないのです。)
⬇また、トークン発行型クラファンもすでに存在するので、活用しても良いでしょう。
多言語展開
⬇NFT市場は、日本より海外の方が圧倒的にデカいです。
なので、NFTシリーズは海外向けに制作販売されることがとても多いです。
そして、VTuber化する場合、
日本語圏のみではなく英語圏にもアプローチできるなら、視聴者も広がりやすいですし、すでにNFTを所有している海外の人も視聴してくれやすいです。
なので、多言語字幕を付けるなど、日本人以外の人に内容が伝わるように配慮することが大切です。
未来予測
NFTシリーズによるメタバース展開はもちろん、VTuber化も これからは事例が増加していき、定番化していくでしょう。
NFTシリーズも、アニメ志向の絵柄が多く、VTuber化に適しているモノが多いです。
メタバースへの戦略展開においても、アニメ志向アバターであるVTuberは、広報・案内役として適しています。
また、VTuber活動そのもので利益を出すことも可能になれば、(前述の通り)事務所化してキャラクターを大規模展開していくことも可能になります。
NFTシリーズとして世界的に高い知名度があれば、VTuber化しても一定数の人は見に来てくれる可能性が高まります。
VTuber活動が軌道に乗れば、YouTubeというプラットフォームでの戦略展開を格段にしやすくなるのです。
⬇また、NFTも地方創生を目的としたモノも増え続けています。
その地方創生NFTのキャラクターがVTuber化していくなら、”NFT出身のご当地VTuber”も生まれる可能性があります。
NFT・VTuber・メタバースによる地方創生も、これから増えていくのは確実です。
【NFT×VTuber×メタバース】という戦略の公式は、これから有効性を増していき、事例も増加していくでしょう。
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